今日こそは言わせてもらう
月曜日担当なので、祝日に当たってしまうことが多い。
本日は天皇陛下御誕辰の日である。彌榮萬歳。
そんなお休みの日に何を書いても仕方がないので、言わなくてもいいことだが今日こそは言わせてもらう。
かつて、「洗濯物畳み機」というのが存在した。

大きさは、ちょっと奥行きのある洋服ダンスくらいのものだった。
この機械の最下部に乾いた洗濯物を入れると、最先端のセンサー技術とロボットアーム技術を駆使して、数分後には写真のように綺麗に畳まれて出てくる。
価格は開発中ということもあって、185万円と高額だったが、家事の中でもかなりの時間と工数を要する「洗濯物畳み」がついに自動化され、人類の生産性向上と時短に飛躍的に貢献する、そういう発明だった。
そんな家電が、存在したのである。
「存在した」と書いたのは、今はもうないからである。
残念なことに、この夢のマシーンを開発した会社が倒産してしまったからだ。
なんという名前の会社で、なんという製品だったかは当時のニュースを検索してほしい。
「洗濯物畳み機」という画期的なアイデアで投資家から総額100億円以上を集めたこのスタートアップ企業は、2019年4月23日に負債総額31億8千万円で破産したのだった。
その理由は、「技術開発がうまくいかなかった」ということだったが、当時このニュースを聞いた私は「あっ」と小林製薬のように声を上げた。
なぜか。
破綻の1年半も前に、私はこの機械を目の当たりにしていたからである。
2017年11月2日。

私は「トレンドエキスポ2017」という見本市を見学した。


夏生さえり、カツセマサヒコ。なんとも懐かしい顔ぶれである。私は会社を辞めてぶらぶらしているだけの人だった。

そこで、体験したのであるよ、この「洗濯物畳み機」を。

洋服ダンスとそう変わらない大きさの機械の一番下に、乾いた洗濯物をものすごく適当に入れて引き出しを閉める。

数分後、見事に畳まれて出てきた。

自撮りした9年前の自分の顔は、大いに驚いている。
ものの見事に、というのはこういう仕上がりをいうのだろう。
ほんとに、めちゃくちゃに放り込んだ洋服、サイズもバラバラ、Tシャツもあればジーンズもある、それが綺麗にぴっちり畳まれて出てきたのである。
……そんな仕事を完璧にこなしていたマシーンを2017年に完成させていた企業が、1年半後の2019年に「技術開発がうまくいかなかった」という理由で製品化を断念したのである。
どういうことや。
「技術開発がうまくいかなかった」……?
私は、目の前で、放り込んだ洗濯物が畳まれて出てきたのを確かに見た。
あの日からずっと、心のどこかに引っかかっていたことを、いま、2026年になってやっと書くことができる。
大きな声では言えないが、私は声を大にして言いたい。どっちや。

あの日、あの時、あの筐体の中で、ちょこんと正座して洗濯物を畳んでくれた人、もういいでしょう。名乗り出てください。
今こそ話を聞きたい。
内緒でもいいです。取材源の秘匿義務は守ります。ご連絡ください。
ではまた来週。





