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2026年7月1日「街角diary」廣瀬翼がお届けします。

廣瀬 翼


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約20年ぶりの「ニューアストリア」

週末、久しぶりに両親と千中へ行ってきました。

どれぐらい久しぶりって、ゆっくり千中で買い物をしてお昼ご飯も食べたのは、考えてみたら20年以上ぶり。びっくり。

「千中」とは、千里中央のこと。日本最初のニュータウン「千里ニュータウン」の中心にあるから、「千里中央」です。

北大阪急行(地下鉄御堂筋線乗り入れ)とモノレールの駅があり、阪急百貨店やショッピング施設がそろった街。

1970年の万博に合わせて開業し、その建築美が愛され、今年2026年3月に惜しまれながら閉館した「千里阪急ホテル」があったのも、千中です。

吹田市で育ち、9歳まではまさに千里ニュータウンの中である「北千里」に住んでいた私は、幼少期のちょっとしたお出かけにはよく家族で車に乗って「千中」に行っていました。

特にお正月や秋の連休に富山の祖父母が大阪に来てくれた時に泊まっていたのが、千里阪急ホテル。当時、敷布団生活でベッドに憧れていた私は、祖父母が大阪に来るたびに一緒にホテルに泊まらせてもらって、ふかふかベッドを喜んでいました。あ、でも、寝相が悪くて朝起きたらベッドとベッドの隙間にスポッとハマっているのが恒例でした。

そんな千中ですが、小さな頃によく行っていた喫茶店があります。

お店の名前は、ニューアストリア

お店を出たらすぐ下に北大阪急行のホームが見えるショッピングモール「せんちゅうパル」内の地下1階で、テーブルとカウンターを合わせて約20席の小さなお店です。

大学で東京に出てからも、大阪に帰ってくると「あそこのサンドイッチのお店、まだある?」「食べにいきたい」と言いながら、なかなか千中に行く機会がなかったのですが……

もう、念願の! です!!

前日にローカルテレビで紹介されたそうで、11:30時点でお店の前にはズラッと行列。でも、持ち帰り注文のお客さんも多く、回転も早いため、20分経たないくらいで3人中に入れました。

しかしですね、驚いたのが……店員さん、私が小学生の頃のおじちゃんが今も働いている……! 記憶の中のおじちゃんたち、まんまです。

父曰く「35年前と変わらない顔ぶれ(新しい人も入っているけれど)」だとか……。

ちなみに、父が大阪に転勤になってはじめてこのお店に来たのが35年前ということで、「ニューアストリア」自体はもっともっと老舗です。なんと、1970年開業なのだそう——創業50年を超えている!!

さて、ここが何で有名かというと……カツサンドです!

カツサンド 野菜入り(奥):750円、野菜抜き(手前左):700円、トーストサンド(手前右):500円 ※いずれも税込 ※ドリンクとセットで頼むと200円引き

写真手前が「野菜抜き」。奥が「野菜入り」。ちなみに、テイクアウトで頼むと「野菜抜き」のカツサンドになります。理由は、野菜から水が出てベタッとなってしまうから。

野菜入りには、細かく刻まれた玉ねぎ、厚切りのトマト、きゅうりが入っています。本当はこの玉ねぎの辛味とトマトの甘み・酸味のバランスが「ニューアストリア」の本当のおいしさなのですが、私は生トマトが食べられないので「野菜抜き」です。

カツサンド 野菜抜き

ふわっとしっとりしながら、表面にカリッと焼き目のついたパン。

食べやすく、それでいて噛みごたえもボリューム感もちょうどいい肉厚なカツ。薄く軽いけれど、サクッと感もしっかりある衣と上げぐらいも「カツサンド、食べてます!」という気分が上がります。

そして特徴的なのが、甘さと濃さと酸味のバランスが絶妙なソース。ウスター系? トマトの味? とにかく、ここのカツサンドの味としか言いようがない。スルッと食べやすく次についつい手が伸びてしまう、そんなソース。

また、片手でパッとつまんで一口でパクッといただけ、それでいてカツの食べ応えもしっかりあるこのカットサイズも、20年以上前の記憶と変わらず素晴らしい。

これ、もちろん店内手作業でカットまでされているわけですが、特に野菜入りのほう、押しつぶすことなくバラバラ事件を起こすこともなくこのサイズに美しくカットされているって、神技じゃないですか。

あとですね、上に添えられているパセリもすばらしい。飾りじゃないのよパセリは。見るからにイキイキとしっかりしていて、合間合間に少しずつパセリを摘むと、連続したソースの味がサラッとしてより食べ進みます。

大満足。

そしてこの日は、カツサンドと一緒にトーストサンド(ハムチーズ)も頼みました。

小さな頃は、大人がカツサンドを頼む隣で、私はいつもトーストサンドを頼んでいました。すごくシンプルなんだけど、家でつくるのとは違うんだよなぁ……素材なのか、焼き加減なのか。

もともとはカツサンドに野菜抜きができることを知らなくて、トマトが食べられないからという理由で好んでいたメニューなのですが、今では思い出の味です。

これも、記憶のままのおいしさでした。

それから、ドリンク。この日は昔ながらの喫茶店でしか見ることのなくなった「ミルクセーキ」を頼んじゃいました。いや〜、子どもな気分!

ですが、お店のおすすめは、ホットコーヒーです。ブラックなのに、甘い。まろやかな甘さと、焙煎の香ばしいほのかな苦味が、幸せな美味しさのコーヒーでした(と書けているのは、両親のコーヒーをちょこっともらったから)。

また、「ミックスジュース」や「バナナジュース」もこのお店の人気ドリンクです。小さな頃はよく「ミックスジュース」を頼んでいたのですが、牛乳のバランスと甘さが独特でまろやか、それでいて果物のバランスが爽やかでサラッと飲みやすい。

昔、缶ジュースの「大阪みっくちゅじゅーちゅ」が発売されて初めて飲んだ時、「千中のサンドイッチ屋さんのミックスジュースだ!」と思った記憶があります。あ、余談ですが「大阪みっくちゅじゅーちゅ」の力の抜けた筆文字は、赤井英和さんの直筆だそうです。

画像出典:みっくちゅじゅーちゅ公式webサイト

いやぁ、ほんとうに、やっと行けた。全然「やっと」って気がしないくらい、記憶のままの空間と味だった。あぁ、うれしい。

接客も、おじさんたち素晴らしくて。

例えば、席を案内するのにもカウンターが1席空いているから後ろの1人を先に案内……ということは、されません。必ず順番に案内するようにされています(テイクアウトの人は先に回すことはあります)。

さらにですね、これは我が家も小さな頃にやってもらって母が喜んでいたことなのですが、小さな子どもと一緒に行ってジュースを頼むと、1杯しか頼んでいなくてもコップを2杯に分けて持ってきてくれたりするんです。

おじさんたち、ありがとう……!

大阪にお越しで、千里中央まで足を伸ばす機会がある方、ぜひ「ニューアストリア」でカツサンドとホットコーヒーを頼んでみてくださいね。

基本情報
ニューアストリア
所在地〒560-0082
大阪府豊中市新千里東町1-3-8 せんちゅうパル B1F
TEL06-6831-2537
Webhhttps://www.senrichuou.com/shop/ニューアストリア/
営業時間10:00-16:00(L.O.15:30)
定休日木曜日・第4水曜日
(その他不定休有)
アクセス北大阪急行「千里中央」駅から徒歩1分
大阪モノレール「千里中央」駅から徒歩4分
※北大阪急行の改札近くの通り沿いです
その他支払いは現金のみ
予約不可
全席禁煙

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    1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語の先生を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。