マルシェの温かさを継続するためにこそ必要! サークルチェンジが取り組むDX(11月26日放送より)
支援に押されて、倒産からたった2カ月で起業
安田さん
もともとGINZAFARMがやっていた事業というのは、「FARM」の名の通り農業関係の会社で。
大きくは高野さんが責任者をしていたマルシェの事業。もう1つがスマートアグリといって、農業のロボット化をされていたんですね。
でも、農業のロボット化というのはちょっと時間がかかるんですよ。そこに、コロナ禍もありと。
田中
ええ。
安田さん
そうなった時に、マルシェはなんとか、大変ではあったんですけど、耐え忍んでいて。ロボットのほうが苦しくなったと。
当時、私は株主でもあったんですね。もともと実家が農家で、フレンズ株式会社としても関わっていたんですけど。
田中
フレンズ株式会社の代表である安田さんが、マルシェのほうに?
安田さん
GINZAFARMの株主でもあって。その関係でフレンズとしてお手伝いをすることになったのですが、でも倒産することになってしまって。
それで、私だけでなく、何人かの株主とスポンサーと「このマルシェは残さないとダメだ」というところで、高野さんとお話しして。
田中
はい。
安田さん
GINZAFARMが倒産したのが、(2023年の)3月くらい。
それまでずっとマルシェをやっていて、一度止めざるを得なくなっちゃったんですけど、みんなで頑張って、2カ月くらいですかね。
田中
たった2カ月で!
安田さん
2〜3カ月くらいですぐにサークルチェンジを、高野さんに奮起してもらって立ててもらって。
田中
そこで、株式会社サークルチェンジができたと。
高野さん
そうですね。
「サークルチェンジ」社名の由来
田中
ちょっと脱線するんですけど、「サークルチェンジ」という意味合いは、野球で「サークルチェンジ」という変化球があるじゃないですか。
それと関係なんかあるんですか?
高野さん
関係あります。もともと、僕が野球やっていたというのもあるんですけど。
2つ意味があって。1つは野球用語から持ってきて、「サークルチェンジ」って変化球の名前なんですけど、その握り方が「OK」の形なんですね。別名「OKボール」とも呼ばれていて。
高野さん
うちと一緒に仕事して、みんなでOKな結果を出しましょう、みたいなところがちょっと入っています。
田中
なるほど。
さらに言うと、僕なんかが受け取るのは、マルシェっていうサークルの在り様とか、人の集まるところのなんか在り方を変えようみたいなところも、あるんじゃないでしょうか?
高野さん
おっしゃる通りですね!
田中
やった〜! でも、(由来を)感じる社名で素晴らしい。
独立の船出を機に踏み込んだDX
田中
それで、安田さんがフレンズとして(サークルチェンジを)一緒にお手伝いしましょうと。
安田さん
そうですね。私も、もともと農業のところに想いがあるので、一緒に。フレンズとしての立場もあるし、サークルチェンジの取締役としても入らせてもらって、デジタル化を促進しようと。
ピンチはチャンスとはよく言ったもので。
田中
はい。
安田さん
マルシェも今までの全部を手でやっている、FAXでやっているところから、時代の変化とともにDXをやらないといけない(意識)というのは、明らかに現場にもあったし。
出店者とのコミュニケーション。お客さんに対してもキャッシュレス化とか。いろいろやらないといけないよね、というのはみんな分かっていて、ただそこに踏み込めなかった。
そこでサークルチェンジと名前も変わるし、会社も変わるから、思い切って新戦略でやっていこうというところで。役員陣も新しくなって、完全にスピンアウトという形で独立して船出したのが、サークルチェンジの立ち上がりですね。
田中
なるほど。で、安田さんも(その時に取締役として)一緒にジョインする形になった。
安田さん
はい。
田中
それで、DX。
みなさんこれね、「デラックス」ちゃいますよ、DX。
安田さん
「デジタルトランスフォーメーション」です。
田中
Xで「トランスフォーメーション」って、大変や。
安田さん
難しいですよね(笑)。
表舞台はアナログ感満載、裏方はDX
田中
素朴な疑問で、生産者さんが野菜とか何か産物を持ってくると。それを何でもかんでもDX化してうまくいくってものでも、ないんじゃないんですか?
高野さん
ないですね。
なので、ものすごく表面、つまり対お客さんに徹するところは、めちゃくちゃアナログでいいんです。アナログの温かさがないと、マルシェが成り立たない。
田中
DXいうたって、行ったらロボットがね「ダイコン ウッテマス」とか、そんなんじゃないじゃないですか。
高野さん
そうですね(笑)。
田中
やっぱり人がいると。
高野さん
そうですね。
特に東京のほうのマルシェには全国の農家さんが集まったりするわけですよ。そうするともちろん、関西弁の方もいれば、津軽弁の方もいる。
こういう地域性を思いっきり出しながら、お客さんと楽しんでもらうっていう、アナログ感満載なんです。
田中
はい、はい。
高野さん
でも、そのマルシェを継続的に運営するには、めちゃくちゃ手間がかかっているので、その手間のかかっている部分、要は見えないところを全部デジタル化するということで。
その手間のかかっていた部分を(デジタル化することで)、今度はいかにお客さんとの接点を楽しくするかのほうに時間を割くという。
こういうことができるようになると、もっとマルシェが楽しくなるという。
田中
なるほど。そこを安田さんが下支えをして、会場は人と人がワーワー喋って、ものを売り買いする場所になると。
安田さん
そうですね。
出店者とは全員と面談、生産地訪問も
田中
農作物とかね、一次産業じゃないですか。募集して、訳の分からないものを持ってこられても困るわけで。
高野さんや安田さんは、どんな作物なのか、できたものなのかというのは、事前に見たりはしはるんですか?
高野さん
します。今、出店していただくためには、全員と面談しています。
田中
全員と!
あの、生産地に行ったりすることもあったりするんですか?
高野さん
あります、ありますね。
月に1回、必ず。出店している生産者さんに来てもらうだけではなくて、僕らも生産者さんの地元にお手伝いに、毎月1回行きます。
田中
え、手伝う! 畑やったら、畑に。
高野さん
はい。
田中
サークルチェンジさんがやってはるマルシェでね、めっちゃ出るねんっていう農作物って、何ですか?
高野さん
季節の野菜は必ず出ますし。野菜・果物の人たちが、登録数で言ったら今、(出店者の)半分くらいです。
それ以外には雑貨の方がいたりしています。
いろんな方が自分の想いのこもったものを持ってくるという。
田中
なるほど。じゃあ、畑手伝ったりも「これ、ええのできてますなぁ」と。
高野さん
はい。
田中
安田さんも、行かれるんですか?
安田さん
私も(マルシェには)行きますね。比較的(マルシェの会場と)近いところに住んでいるので、月に1回くらいは顔を出して。
私がよく買うのはフルーツですね。やっぱり、季節のものが私も好きですし、賑わっていますよね。
田中
生産地も行ったりするんですか、安田さんも?
安田さん
生産地はまだ行ったことがないかもしれない……。
高野さん
デジタル担当だからね。
田中
「チーフ・デジタル・オフィサー」ですけど、これからは「チーフ・泥・オフィサー」として。
安田さん
ああ、いいですね。
田中
泥にまみれて(生産者さんのお手伝いを)。
安田さん
もともと私も実家が農家なんで、多分、誰よりも農業をやっている自信があるんですよね。実は。
高野さん
そうですね。
田中
そうか、そうか。なるほど。
それは、すごいですね、噛み合っているんですね、そこはね。
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放送:隔週 月〜金曜日 15:40ごろ〜








