田中泰延が、いま会いたい人・話したい人と、聞きたいことを語るラジオ大阪の番組「田中泰延のふたりごと」。「街角のクリエイティブ」では、その放送の様子を記事化してお届けします。
今回は2026年2月14日(土)の放送の様子。株式会社ほぼ日 代表取締役会長・糸井重里さんがゲストの、第二夜です。
ほぼ日がここ数年で始めた、地方での事業。メディアからリアルな場所へ、どのような思いからつながっていったのか。糸井さんに直接聞いてみます。
さあ、今日も糸井重里さんと田中泰延の“ふたりごと”を、ちょこっとのぞいてみましょう。
(執筆:稲本琢仙、編集:廣瀬翼)
※ 本記事は、ラジオ収録を元に再構成しています
【 糸井重里さんゲストの回 】
▶︎ 第一夜(2月7日放送)
▶︎ 第三夜(Coming soon)
▶︎ 第四夜(Coming soon)
【 ゲストのプロフィール 】

糸井重里(いとい・しげさと)
株式会社ほぼ日 代表取締役会長
1948年生まれ、群馬県前橋市出身。1971年にコピーライターとしてデビュー。西武百貨店「不思議、大好き。」「おいしい生活。」など数々のキャッチコピーで一世を風靡、また作詞やエッセイ執筆、ゲーム制作など、幅広いジャンルでも活躍。1998年に毎日更新のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」創刊。『ほぼ日手帳』をはじめとする生活関連商品や、AR地球儀『ほぼ日のアースボール』、「人に会おう、話を聞こう。」をテーマにお届けする『ほぼ日の學校』などさまざまなコンテンツの企画開発を手がける。2017年東京証券取引所JASDAQ市場(現・スタンダード市場)に上場。著者に『インターネット的』(PHP文庫)、『すいません、ほぼ日の経営。』(川島蓉子さんとの共著、日経BP)、『生まれちゃった。』(ほぼ日)など多数。2025年12月、株式会社ほぼ日の社長を退任し、会長に就任。
X(旧Twitter):@itoi_shigesato
AIが言わないことを、やってみる
【今夜のお話】
「緊張してます」は、何の得もない
田中
さて、今日のゲストは株式会社ほぼ日 代表取締役会長CEO、ふふっ(笑)、糸井重里さんです。
ようこそいらっしゃいました。
糸井
今ちょっと鼻で笑いましたね。
田中
いや違う違う(笑)。長いもん! 代表取締役会長CEOって、肩書きが。
糸井
「なんぼのもんじゃい」みたいな(笑)。わかりますよ、でも。その気持ちは。
田中
いやいや(笑)。そんな糸井重里さんに、「そんな」ってなんや(笑)、お話をうかがっております。
田中泰延もね、糸井さんを前にすると緊張するんですけど、糸井さんにいつも言われるの。「『緊張してます』って言うのは、何の得もないよ」って。絶対そうですね。
糸井
なんの得もないね(笑)。
田中
必ず言う人いるじゃないですか、「僕、緊張してます!」って。
糸井
長くしゃべられることもあるんですよね、どれくらい緊張してるかってね。
田中
「僕は今日、糸井さんに会って、緊張してご飯も食べられなくて」とかね。言ってなんになるのかということですよね。
糸井
温泉入って緊張解きましたとか。
田中
そら僕、温泉入りましたけど、朝から(笑)。
ほぼ日の仕事は、何を求められているのかを考えること
田中
ほぼ日さんはいろんな事業をされていて。有名なのは、みなさんご存じ「ほぼ日手帳」。あとは「生活のたのしみ展」という、たくさんお客さんが来られる物販のイベントがあったりします。

田中
それが最近、糸井さん、そしてほぼ日の皆さんは、地域・地方に注目している。
糸井
はい。
田中
赤城山(あかぎやま) 、それから尾瀬(おぜ) 。
このへんに着目されて事業されていくってのは、これは?
※ 赤城山は群馬県の北東部に位置する山域。尾瀬は、福島県、栃木県、群馬県、新潟県の4県にまたがる高地にある盆地状の高原。日本最大の山地湿原である尾瀬ヶ原や火山堰止湖である尾瀬沼、その周囲の山稜などで構成される。


糸井
まだわからないんですよね。たとえば製薬会社だったら、どういう薬をつくるかというのは、そういう病気の人がいるってことが動機になるじゃないですか。
同じように僕らは開発するといっても、いま人がどういうものを求めているのかな、というところの助けになればいいとか。あるいは、ここにこういうものがあったらみんなが喜びそうだ、とか。そういうことを考える仕事なんで。
つまり、場所はどこに行ってもいい。その中で最近、「狭いな」と思っているんですよ。
田中
それは、都市部が。
糸井
都市部が。みなさん、高いお金を出してマンションを買ったとか、高い家賃払っているとか言うじゃないですか。
それって、あんまりじゃないかと思って。会社にいても、人がちょっと増えるだけですぐ狭くなっちゃう。土地や建物は高すぎるし。
田中
僕なんか、いつも思ってますもん。うちの社員が床に置いたペットボトルの面積に、1ヶ月家賃がいくらかかってるんやって。
糸井
小うるさいですね(笑)。
田中
慌ててね、ゴミ箱に入れてるんですけど。
糸井
そう田中泰延に思わせた状況というのが、ある種の病だろうなと思うんです。これは自分も嫌だし、みんなも嫌だから。
田中
そうなんですよ。
人が多すぎるところと、そうでないところをつなぐ
糸井
一方で地方では、親が住まなくなった家が売られ、買い手もつかずそのままに放置されて。田畑も耕されないままになっている。
広さがあるのに、そのままどうしようもなく置かれているわけですよね。こちらではペットボトルの面積をとやかく言っている社長がいるのに。
ここの間にもうちょっと、何かヒントがあるんじゃないかっていうのが、もともとのきっかけですね。
養老孟司さんなんかは、参勤交代をしたらいいんじゃないかと言っていたり。
田中
江戸時代みたいな、首都と田舎を行き来するみたいな。
糸井
そうですね。いろんな人が都市と地方の話はしているんですよね。
そこで、政治がやること以外に、なにかできることがあるかもしれないなと思って。
田中
はい、はい。
糸井
「観光」をやりたいわけでもないんです。ごみごみしているところと、広すぎるところとを、もうちょっとうまくつながらないかなと。
少なくとも情報はインターネットでつながるし、道もできているところが多いわけだから。とにかくお試しでジタバタしようよというところから、どこに行く? と。
それで、東京から100キロ圏内に前橋っていう僕の生まれた場所があって、そこでブックフェスをしたんです。みんながボランティアでつくる集いだったんですけど、それがね、ものすごく、おもしろかったんですよね。
※ 前橋BOOK FES:「家で眠っている本を集めて、新しい読み手との縁をつなぐ」ブックフェス。群馬県前橋市で、2022年と2024年に開催された。

田中
すごく、前橋に人が集まって。
糸井
はい。あれができちゃうって、すごいねって。
田中
うんうん。
糸井
それで、あの(前橋の)あたりから考えると、赤城には広い土地があるよなって見に行ったら、たまたま「こういうの、やりませんか」となって、一歩踏み出したという。
一歩踏み出してどうなるかは、まだわからないんですけどね。
ともかく、スペースのことでこんなに小銭にうるさくなっている状況から抜け出すヒントがあればと思って、始めたんです。
AIは答えないことが、やるべきこと
田中
うちの会社のスタッフの廣瀬翼さんがね、赤城山の「ほぼの駅 AKAGI」に行ったんですよ。
糸井
ね、行ってくれたんですよね。
田中
食べ物が美味しくて、雪景色で空気もよくて。そして東京からそんなに遠くないと。すごく良かったと言っていて。
糸井
そうなんですよ。

田中
ほぼ日さんらしい距離の取り方ですよね。たとえば、ものすごい僻地とか、南国とかにリゾートをぶっ建てるとかじゃなく、ちょっと行けるところに、「違うものの見方があるんちゃいまんの?」っていう。別に大阪弁では考えてないと思うけど(笑)。
糸井
ちゃいまんの。
田中
そこがええんかなと思いましたね。
糸井
みんながいいって言う場所は、みんなが同じことを考えるんですよ。
東京で土地が空くと、あらゆる不動産会社が手を出すんだけど、全部計画は同じになるそうです。
田中
なるほど。
糸井
何をしたら一番うまくいくか、儲かるか。AIが答えてくれるんですよ、今は。
田中
今はね。
糸井
だからAIでは考えつかなかったな、ということが重要で。
僕らの「ほぼの駅 AKAGI」っていうのは、駅だった場所なんで、それを活かしているんですけど。

田中
駅舎ね、昔の。
糸井
切符をマークにしたんですよ。今、切符ってないじゃないですか。みんなスマホとかでピッてするから。
初日に来てくれた人にオリジナルの切符をプレゼントしたら、すごく人気で。1101枚つくったんですけど、翌日にはなくなっちゃった。

糸井
AIは「切符を配れば?」とは言ってくれないわけで。僕らのやるべきことはそういうことなんじゃないかなと。
メディアに情報をのせていくとメディアが育つ、というのがほぼ日のやってきたのことなので。今回は、「場所があること」を始めた、ということです。
田中
「場所のあること」ね。
今日の曲紹介| 前川清「雪列車」
田中
そんな赤城山で雪景色を見てきたうちのスタッフ廣瀬ですが、今日、糸井さんが紹介してくれる曲はこちら。
前川清「雪列車」
なかなか話の流れがいいじゃないですか、これ。
糸井
なんか雪・雪でね。
田中
雪・雪で。
糸井
僕が作詞したのを、(紹介曲のラインナップに)ちょっと交ぜたんです。
田中
これ、作詞・糸井重里。
糸井
ちょっと印税が入ってくるじゃない。
田中
では聴いてもらいましょう。前川清「雪列車」。
おまけのトーク
♪ 前川清「雪列車」再生中♪
糸井
ものすごい真面目にしゃべっちゃいましたね(笑)。
田中
いやいや、いい感じです。赤城山の話、聞きたかったんですよ。
糸井
やってみると難しいんですよ。でも、思ったよりお金は使わないんです。
田中
あ、そうなんですか。
糸井
うん。でも人がとにかく動かなきゃなんないから、維持費がかかる。そこを中小企業としてどう考えるか。
ただ、あんな行くのに少し苦労する場所なのに、想像よりずっとお客さんが来るんです。それはありがたいですよね。
♪ 前川清「雪列車」おわり♪
田中
いや、いいですね。「あたたかいものを 何かください」。
糸井
はい。
田中
糸井さんの作詞についても2時間くらい、僕ラジオで話したいんですけどね。
糸井重里・作詞、前川清「雪列車」を聴いていただいたところで、今週はひとまずお別れです。本日のゲストは、糸井重里さんでした。ありがとうございました。
糸井
また来ます! 必ず来ます!
<次週も引き続き糸井重里さんをゲストにお迎えします>
【 糸井重里さんゲストの回 】
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| メール | akagiyama@1101.com ※お問い合わせはメールから |
| Web | https://www.1101.com/hobonoeki_akagi/ |
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放送:毎週土曜 18:45〜19:00
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田中泰延
映画/本/クリエイティブ
1969年大阪生まれ。株式会社 電通でコピーライター/CMプランナーとして24年間勤務。2016年退職し「青年失業家」を自称し執筆活動を開始。2019年、文章術を解説する初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)を上梓。16万部突破。2020年、印税2割スタート・最大5割の「累進印税™︎」を掲げる出版社 「ひろのぶと株式会社」 を創業。







