日本の文化は日本からルールメイキングを。安田さん率いるフレンズ株式会社が取り組む、抹茶の世界展開(11月27日放送より)
IT×一次産業。フレンズ株式会社とは?
田中
今度は、安田さんのフレンズ株式会社のことを、ちょっとお伺いしたいかなと。どういう会社なんですか?
安田さん
フレンズはですね、私たちもちょうどコロナ禍の後くらいに立ち上げた、まだまだスタートアップでして。
田中
最近ですね。
安田さん
最近です。
もともと強いのはソフトウェアの開発というところで。
ただ、私自身のバックグラウンドが農業。実家が農家で、福岡なんですけど。農業をずーっとやってきて、今は弟が継いでいますと。私自身も農業でいろんなビジネスを、フレンズの前にも起業していてやっていましたと。
田中
はい。
安田さん
なので、ずっと一次産業に対する想いが強くて。
それで、サークルチェンジのマルシェにも熱を込めていますし。サークルチェンジのお手伝いをすればするほどですね、一次産業の課題とかにも改めて向き合いたくなって。
というところで、フレンズとしても農業関係の事業を、昨年あたりから強力に立ち上げていったという。
なので、ソフトウェアの開発とかIT周りのビジネスをやりつつ、一次産業というところを掛け合わせていっているというのを今、強化していっているフェーズですね。
田中
デジタルと一次産業をどう掛け合わせていくか、ということですね。
ちょっと聞いたお話では、4つの国で今、事業展開されているとか。
安田さん
はい。フレンズ自身がまず日本。私も日本人ですし、日本で立ち上げて。
これは農業に限らずなんですけど、日本って外貨を稼ぐことがとっても重要だと思っているので。今、円安ですしね。会社の規模に関わらず、しっかり外貨を狙っていく。
そういう意味で、今私たちが手掛けているのが、ベトナム、バングラデシュ、そしてアメリカ。
田中
日本、ベトナム、バングラデシュ、アメリカと。
安田さん
はい、この4カ国で事業を展開していると、そういうような会社ですね。
世界での活動、例えばバングラデシュでは?
田中
例えばバングラデシュでは何をやってはるんですか?
安田さん
バングラデシュは最初に立ち上げた事業で、日本と一緒に立ち上げたんですけど、ソフトウェアの開発。現地の銀行向けに開発サービスを提供するということを、現地の会社でやらせてもらっています。
田中
なるほど。ベトナムとバングラデシュと、全然違うことをやっているんですか?
安田さん
全然違います。実はバングラデシュは、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、アパレルが強いんですね。
<<ガサガサ>>
田中
あ、これ「暴れる」でした。
安田さん
(笑)。
田中
今、ラジオを聴いている人には全然(分からないと思いますが)。僕、「アパレル」と聞くと暴れるクセがあるので。
安田さん
(笑)。
今日、私が着ているパーカーも、実はバングラデシュの提携工場でつくったパーカーでして。
田中
なるほど。
安田さん
すごく工場が(バングラデシュには)あるので。
ただ、余っている在庫も多いんですね。なので、B to B*の在庫売買のプラットフォームをバングラデシュで提供していたり。
※B to B:「Business to Business」の略。企業対企業で取引するビジネスを指します。
田中
アメリカというのは?
安田さん
アメリカは今年(2025年)の夏、初めて。これがサークルチェンジさんとも関連するところなんですけど。
調べて分かってきた、世界の抹茶事情
安田さん
サークルチェンジさんとのジョイントで、お茶屋さんとか、抹茶のスイーツをやっている会社さんを、一緒にサポートしていたりするんですね。
田中
ひょっとして、この番組に出てくれた「千休」さんじゃないですか?
安田さん
気づきました?
田中
ああ〜! って、なんか今、僕わざと驚いていますけど(笑)、そうなんですよ。
久保田夏美社長が出てくださった抹茶スイーツを販売している千休さんの、抹茶の部分でサポートしてはる。
安田さん
サポートしています。そういう縁があって。
私たちは私たちで、アメリカで何かビジネスを立ち上げようと思った時に、マーケットリサーチをやったんですね。
そうしたら、今どうやら、世界的に抹茶がブームになっていると。これ、日本のメディアでも取り上げられていますし、アメリカのメディアでもすごく取り上げられているんですね。
日本の抹茶を輸出するというのは、シンプルに面白いかなと掘り始めたんです。そうすると、すごくいろんなことが分かってきて。
田中
うん、うん。
安田さん
抹茶って、本当は専用に栽培された碾茶(てんちゃ)*っていう、特別な栽培方法の茶葉を細かくして。
※碾茶:茶葉を摘む前、短くとも20日以上覆いを被せ栽培し、その茶葉を蒸して揉まずに乾燥させたもの。被覆によって日差しを遮ることで、旨みが多い柔らかな芽に育て、摘んだ後に蒸すことで酸化を止めます。
田中
あ、普通のお茶とはちょっと栽培方法が違う。
安田さん
違います。それで、それを細かく砕いて売るっていうのが、伝統的に日本の抹茶といわれているものなんですけど。
まあ、ブームになればなるほど、それっ“ぽい”ものが出てきて。
田中
ああ、単に緑のやつとかね。あとは抹茶の味じゃなくて、苦味がなくて、普通の緑茶を粉にしたやつちゃうんかみたいな。
安田さん
おっしゃる通りです。 それがアメリカに行くと「抹茶」として売られてしまうんですね。
田中
「MATCHA」と。
安田さん
これが、まずいと思って。
「抹茶」は世界でのルールメイキングが今、必要
安田さん
例えば、「WAGYU」の問題、みなさんご存じですか?
田中
はい。
安田さん
和牛は、日本のものが本当は和牛なんですけど、「オーストラリア産WAGYU」とか、訳の分からないことに。
田中
ややこしい! 二重国籍なんやねんみたいな。
安田さん
日本って、ルールメイキングが下手だなと前から思っていたので、これはまずいと。ここで抹茶のルールメイキングを日本の企業がやらないといけない。
それで、抹茶の商流や流通経路を見ている時に、どうやらちゃんとブランディングとか仕組みとしてつくってやられていないぞと、ここ2カ月で分かりまして。
で、メラメラと燃えてきて。
田中
メラメラと!
安田さん
もう、農業熱と相まって、お茶の生産と加工と直接グローバルへの輸出も全部、一気通貫でやっていこうと。
それで高野さんにも相談して、千休の久保田さんにも相談してと、いろんなところとチームを組んで。
実は今ですね、ニューヨーク、LA(ロサンゼルス)、ハリウッドのカフェとかも何店舗か、抹茶の輸出を先月から始めまして。
田中
千休さんにも話を聞いたら、LAのビバリーヒルズあたりでも「MATCHA」言うてるらしいですね。
高野さん
ふふふ。
安田さん
おっしゃる通りです。
田中
高野さんもその話を受けて、これはやろうと。
高野さん
そうですね。ここはどちらかというと僕は、バックオフィス側でサポートするほうなんで。直接、千休の久保田社長ともやりとりはしていますけど、応援団みたいな感じですかね。
日本由来のものは、日本が1番のブランドであるべき
田中
その「MATCHA」というのを、サプライチェーンとして日本初で一本化してちゃんとブランド化する。
これって、最近よく聞く言葉で「国益」ですけど、日本のためになるというか。正しく理解してもらう、本物を知ってもらうっていう想いですよね。
安田さん
とってもそこは大事で。
今、抹茶が世界的にどこで1番生産されているかというと、実は中国なんですよ。もう抜かれてしまっていて。
田中
ええ〜! 日本のものちゃうかったんかっていう。
安田さん
そうなんです。
本当は日本のもので日本の伝統文化だと私も認識している。
けれども、それがつくりきれていないから、中国が単純に、彼らもお茶文化はあるので、つくっていると。
田中
はい。
安田さん
となったら、しっかりここは守らなきゃなと。
中国とか、台湾、韓国とかアジアから廉価版が出てくるので、そこに対する差別化をしっかりやる、そこを守るというのを大事にしていて。
こういう想いを、私たちもまだ生産現場には入れていないので、日本のお茶屋さんと相談しながらやっていくんですけど。
実はラジオ大阪のお膝元である大阪の、「篠矢茶舗(しのやちゃほ)」さんという会社がありまして。
田中
篠矢茶舗さん。

安田さん
はい、その会社さんも私たちに共感してくれていて。そこからも私たちが輸出用にいくつかアレンジさせていただいて、取引させていただいていたりとか。
そういう、少しずつ、私たちがしっかり教育もやっていく、海外に向けて私たち日本人がしっかりと唱える。
そこを、外国の方がやってもいいんですけど、日本の伝統は日本人が語るべきだと私は強く思っているので。そういうところでいろんな方々に協力してもらいながら、今目下、そこに力を入れています。
田中
おっしゃる通りで、いろんな国の人が商品つくったらええと思うんですよ。日本人だって、外国由来のものもいっぱいつくってるわけやけども。
でも、日本が日本由来のものは1番美味しい、1番ブランド力がある、1番品質がいいって、こうならないとおかしいですからね。
安田さん
おっしゃる通りなんです。
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