新規事業で「食」に触れてどっぷり。なぜ高野さんは「マルシェ」に取り組み始めたのか(11月25日放送より)
大切にしているのは「とにかく楽しむ」こと
田中
サークルチェンジのマルシェの特徴といいますか、力を入れていることって、何ですか?
高野さん
やっぱりですね、マルシェは最もコミュニケーションが多くなければいけない「売り場」であり、集まる「井戸端会議の場」みたいなところなので。
1番気をつけていることは、参加する人が、それは出店者も来場するお客さんもそうなんですけど、とにかく楽しむこと。
田中
楽しむこと。
高野さん
はい、思いっきり楽しんでもらう。
田中
そこで野菜買って帰ったりしたら、うれしいですよね。
お喋りがあって。「私がつくっている」と。顔が見えると。
高野さん
そうです。
田中
それで、高野さんは、そもそもどういうキャリアでマルシェをやるサークルチェンジという会社を始めはったんですか?
高野さん
前々職になるんですけども、もともと映像レンタルチェーンのTSUTAYAにおりまして。そこで新規事業担当ということになりまして。
田中
大変な部署じゃないですか。「新しいこと考えろ!」みたいな。
高野さん
そういうことです(笑)。
新規事業で初めて触れた「食」
高野さん
流れとしては、要はレンタル事業がだんだん苦しくなってきている時代でして。TSUTAYAにお客さんが来る“理由”みたいなものをつくらなきゃいけないよね、と。
会社の中でお客さんに来てもらう“装置”とか“理由”みたいなものを、新規事業部が開発するんだと、当時の社長から指示が来ましてですね。
田中
そんなん、サラリーマン言われても、それができたら苦労しないですよね。
高野さん
そうですね(笑)。
田中
でも、言われたと。
高野さん
はい。その中で、じゃあ何するんだ? という時に、ちょっとヒントをいただいたのがカフェみたいなね。ゆっくり店の中で滞留できるようなスペースっていうのを開発できないかという話になりまして。
田中
なるほど。
高野さん
もともと(入社した時)はTSUTAYAなので映像の事業をやるんだと思っていたところ、全然違うカフェの事業とかを立ち上げるとなって。
そこで初めて、今までの仕事でやっていなかった「食」というものに触れるようになるんですね。
田中
食べ物出しますもんね。
高野さん
なので、メニュー開発ももちろん、もともとコーヒー屋さん・カフェ屋さんになるなんて思っていなかったので、「豆仕入れるのってどうするの?」というところから始まったわけですね。
田中
ああ、なるほど。
高野さん
そこでだんだん、だんだんメニューを開発したりして、お客さんに楽しんでもらうようになって。
それと並行して、せっかくカフェがあるんだったら、お客さんに日本全国の隠れた名産みたいな。すごくこだわってつくられている、例えばピーナッツバターとか、オリーブオイルとかですね。
そういったものを全国からセレクトしたショップ。「食のセレクトショップ」みたいなものも、カフェに併設して立ち上げるということをやりました。
東京交通会館マルシェとの出会い
田中
その時は、TSUTAYAさんの中で、ですね。その後、独立された?
高野さん
そうですね、それで全国の商品をセレクトしている時に、結局TSUTAYAというところにお客さんが集まってくれないと、その商品を紹介できないんですけど……なんかもっと、全国の人に、こういう地域でまだ知られていない、いい商品を知ってもらえるような仕事をしたいなと思って。
TSUTAYAの経験をもとに転職したのが、実は前職のGINZAFARMという会社なんです。このGINZAFARMというのが、銀座・有楽町にある「東京交通会館マルシェ」というのを運営している会社だったんですね。
田中
ああ〜、そこにマルシェはあったわけなんですね。
高野さん
私がTSUTAYAから転職した時にはすでに東京交通会館マルシェというのは存在していて。
交通会館マルシェは今年で15周年を迎えていまして。日本でマルシェがスタートした、わりと最初の頃から運営しているマルシェだったので。 そこには全国の名産品を知りたい、見つけたいという人がわんさか集まるわけですよ。
田中
東京の真ん中ですしね。銀座のすぐ隣。
高野さん
そうです、そうです。
田中
TSUTAYAさんには、いうたら本とかDVDとか、そういうものに興味ある人が来るけれど、(GINZAFARMが運営していた東京交通会館マルシェは)最初からマルシェ的なものに行きたいという人がわーっと来る場所やと。
高野さん
おっしゃる通りです。
田中
それで、そのGINZAFARMから、サークルチェンジとして独立をしたと。
高野さん
そういうことですね。
田中
なるほど。
さっき言うた、「新規事業、お前やれって、どないしたらええねーん」というところから、えらいところまで来ましたね。
高野さん
そうなんですよねぇ。
田中
言うてみるもんですね、会社も。
高野さん
そうですよね。
田中
無茶振り。
高野さん
(笑)。
100以上の出店者を手で管理していた?!
田中
でも、みんながみんな、こうやってええこと思いついて独立できるわけじゃないと思うので、ご苦労もあったと思うんですが。
農産物などの生産者に来てもらうという形態だけれども。
ここで、取締役CDOの安田瑞希さんが担っている役割も非常に大きいという話で。その辺りは?
安田さん
もともと、GINZAFARM時代からマルシェのデジタル化を進めたいというところから私も入らしてもらったんですよ。
田中
デジタル化って、生産者、いうたら農家のおっちゃんおばちゃんを、どうやってデジタル化? ポリゴン化するわけでもないし。
安田さん
そこですよね。いろんなアイデアがある中で、まず現状どうなっているかというと。
高野さんたちの会社って、いっぱい出店者さんがいるんですね。何百と登録がある。
それを毎週毎日のように、どこを出店者として出すか、どこに配置するかというのを、全部手でやっていたんですよ。
田中
あぁ〜……。
安田さん
もう、それを想像するだけで、このオペレーションはやばいぞと。
田中
だって、大根がええ感じでなった、ほな来週出てもらいましょと。これ全部手でやってたら、そりゃ大変じゃないですか。
安田さん
そうなんですよ。受け付けから、電話連絡、メール、それをスプレッドシートにとか。それを毎日ずっと耐え忍んでやられていて。
高野さん
当時はFAXでしたからね(笑)。
安田さん
これはやっぱり、コロナ禍のタイミングもあったし、世の中のデジタル化も進んでいる。
当時、私は会社としてGINZAFARMとも契約させてもらってデジタル化を進めていたという背景から、それをシステム化しようというところで。
出店者さん向けのアプリで、サークルチェンジが会社としてマルシェを管理するためのアプリというのを開発に入ったというのが、デジタル化の第一歩でした。
田中
つまり、スマホとかを使って、出店する人のスケジュールとかを全部管理できるようにと。
高野さん
そうですね。
田中
これは大きいですね。
安田さんはサークルチェンジの取締役でもあるけれども、フレンズ株式会社という会社の社長さんでもあると。
安田さん
はい。もともとデジタル化の相談をフレンズ株式会社の立場として受けていたというのがきっかけでした。
それで、実は高野さんの独立も波瀾万丈でして——。
実はGINZAFARMがマルシェの他にもいろんな事業を行っていて、コロナ禍の影響もあって、いろいろ重なって倒産してしまったんですよ。
田中
なるほ……ええっ?! 倒産してしまった?!
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放送:隔週 月〜金曜日 15:40ごろ〜





