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はじめに【連載】13歳からのクリエイティブドリル

浜島 達也


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クリエイティブとは何か?

あなたはクリエイティブ、と聞いてどんな人を連想するでしょうか?
アーティスト、ミュージシャン、デザイナー、脚本家、漫画家、小説家、映画監督、お笑い芸人、アニメーター、画家、彫刻家、建築家、広告クリエイター…
といったところでしょうか。
ではそれ以外の人にクリエイティブな能力は必要ないのでしょうか?
答えは、いいえ。
たとえば公務員だって農業者だって営業職だってクリエイティブな能力はあった方がいい。というか必要です。
なぜならばクリエイティブとは

だからです。
全てのクリエイティブには「目的」があります。芸人の目的は「笑いを生む」こと。アーティストの目的は「感動を生む」こと。広告の目的は「商品を好きになってもらうこと」です。
では公務員や農業者や営業職の目的は?それは「市民の安心・安全」だったり「フレッシュなおいしさ」だったり「商談成立」だったりします。どれも立派な目的です。その目的を達成するために「アイデア×実現力」を駆使するとしたら、それもまたクリエイティブなのです。


クリエイティブな能力は才能か?

クリエイター、と聞くと特別な才能を持つ一部の限られた人、というイメージがあると思います。有名アーティストや漫画家、映画監督などを思い浮かべると確かにそう思いたくもなります。しかしそう思っているあなたに私はこう言いたい。
「一回忘れよう」
ともかくあなたは本連載のタイトルに興味を持ってリンクをクリックしました。「クリエイティブドリル?クリエイティブって学習するもんなのか?」
そう思ったに違いありません。
そのとおり。
クリエイティブな能力は特別な才能ではなく、後天的に学習し、鍛えることができる。何回も反復することでその能力を高めることができるフィジカルな能力や技術に近いものなのです。


本連載の目的

前項でクリエイティブとは「目的のためのアイデア×実現力」と書きました。
それにならうと本連載の目的はこうです。

この目的のために多くの人が慣れ親しんだ「ドリル形式」というアイデアで実現したものが本連載です。
先ほども述べたとおり、クリエイティブ能力が必要な職業はクリエイターに限りません。さらには職業をも超えて、人生を豊かにする能力だと私は考えています。だからもし、あなたがクリエイターを目指す人であるなら、ぜひ読んでほしい。もしあなたがクリエイターを目指していない人なら、さらにもっと読んでほしいのです。


本連載の使い方

本連載は全50問以上の問題とその解答例、解説を順次掲載していきます。
そして問題の答えは一つではありません。
数学の答えのような絶対的な正解というものもありません(答えが一つではないところがクリエイティブの面白いところです)。どう答えたらいいのかわからない、という人は問題のあとすぐ解答例を見てもらってもかまいません。「ははぁ、なるほどね」となったあとに自分なりの答えを考えればいいのです。
大切なのは自分の答えを楽しんで見つけ出すこと。
その答えを自分が好きかどうかということ、です。
そして本連載ではクリエイティブにおける次のポイントを特に重視しています。

「実現力」は「アイデア」と同じくらい重要なのですが実現力というものは専門性がバカ高く、漫画家なら作画力、デザイナーなら造形力、ミュージシャンなら演奏力といったように専門的でとてつもない修練を必要とします。
ですので実現力についての学びはそれぞれ専門の書籍や学校におまかせし、本連載ではアイデアを中心にクリエイティブ思考を学んでいただければと思います。


じゃぁアイデアってなに?

普段何気なく使っている言葉ですがそもそもアイデアってなんでしょうか?
私はアイデアとは、目的のための「新しい組み合わせの発見」だと考えています。
例を挙げてみます。
太古の昔の石器時代、「石」よりも丈夫で加工しやすい素材を得るという目的のために「鉄鉱石」と「火」を組み合わせた「鉄」が発見されました。「鉄」は新たなアイデアを生む優れた素材でした。「馬」と「鉄」を組み合わせた「蹄鉄」、木と組み合わせた「鋤」や「鍬」、馬車の車輪と組み合わせた「鉄輪」、さらに「鉄」と「火」と「水蒸気」を組み合わせた「蒸気機関」というように。
必ずしも物同士の物理的な組み合わせだけでなく「車」と「共有」を組み合わせた「カーシェアリング」、「うんこ」と「漢字ドリル」を組み合わせた「うんこ漢字ドリル」、「仕事」と「休暇」を組み合わせた「ワーケーション」などのように物と概念の組み合わせや物と事、事と事とを組み合わせるアイデアもあります。
つまりアイデアとは0から生まれるものではなく既にある何かと何かを組み合わせることで生まれるのです。
偉人の言葉を引用させてもらうと、

「クリエイティビティとは、単に物事をつなぐことだ」スティーブ・ジョブズ
一見関係のないモノや考え方を組み合わせることで新しいプロダクトを生み出してきたジョブズ氏らしい言葉です。ジョブズ氏は当時エンジニアのためだけのものだったコンピューターに楽しさや使いやすさ、美しさを組み合わせてiPhoneを始め誰しもが親しみやすいプロダクトを多数生み出しました。

「良い芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」パブロ・ピカソ
ちょっとわかりにくいのですが、私の解釈だと名作を表面的に真似するのではなく、名作の魅力を抽出して自分のアイデアの素材にしてしまえ、という意味だと理解します。

「巨人の肩に乗る」アイザック・ニュートン
ピカソ氏の言葉と近いですが、我々は先人たちが積み重ねてきた偉大な功績(巨人)をベースに新しいアイデアを生み出しているといえます。0から生まれるアイデアなど無く、先人たちの残した多様なカルチャーや技術を体験し学び吸収することで自分独自のアイデアを創出することができます。

本連載では様々な問題をとおしてアイデアを考える楽しさ(時には苦しさ)、アイデアを思いついた時の快感を体験することができます。一人でやるのももちろん結構ですが、友人や家族とアイデアを出し合うと思いもよらない答えが出てきたりして楽しいのでおすすめです。

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  • 浜島 達也 広告・クリエイティブ


    (株)電通でアート・ディレクター/クリエイティブ・ディレクターとして28年間勤務。主なキャンペーンにジョージア「世界は誰かの仕事でできている」、タウンワーク「バイトするならタウンワーク」、KIRINのどごし<生>「がんばるあなたがNo.1」、東日本大震災復興プロジェクト「東北六魂祭」など。2021年退職し浜島デザイン(株)を設立。さかなクンのSDGs組織「一般社団法人SD BlueEarth・青い地球を育む会」のクリエイティブワークを全面サポートしている。東京藝術大学非常勤講師。