田中泰延が、日本を支える・日本を変える会社の社長をゲストにお迎えし、大いに主張していただき、お話を伺うラジオ大阪の番組「田中泰延のシャチョーとシュチョー」。
「街角のクリエイティブ」では、その放送をまとめてお届けします!
今回は2026年1月29日(木)・30日(金)の放送の様子。
ゲストは、株式会社ほぼ日 代表取締役社長 小泉絢子さん。そして、代表取締役会長 糸井重里さんも登場です!

2025年11月に糸井さんから小泉さんへ渡った、社長のバトン。なぜ、いま社長を交代したのか。小泉さんが考える経営で大切にすべきこと。さらに、デジタルとアナログの混ざり合いについて……ほぼ日がいま考えていることを、お二人にたっぷり伺いました。
(執筆:稲本琢仙、編集:廣瀬翼)
【目次】
【 プロフィール 】

小泉絢子(こいずみ・あやこ)
株式会社ほぼ日 代表取締役社長
1978年生まれ。慶応義塾大学在学中からほぼ日(当時:東京糸井重里事務所)でアルバイトとして働き、主力商品である「ほぼ日手帳」の立ち上げなどに携わる。大学卒業後、2001年に入社。事業支援部長やほぼ日商品部長(現・商品事業部長)を経て、13年6月に取締役、23年11月に副社長、最高執行責任者(COO)、25年11月より現職。3児の母。
株式会社ほぼ日 Web サイト:https://www.1101.com/

糸井重里(いとい・しげさと)
株式会社ほぼ日 代表取締役会長
1948年生まれ、群馬県前橋市出身。1971年にコピーライターとしてデビュー。西武百貨店「不思議、大好き。」「おいしい生活。」など数々のキャッチコピーで一世を風靡、また作詞やエッセイ執筆、ゲーム制作など、幅広いジャンルでも活躍。1998年に毎日更新のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」創刊。『ほぼ日手帳』をはじめとする生活関連商品や、AR地球儀『ほぼ日のアースボール』、「人に会おう、話を聞こう。」をテーマにお届けする『ほぼ日の學校』などさまざまなコンテンツの企画開発を手がける。2017年東京証券取引所JASDAQ市場(現・スタンダード市場)に上場。著者に『インターネット的』(PHP文庫)、『すいません、ほぼ日の経営。』(川島蓉子さんとの共著、日経BP)、『生まれちゃった。』(ほぼ日)など多数。2025年12月、株式会社ほぼ日の社長を退任し、会長に就任。
X(旧Twitter):@itoi_shigesato
もっと、クリエイティブに集中するために。糸井重里が社長のバトンを渡した理由(1月29日放送より)
糸井重里会長、登場!
田中
今日も、株式会社ほぼ日 代表取締役社長COO 小泉絢子さんに、お話を伺う……ところがですね!
株式会社ほぼ日 代表取締役会長CEO 糸井重里さんが、このスタジオに乱入! 乱入!
小泉さん
おぉ〜!

田中
糸井さん、どうも! ようこそいらっしゃいました!
糸井さん
乱入って言われるのもなんかなぁ(笑)。
小泉さん
(笑)。
田中
どうぞ、お入りください。
糸井さん
普通にきたんだけど(笑)。
田中
糸井さん入ってくださいって、こっちから言っておいて「乱入」(笑)。
小泉さん
乱入って(笑)。
交代する準備はずっとしてきた
田中
(改めて)どうも、糸井さん。
糸井さん
はい。
田中
この度ね、ほぼ日の社長に小泉さんがなった。で、糸井さんは会長になるということで。
なぜこのタイミングで社長交代?
糸井さん
あのー、交代する準備をずっとしてたんですよ。で、みんながそのあと誰っていうのを小泉さんだと思っていたんで、僕もそうかなと思って。
結局、僕が社長をやっている間も、実はチームで経営していたので。一見目立ったところに僕はいますけれど、経営はチームでやってたんで、その意味ではどういうふうに自分がちょっと横にズレるかなっていうだけのことだったんですよね。
ちょっとずつ準備しながら、「じゃあどうする?」ってなった時に、社長っていう役割をあやちゃん(小泉絢子さん)がやることになったと。
田中
なるほど。
自分がお願いしてでもその仕事をやりたいか
田中
小泉さんのお話を伺っていると、まだバイト時代から、ずーっとここ(ほぼ日)で仕事をしてきて、手帳のことはずっと関わってきてという中で。
まあでも、社長というのはリーダーじゃないですか。集団で経営するってなったって、やっぱりリーダーはいるわけだから。
その時に、お互いにね。小泉さんは「私はこういうところが向いているから、わかりましたって言った」っていうところがあれば。
小泉さん
向いているとかは自分では本当に思っていなくって。
ただ昔から糸井が社内のメンバーに言い続けていることは、例えば請負仕事とか、人から依頼された仕事でも、自分がやりたいと思うか。「自分がお願いしてでもその仕事をやりたいと思うかどうか」っていうことをすごく大事にしていると糸井自身が言っていたのを、私たちはずっと聞いておりまして。
今回の社長という役割については、私は本当に心からそう(やりたいと)思ったので、立候補という形を取らせていただきたいっていう話を、糸井さんには直接伝えました。
糸井さん
みんなでそれ(次の社長)を、どうしようかって話し合う機会を作ったんですよ。
それで、じゃあもう小泉さんじゃないかってなった時に、まあ言ってみれば満場一致だったんです。それが一番、収まりがいいっていう感じで。
そうしたら、この人(小泉さん)が、「決められてなるんじゃなくて、私は『なります』って言って認められたいから、改めて立候補します」と言ったので。
ああ、じゃあって、(立候補)してもらって、そうだねってなった。
田中
もう当選しているようなもんなのに、改めて立候補。
糸井さん
先に当選してた。
小泉さん
(笑)。
田中
でもやりたいって言うことはやっぱ大事ですよね。それは本当にそう思います。
アイデアは、もっとワガママなもの
田中
ただ、糸井さんは会長って言ってもご隠居さんになるわけではなく。
糸井さん
うん、それは当然と思ってましたけどね。仕事の種類をちょっと変えるんでしょうね。
だから例えば、何だろうな、クリエイティブな仕事の領域では、「これやりたい」って今すぐ手をつけたいっていうのがあったとしても、社長だった時には、あいつとあいつは何をしていてどう忙しいかとか、ここでこのことを言ったらここで予算取りがどうのとか。ものすごく思い合っちゃうんですよ。
それをやりすぎていると、やっぱり踏み出す力がすごく弱くなるんですよ。
田中
はい、はい。
糸井さん
もっとアイデアって、わがままなものなので。そっちの自分を活かしたほうが、言ってみれば会社としてうまくいくんですよ、多分。
そう思ったんで、止めたり思い合ったりする自分を一回消したかったんですよ。
「俺はここはやろうと思うから、2人だけでいいからちょっとちょうだい」って言って、ガーッといくとか。そういうやり方をするために、僕は社長を降りた。
田中
独立遊撃隊みたいなもんですね。
糸井さん
そうですね。
小泉さん
私が今社長という立場になった時に、クリエイターとしての糸井がクリエイティブに集中するって、会社としてはものすごく強みというか、すごいことだなと思っていますし。
やっぱり会社を私は永続させたい。ずっと末長く。糸井がつくった会社が、すごくいい会社なので
そう思った時に、これから糸井が出すクリエイティブは、10年先、20年先の種まきをするっていうことだと思うんですね。なので、経営者として考えた時に、ものすごく心強いというか。「やった!」って感じです(笑)。
田中
糸井さんがね、これからアイデアをどんどんやっていくよって言って、それが10年後めっちゃ食いぶちになってるかもしれないですもんね。
小泉さん
そうです、そういうことです。
糸井さん
それがしたかったんですよね。
随分俺も真面目に答えてる(笑)。そうなんですよ。
利口に動く自分が、ある意味で邪魔だった
田中
でもね、それって起業家をイチからやるようなもんやから。アイデアの中には、当たりも外れも出てくるもんね。
糸井さん
外れがなんであるかっていうのは、みんな言えるんですよ。今、AIの時代だから。
田中
あぁ、なぜ外れるか、外れたか。
糸井さん
うん。で、それを考えるの、僕同時に得意なんですよ、実は。
田中
あ、自分で。
糸井さん
うん、割と俺、ネガティブな人間なんで。
田中
知らんかった(笑)。
糸井さん
根本的に(笑)。だけどそれはわかった上で、「なんでこんなにやりたいんだろう?」「なんで人がおもしろがるだろう」っていうところに、AIじゃない答えがあるはずなんで。
だからそこは、利口に動くっていう自分が、ある意味では邪魔だったんですよね。
田中
はい、はい。
糸井さん
掛け金を外したわけじゃないんですけどね。
いくら時間がかかっても、最後に完成させたらいい
糸井さん
もともとインターネットそのものが、建物を建てなくてもやれる仕事だったじゃないですか。そこで随分とロスとかコストについての考えが、なんていうか気楽になりましたよね。
田中
ああ、なるほど。
糸井さん
それの延長線上にもう一回戻りたいんですよね。
田中
糸井さんずっと前から言っているのは、インターネットで仕事をするっていうことは、やりかけのものを、今日はやりかけのまま明日に行くことができるっていう。
糸井さん
できる。
田中
これは本当そう思うから。で、最後完成させたらいいんですよ、いくら時間かかっても。
糸井さん
そうそう、そうそう。そんなことをずっと繰り返しているんで。
だから今のほぼ日で、僕が社長の時に始めたことっていうのも、全部まとめて自分たちの事業だと思ってるんで。
「明日稼げ」っていう仕事はないんですよ。
小泉社長の考える経営で大切なこと
田中
いやぁ、僕もちっこい、ひろのぶと株式会社、本当に零細企業なんですよ、まだ。でもなんとか会社をやっていきたいんですけど。
新社長、なにか僕にね、一言アドバイスできるとしたら何ですか? 会社の経営者とは、みたいな。
小泉さん
多分、糸井は「アイデア」って言うと思います。
私は、「人」ですね。
田中
「人」。
糸井さん
あー、いいですね!

放送:隔週 月〜金曜日 15:40ごろ〜
田中泰延
映画/本/クリエイティブ
1969年大阪生まれ。株式会社 電通でコピーライター/CMプランナーとして24年間勤務。2016年退職し「青年失業家」を自称し執筆活動を開始。2019年、文章術を解説する初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)を上梓。16万部突破。2020年、印税2割スタート・最大5割の「累進印税™︎」を掲げる出版社 「ひろのぶと株式会社」 を創業。





