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「書くこと」を毒にしてはいけない【街角diary】2026年10月28日:廣瀬翼

廣瀬 翼


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「#宣伝会議田中泰延クラス」の第5回講座があった。

今回の課題は「毎日note」。2週間、受講生みんなに1日1本noteを書いてもらった。

書く内容はなんでもいい。映画評でも、過去の思い出でも、今日あったことでも、今日何もなかったことでも、お悩みでも。とにかく毎日noteを書いてみる。

そうすると不思議というか、やはりというか、それぞれのクセやつまずいているところ、書くことへの迷いなどが見えてくる。講座では、みんなでそういう話をした。楽しく書ける人、悩みのある人、タスクのように感じる人。それぞれがどうやって書いているのか。

休憩時間や講座後の交流会でも、互いのnoteの感想を言い合ったりアドバイスをもらいあったりしている姿があって、一対一の赤ペンではなく対面の講座である意味を感じた。うれしかった。

「書けない」という相談をしてくれた人もいた。

物理的に仕事が忙しくて書く余裕がなかった人。
プライベートの環境で精神的に書く余裕がなかった人。

文章講座で、課題ができないというのは、とてもしんどいことだし、それを正直に相談するのは勇気のいることだと思う。書けない状況でも講座には出席しようというのも、すごくエネルギーのいることだと思う。いまどき、AIで適当に済ませて形だけこなすことだってできてしまうだろう。

だけど、誠実にできませんでしたと、その理由をそれぞれに言葉にしてくださったことが、ありがたかった。

講座は、受講生にとっては“仕事”でも“義務”でもないのだ。

課題はやってくるに越したことはない。安くはない受講料。課題を経たほうが、学びも多くなるというのが一般的な考えだろう。

けれど、そこには大前提がある。
なんのために受講しているのか。
それは、「書くことで人生を豊かにするため」のはずだ。

書くことで苦しむためではない。
書くことを、毒にしてはいけない。

仕事でもプライベートでも、とにかく日々がありえないほどに忙しくて、自分のための書き物の30分ですら睡眠に費やしたほうがいい、という時だって、きっとある。そんな時は、講座の課題なんてぶっ飛ばして布団に直行してほしい。

書くことは頭を使う。熱があったり体調が悪かったりして、何かを書いて公開できるほどに頭が働かないことだってあるだろう。そんな時は、講座の課題なんてぶっ飛ばしてお薬飲んで布団に直行してほしい。それでも書き続けるのは、4年前の新型コロナウイルスにかかったにもかかわらず1日も欠かさずTwitterを更新していた泰延さんだけでいい。

書くことは時に深く自分の内面に触れることになるから、落ち込んでいるときや何かにものすごく怒っているときにはストレスにしかならないことだってある。そんな時は、書くことから離れたほうがいい。

書くことを、毒にしてはいけない。

あるいは、自分が書いた言葉に縛られることがあるのだって、「書くこと」だ。

悩みや愚痴や自信を卑下する言葉を書く。それが一度だったらスッキリして薬になるかもしれない。けれど、あまりにそれを繰り返すとどんどんその言葉が自分を侵食してくる。その言葉が毒となり、呪いとなり、幸せになれない不幸な自分を形づくってしまう。

書こうとしたけれど、なんだかネガティブな言葉しか出てこなくなった時も、一度書くことから離れよう。

毎日noteを課題にしている。
だけど、書くことは義務じゃない。

それでも、1日一度はチラリと「書こうかな」と考えてみてほしいなと思う。そうすることで、自身が書ける状態なのか書けない状態なのか気付けるから。

健康診断を受けないと自身の体調の深いところは知れないのと同じように、自身の状態にちゃんと気づいてあげられるかは、書こうとするから生まれると思うのだ。

「今の自分は書ける状態じゃないんだな」「こういう時は、自分は書けないんだな」と気づけたこと。それだって大きな学びだ。

そうして気づいた時、まずは自分の状況をケアしてあげてほしい。

ちゃんとご自愛してあげたら、そのうち「あ、いまなら書けそう」と、ふと思える時が出てくる。

そうしたら、きっと「書くこと」から離れていた時間だって、「書くこと」と向き合っていた時間になる。避けていたのでも逃げていたのでもなく。

書ける時だって、やっぱり書くことはしんどい。

でも、適切な筋トレやスポーツの疲れなのか、ケガをしているのに無理に負荷をかけて筋トレをしていようとしているのかでは全く意味が違う。

いまの「しんどい」がどっちなのか、気づいてあげよう。

前者の時は、ちょっとだけ頑張って書き切ってみよう。後者の時は、一度「書くこと」から離れておやすみしてみよう。

「書くこと」を通して自身の変化に気づいてあげる。
それも、「書くこと」の効能だと思う。

8月に始まった講座もあっという間で、次回が最終回。

ありがたいことに、第1回に集まってくれた受講生の全員が継続してくれている。

2週間後、みんなの笑顔に会えるのを楽しみにしている。

みんなで、「書くこと」で豊かになりましょう。
「書くこと」で幸せになりましょう。

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    1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語の先生を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。