田中泰延が、いま会いたい人・話したい人と、聞きたいことを語るラジオ大阪の番組「田中泰延のふたりごと」。
「街角のクリエイティブ」では、その放送の様子を記事化してお届けします。
今回は2025年11月15日(土)の放送の様子。
NEO阿波踊り集団「寶船」連長で、『踊る阿呆の世界戦略』(ひろのぶと株式会社)著者の米澤渉さんがゲストの回、第二夜です。

プロの阿波踊り集団とは? 「NEO阿波踊り」ってどういうこと? など、寶船についてたっぷり伺った15分。
そして、本日の一曲は米澤渉さんご紹介の、寶船と縁ある曲です。
さあ、米澤渉さんと田中泰延の“ふたりごと”を、ちょこっとのぞいてみましょう。
(構成・編集:廣瀬翼)
【目次】
【 ゲストのプロフィール 】

米澤渉(よねざわ・わたる)
NEO阿波踊り集団「寶船」連長
1985年東京都生まれ。パフォーマー全員が赤い衣装をまとい、派手なメイクを施して激しく踊る独自スタイルの「NEO阿波踊り」で演者と観客が一体となる熱狂を生み、多数の海外ツアーも敢行。2025年までに世界26カ国で活動を展開してきた。2024年Forbes JAPANが選ぶ「カルチャープレナー(文化起業家)」30組の一人として選出された。2025年、初の著書『踊る阿呆の世界戦略』(ひろのぶと株式会社)を出版。2025年10月、父・米澤曜より引き継ぎ、連長就任。
法人化、世界進出、本の出版
『踊る阿呆の世界戦略』は寶船の浴衣の赤
田中
米澤渉さんは、私が代表を務める出版社・ひろのぶと株式会社から、『踊る阿呆の世界戦略』という本を出していただきまして。
米澤
はい。
田中
阿波踊りの本なんですよね。
表紙も、真っ赤な。
米澤
真っっっ赤な。
田中
真っ赤な本に黄色の帯で。
今ラジオ聴いている人にね、この真っ赤が伝わるかなぁ。
ラジオ大阪のですね、最新の技術で電波乗って、この真っ赤な色が伝わるといいんですけど。
米澤
脳に直接ですね(笑)。
田中
直接(笑)。
田中
本当に、書店さんの棚でも。今、たくさんの書店さんで平積みになっていると思うんですけど、目立つような真っ赤。
これは、寶船さんの法被の色でもある?
米澤
そうです、そうです。
僕たちのユニフォーム、浴衣がですね、真っ赤なんで。赤がトレードマークですね。
田中
あれ浴衣なんや、法被じゃないんや。
米澤
まあ、法被は短めのものをよく言って。結構、寶船の衣装は長いものなので、浴衣と言っていますね。
田中
あ、膝下まであるので踊ってはりますもんね。
米澤
そうですね。
徳島だけじゃない、一大文化の阿波踊り
田中
こちらの本の中では、たくさんのことを書かれていて。
1つは、阿波踊りとの出会い。
米澤
はい。
田中
先週もね、ちょっとお伺いしたんですが、徳島生まれではないんですよね、渉さんは。
米澤
そうなんですよ。僕は東京生まれで、父の出身が徳島であったってことなんですね。
で、僕は東京生まれなんですけど、父が上京して東京に家庭を持ったので。それで、ふるさとのお祭りをやらせたいということで、95年に寶船をつくったんですよ。
田中
1995年だから、今年で30年。
米澤
30周年です、もうあっという間に。
最初は東京にも阿波踊りのお祭りというのがいくつもありまして、その商店街のお祭りに出るところから、10年ちょっと前くらいに法人化をして、本格的にプロになったという経緯があります。
田中
これね、大阪の人にピンとこないかもしれないんですけど、実は徳島のお祭りである阿波踊り。近すぎて、大阪の人はあんまり馴染みがない部分もあって。
米澤
逆に、そうですよね。
田中
でも、東京は大変なことになっているんですよね。
米澤
東京は本当に、20カ所くらい東京の中でもお祭りで阿波踊りをやっているんですよ。
田中
下北沢とか、経堂とかね。特にすごいのが、高円寺?
米澤
高円寺は本当に120万人とかっていわれていますよね。
田中
すごい、高円寺の街に、阿波踊りを見るために、120万人の人が集まる。
米澤
来る。はい。
田中
すごいですねぇ……。
米澤
すんごいお祭りにね、なっていますけどね。
コロナ禍が一つの危機感に。株式会社化した理由
田中
一大文化になっている阿波踊りなんですが、そうやってお父さんが徳島で阿波踊りをやってらして。
で、米澤さんは今、株式会社にもしてしまっている。
米澤
そうなんですよ〜。
田中
この辺ちょっとね、「どういうことなん?」みたいなのを。
米澤
阿波踊りというものは地域のお祭りなので、基本的にそれでお金を取るとかっていう文化ではなかったところから。
でも、やっぱり今後、阿波踊りというものは世界的にきっとこの価値が分かってもらえるものだって可能性を信じていたので。
で、海外に出るときに他の和太鼓グループさんですとか、三味線のアーティストさんみたいな形で、僕たちもプロとしてお金をいただく立場になって、それで世界をまわれたらいいなと思ったんですね。
田中
うん、うん。
米澤
最初は社団法人にして、別に利益を追求するというよりは、お金は回すけども、僕たちの活動自体、文化を広めるという形でやってきたんですけども。
田中
ええ。
米澤
2024年に、コロナ禍が終わって。
僕たちは結構、大打撃を。日本中の日本文化の方が、本当に苦しい状況になったと思ったんですよ。
そういうタイミングで、これは経済的にももっと自立して、文化として、例えば補助金に頼るとか支えてもらうだけでなくて、ちゃんとお金を稼げるものにしないと、いずれなくなってしまうんじゃないかっていう。そういう不安とかを、持ったんですね。
田中
ふうむ。
米澤
で、2024年に株式会社化をして、阿波踊りというジャンルから、もうエンターテインメントとして認知されるように動けないかなということを頑張ってやってきたんですよね。
それが株式会社化の理由ですね。
田中
なるほど。
株式会社として阿波踊りを仕事にしているのは、日本で唯一?
米澤
そうですね、唯一だと思いますね。
田中
ということは、世界で唯一やね。
米澤
そうです、そうです(笑)。
オンエアの頃は、中米で踊っている
田中
エンタメ集団としての阿波踊りのチームで公演してきたのが、世界26カ国? 今。
米澤
そうです、26カ国。
田中
まだ伸びていく予定ですか?
米澤
もう、本当に今この放送があるときには中米にいるので。
コスタリカとか、エルサルバドルとか、ベリーズとか、ニカラグアとか。そういうところを、今、オンエア中はまわっているみたいな。
※ 今回の中米ツアーで公演したことのある国数は増えます。
田中
すごい。
そういうところで、そもそもこれね、これも疑問なんですけど。
「阿波踊りをやってくれ」言うて、その国の人から、興行主とか公共機関とか。そういうところからリクエストがある?
米澤
そうですね。
やっぱり日本文化をこっちで見たいという需要はむちゃくちゃあるんですよ。
アニメが世界的に人気ですし、それに伴って日本の文化が好きな人めちゃくちゃ多いんですよね。
田中
なるほど。
米澤
日本の文化というと、和太鼓ですとか、歌舞伎、能みたいところが有名なんですけど。
その中で太鼓のリズムがあってダンスがあるというのは、どの国にとってもニーズはあるみたいで。
で、1度行った国にはまた呼んでもらえる、みたいになっていますね。
本を通して、阿波踊り関係の人が応援してくれるように
田中
それで、この書籍『踊る阿呆の世界戦略』。著者が米澤渉さんなんですけど。
阿波踊り、幼い頃の出会いから、会社にしちゃう。それから世界に進出していくっていうことが。
これね、僕ら出版社・ひろのぶと株式会社としては、ビジネス本のつもりで出しているんですが。
米澤
はい、はい。
田中
でも、読み物としてめちゃくちゃ面白いという感想をいっぱいいただいていて。
どうですか? 本、書籍というものを出してみて、反響は?
米澤
めちゃくちゃ反響は思った以上に多いですね。
特に僕たち誤解されるグループだったんですよ。
新しいジャンルの音楽とコラボレーションするとか、HIPHOPの方と一緒にやるとかって、(今の)阿波踊りの常識から考えたらめちゃめちゃ異端なことなんですね。
田中
うん、うん。
米澤
そうすると、文化を破壊しているんじゃないかとか、勝手に若い者が掻き回してこんなことをしないでほしいって、きっとこれまでは寶船に対して思った方もいたと思うんですけど。
田中
あぁ……。
米澤
それが、阿波踊りの関係の方がこの本を読んでくださって。
ちゃんと理論があったり理由があったりしてやってきているんだということに、共感して応援してくれるって人が、すっごく増えたんですよ。
田中
なるほど〜。
米澤
本当に、これまでは寶船に対して肯定の意見ばかりではなかったので。
「僕たちがやっている阿波踊りを、いつか認めてもらいたい!」と思ってやってきたので、本によってこういう結果になって、めちゃめちゃうれしいですね。
田中
うん、うん。
僕ら出版社に届くメッセージっていうのは、SNSも含めて。
「とにかく読み物として面白い」
米澤
へぇ〜!
田中
「血湧き肉躍る読書体験でした」とかね。うれしい感想をいっぱいもらっている。
米澤
うれしいですね。
今日の曲紹介|The Jam「In The City」
田中
本日の、渉さんの紹介の一曲。
The Jam「In The City」
これは、どういう思い出が?
米澤
The Jamってパンクバンドなんですけど。
この「In The City」を、寶船がプロになってからずっと、入場のSE(音響)で使っているんですよ。
なんでこの曲を使ったかというと、歌詞が「この街に俺は言いたいことがある」と。「みんな俺たちをバカにしているかもしれないけれど、俺たちは、俺たちのやっていることを見せつけてやりたい」っていう歌詞なんですね。
プロになったばっかりの頃は、誰も僕たちのことなんて分かってくれないと思っていたので、この「In The City」の歌詞に自分を投影していたと思うんですよ。
「俺たちのことみんな、『阿波踊り? なにそれ、つまんないよ』て思っているかもしれないけど、俺たちの阿波踊り見てくれよ!」っていうことで、SEにした思い出の曲。ぜひ、聴いてください。
来週は他の寶船メンバーも登場予定!
田中
すごい、パンクの曲で阿波踊りの集団が入ってくる。それも、世界の人たちの前で、この曲にのせて入場してくるという。
米澤
そうなんですよ。
田中
なんなんや?! ってなる。
米澤
これ、僕ら本当の入場曲でずっと使っているので、聴くだけでちょっと緊張してくるっていう(笑)。
田中
わはは! 本番始まる!
米澤
そう、始まる! みたいな(笑)。
20代半ばで僕たちプロになったので。この歌で「25歳以下の俺たちの意見を聞いてくれ!」みたいな歌詞になっているんですけど。まさにこのモチベーションでやってきたなと。
今は僕、結構年齢も重ねたので次のフェーズなのかもしれないですけど、その初期衝動を思い出しますね。
田中
ああ〜。
じゃあ、メンバーのみんなもね、世界に出ていくメンバーも、これを聴いて「よーし!」と出ていくわけですよね。
米澤
そうですね。
1万5千人くらいのキャパの「Japan Expo」とかも、これで出ていって。
田中
そんな世界に挑んだメンバー、今も挑んでいるメンバーのお話もお伺いしたいので。 来週もね、今度は寶船のメンバーの方もぜひ、いらしてください!
米澤
そうですね、はい! 呼んできますので!
<次回につづきます>
米澤渉さんの著書
踊る阿呆の世界戦略
世界26カ国を熱狂させた NEO阿波踊り集団 寶船の挑戦
米澤渉|ひろのぶと株式会社
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放送:毎週土曜 18:45〜19:00
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