田中泰延が、いま会いたい人・話したい人と、聞きたいことを語るラジオ大阪の番組「田中泰延のふたりごと」。「街角のクリエイティブ」では、その放送の様子を記事化してお届けします。
今回は2026年1月17日(土)の放送の様子。株式会社闇 代表取締役社長CEOの荒井ジョースケさんがゲストの第三夜です。
「Jホラー」という言葉もあり、独特の怖さを放つ日本のホラー文化。その特徴や、現代ホラーにどう引き継がれているか、ホラーというジャンルを深掘るトークが止まらない15分。
さあ、荒井ジョースケさんと田中泰延の“ふたりごと”を、ちょこっとのぞいてみましょう。
(構成・編集:廣瀬翼)
【 荒井ジョースケさんゲストの回 】
▶︎ 第一夜(1月 3日放送)
▶︎ 第二夜(1月10日放送)
▶︎ 第四夜(coming soon…)
▶︎ 第五夜(coming soon…)
【 ゲストのプロフィール 】

荒井ジョースケ(あらい・じょーすけ)
株式会社闇 代表取締役社長CEO
1996年 毎日放送入社。同事業局事業部プロデューサーとして、『梅田お化け屋敷シリーズ』『ウメダ☆アイスリンクつるんつるん』、京都岡崎音楽祭『OKAZAKI LOOPS』などを企画。過去には『サントリー1万人の第九』などもプロデュースした。2019年6月より株式会社闇 代表取締役社長CEO。
X(旧Twitter):@jyosukearai
株式会社闇 Webサイト:https://death.co.jp/
日本の“恐怖”は、煮付けのようにしみていく
洗練されてきた日本の“恐怖”
田中
そもそもね、その“ホラー”っていうものを一直線にやるっていうのが昔のホラーですけど、闇さんの考える“ホラー”っていうのはもうちょっと複合的なもの?
荒井
そうですね。実は、会社なので経営理念っていうのがありまして。我々、闇の経営理念は「怖いは楽しいで世界中の好奇心を満たす」と。結構、大仰なこと言ってるんですけど。
とにかくエンタメとして「ホラー」とか「恐怖」っていうのが、ちょっと下に見られてるなっていう部分をすごく残念に思っているっていうのがあります。
でもそれは一方で、いろんなホラーがあるんですけど、もっともっと日本が大事にしてきた、最近だとNHKの朝ドラで小泉八雲さんの話やってるじゃないですか。
田中
はい、ラフカディオ・ハーン。

2026年9月から全25週で放送中のHHK連続テレビ小説『ばけばけ』。怪奇文学作品集『怪談』の著者・小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と妻セツをモデルにした、怪談を愛する夫婦の日常を描いた物語。(画像出典:NHK ONE)
荒井
あの『怪談』っていう日本の民話を集めた本なんですけど、おそらく世界中で出版されて、それこそ大ヒットしてるんですよね。で、語り継がれ、読み継がれてると。
あの話ってホラーなんですか? っていうところが実はあるんですけど、ものすごくエモーショナルな話がたくさんあって、逆にバイオレンスじゃないんですよね 。
田中
うん、なるほど。
荒井
日本は、ああいう文化を大事に大事にしてきてるんだなってのは、すごくありまして。
つまり、大きな音が出たりとか、怖い人が出たりとかっていうのも一方でもちろんあるんだと思うんですけど、日本が得意なのはああいう形だから、とずっと思ってるんですよ。
田中
何かこう、情念に迫る怖さ。
荒井
そうなんです、そうなんです。
それが脈々と続いていて、いわゆる話芸の領域ですよね。落語だったりとか、講談だったりとか。 絶対怖い話あるじゃないですか。でも、ちょっと人情噺っぽいときもあったりとか、なんなら日本は幽霊画なんていうジャンルもあったりする。
だから、恐怖っていうのをすごくこう洗練された文化として日本はやってきてたなっていうのが、いろいろ勉強するとわかってくるんですよね。
映画『リング』に見る、Jホラーの真髄
荒井
その一つの発露になって、世界的にヒットになったのが、貞子さんが出る『リング』っていう。
田中
ジャパニーズホラーの映画のジャンル。
1998年に公開されたホラー映画。中田秀夫監督、高橋洋脚本。松嶋菜々子、真田広之のW主演。見ると1週間後に死ぬ「呪いのビデオ」が巻き起こす惨劇を描き、大ヒットを記録。ジャパニーズホラーブームの火付け役となり、2002年にはハリウッドでリメイク。井戸から這い上がり登場する、白のワンピースに長髪の女性「貞子」は、日本のホラー映画を象徴するキャラクターになった。(画像出典:filmarks)
荒井
鈴木光司さんの原作なんですけど。あれも改めてそういう目で見てみると、決して暴力的に人が死なないんですよね。本当に「呪い」。そもそも見ちゃいけないビデオがあって。
その辺はよく引き合いに出すんですけど、ハリウッドのホラーとされているものとは、まったく違う。だからこそすごく演出だったり、設定や脚本も、しっかりしたものじゃないと怖くないですよね。
——というところが、僕らが先ほど言っていた、闇としてやってみたいこと。やっぱり、そういう脈々としたホラーというか、恐怖エンタメの令和版でアップデートしたいなっていう思いはすごくありますね。
田中
今ね、ハリウッドとかっておっしゃいましたけど、やっぱり欧米の人がいわゆるホラーっていうと、もう絶対的な悪が出てきて、ジャンプスケアの「ギャー」って。あとスプラッター要素。これがてんこ盛りになっているのが怖い。
で、逆に怖い主人公——主人公じゃないけどそういう悪い人が、ヒーロー的にもなったりするじゃないですか。
荒井
そうですね。多分、全然違うので、おそらく欧米の方にとってすごく新鮮にJホラーが映ってるんじゃないかなと思うんですよね。
田中
日本の怖さって、なんか煮付けのような。海外が「ガーッ」って焼くステーキだとしたら、すごくしっとりとした煮物みたいな怖さですよね。
荒井
確かに。噛めば噛むほどじゃないですけど、何回も見れちゃうとこあると思うんですよね。
田中
味がしゅんでるってやつですよね。
荒井
そうです、そうです。そこは日本が誇れる文化だなと思っているので、もっともっと世界にも出していきたいなというふうに思っていますね。
若手ホラー作家のトップランナー「梨」
田中
その中で、私の出版社・ひろのぶと株式会社から『つねにすでに』という本を出していただいたのですが、これは著者が株式会社闇さんと、そしてホラー作家である梨さん。
これね、ラジオで聴いている方、この梨さんっていうのが、これもあの食べる梨ってあるじゃないですか、漢字の。その梨一文字なんですよ。
荒井
すごい好青年なんですよね。こんな怖いこととか、不思議なこと考える人じゃないなって思うんですけど。
田中
イベントとか登壇されても顔を隠してるけど、そうなんですよね。爽やかな若い声が聞こえてくる。

荒井
爽やかですよね、本当に。いいやつなんですよって思っちゃいます。どうやったらこんなこと考えられるのかなって思ってるんですけど。
やっぱり彼と話していても、すごくロジカルに考えますよね。人の恐怖とはとか、心理学みたいなところも考えていると思うので。
こういうふうに考えるんだっていうのが、僕らではついていけないんですけど。方法論も含めて、それが先ほどから言ってる脈々と続いている文化のいまいまトップランナーの一人なんだろうな、梨さんは、と思いますね。
田中
梨さんが紡ぐホラーは、もうすごく現代的なところに潜む恐怖っていうのがあって。
さっき僕が煮物みたいな恐怖って言ったけど、その煮物が高野豆腐とか筍じゃなくて、スマホとかWebサイトとか、もっとこう、今使っているものに怖さがしゅんでいってる怖さですよね。
荒井
本当にちょっと一歩外に出た瞬間に、全然違う空間とか景色が広がったらどうしようみたいなことを、真面目に突きつけられるというか、「そんなことあるかもね」っていう。
さすがに巨大モンスターは襲ってこないけど、「それはあるかもね」っていうのを見事に描くんだなと思ってますね。
田中
ちょっとした違和感が拡大していくっていう。
ホラーファンは女性が多い?!
田中
当社から出させてもらった『つねにすでに』という本は、編集者がこれも若い世代の廣瀬翼という女性なのですが。
荒井
はい、廣瀬さんお世話になりました。

田中
彼女はホラーがすごく怖そうで苦手だったんだけど、編集する過程ですごくハマっていって。廣瀬いわく、ミステリーが好きな人にも合いそうだと。
荒井
そうですね。
ホラー領域とか、サスペンス、スリラーみたいなことも含めて、人間のこう感情をすごく揺り動かすもの。「泣き笑い」みたいなエンタメあるじゃないですか。それとは違うんですけど、確実に心を揺さぶるエンタメっていう位置づけなんですよね。
そこにあんまりこうジャンル分けがないとは思っているんですけど、間違いなく女性の方がこういうことに敏感で楽しんでくれるなっていうのは、もうこれ僕ら調べでデータとしてありますね。
田中
闇さん調べ。でも、女性の怖いものをまっすぐ楽しむというか、「怖い怖い」と言いながら人一倍楽しんでいる感じって、うらやましいですよね。
荒井
そうなんですよ。女子会的にホラー映画見るとかいうのはやられているみたいなんですけど、これ男の「怖い」はやらないですよね。間違いなくやらないですよね。
田中
野郎が集まってホラー映画見たことがない。
荒井
結構怖さの耐性は女性の方が強いような気がします。
田中
なるほど。
そんな闇さんが、実際に触れる形でいろんな展覧会スタイルずっとやられている。この話も、引き続きどんどん聞いていきたいと思います。
今日の曲紹介| 斉藤由貴「卒業」
田中
今日の最後は、僕たち50代がね、「若い人はわからんね」と言いながら若い人が楽しんでいるのを見ているんですが、僕たちは僕たちの楽しみが80年代にあったよということで、荒井ジョースケさんがぜひにとリクエストした曲がありまして。
僕も大好きなんですが、1985年の曲で。
斉藤由貴「卒業」
これ、どうですか?
荒井
もう、ラジオでリクエストでかけていただけるのが夢だったんで、ぜひぜひ。
ちょうど中三だったんですよね、85年が。なので、歌詞にあるような世界観が、今の学校だいぶ違うかもしれないんですけど、目に浮かぶなっていう部分で。1月になって卒業シーズン近づくとヘビーローテーションしてます。
田中
わはは。 いやー、でも、グッとくる曲で。
荒井
きますよね。
田中
もう本当に、これね、桜の舞い散る画がもう目に浮かぶような。イントロから素晴らしい曲です。
聴いてもらいましょうか。斉藤由貴「卒業」。
おまけトーク
♪斉藤由貴「卒業」再生中♪
田中
(イントロで)もう、この音がね。
荒井
天才的ですよね。舞いますよね、桜がね。
田中
舞う、舞う。
荒井
生涯で会ってみたいんですけどね、斉藤由貴さんには一度。
この曲つくれるの、すごいよなぁ。
田中
ねぇ。ドラマがありますからね。
荒井
ね!
毎年、紅白出ないかなと思って待ってるんですけどね。
田中
出てほしいですよね。
荒井
みんな見ると思うんですけどね。
田中
もう、絶対見る。
荒井
(歌詞を反芻しながら)「東京に出る」なんて、そういうのがもはやないですからね。
田中
ないない。
荒井
上京物語はないのかなぁ。
田中
今、地方の人で就職して東京へとか、大学で東京となっても、「東京へ出るんだ!」というのはないんでしょうね。ただの「移動」なんですよ。
荒井
ああ、「成り上がり」的なのはないんですね。一つの場所だし。
田中
そんな、村田英雄「王将」みたいなことはないですよ。
※「王将」:1961年にリリースされた村田英雄の最大のヒット曲。「明日東京に 出ていくからは なにがなんでも 勝たねばならぬ」という歌詞がある。
荒井
つながっちゃってるからって、ことですよね。地元仲間とかとも、LINEで。
♪斉藤由貴「卒業」おわり♪
田中
いやー、素敵な曲でした。
荒井
40年タイムスリップするような。
田中
はい。でも、来週はもっと未来の話をしていこうと思います!
荒井
そうですね!
<来週も引き続き荒井ジョースケさんをゲストにお迎えします>
【 荒井ジョースケさんゲストの回 】
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▶︎ 第五夜(coming soon…)
株式会社闇の著書
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梨/闇|ひろのぶと株式会社
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放送:毎週土曜 18:45〜19:00
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