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2026年5月【連載】唐木俊介のなんかいいたい

唐木俊介


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5/1(金)
朝刊各紙の1面は円の急騰に関する記事。外国為替市場で対ドル円相場が5円ほど円高となり、一時1ドル155円台まで急騰したという。1ヶ月前の4月1日は、東京株式市場が前日の大幅下落から一転、日経平均株価が5日ぶりに大反発した。毎月1日は私の日記が公開されるため、金融市場が劇的に変動する。昨日は片山財務大臣が為替介入を匂わせる発言で市場を牽制したが、そんな小細工は不要である。
ひと言物申したところで今日の話。夕方、街角のクリエイティブを運営するひろのぶと株式会社の方々から「日記に感想が届いてますよ」と、Twitterのスクリーンショットをお送りいただいた。数々の懐かしいアイコンや温かいコメントを拝見して思わず江頭が熱くなった。皆様ありがとうございます。
さて、これから日本海へ向かうので今日はこの辺りで。


5/2(土)
車中泊で5時起床。コーヒーを淹れて波チェック。とあるビーチに辿り着き、ウェットに着替えて即入水。腰腹くらいの波は3時間でサイズダウンして撤収。帰りの車中でBEFORE DAWN、田中渓のVALTURE RADIO、ダイアンのTOKYO STYLEを聴く。燃え殻さんのラジオで最近よく「タナカケイさん」と名前が上がっていて、俳優の田中圭さんかと思っていたが全くの別人だった。
BarKongのジンくんから先月の日記にメッセージが届いた。末尾に「スーパーに行く途中、放屁したくなったので”これは大きな音が出るぞ!”と片尻を浮かせ勢いよく放ったらミが出ました。次回はファに挑戦したいです」とある。畏友は皆、高みを目指している。


5/3(日)
連休二日目。ボードのメンテナンスやら洗車やら、朝からゴソゴソと動く。昼から家族で近所のショッピングモールへ。駐車場はララランドのオープニング並みの渋滞。店内もドラクエIII発売日のビックカメラ池袋店と見紛うほどの混雑ぶりであった。
Netflixで『地獄に堕ちるわよ』を観始めた。おもしろい。Netflixで1話観終わるたびに画面右下に出てくる「▶︎次のエピソード」をクリックする確率は2億パーセント。


5/4(月)
朝から水回りの掃除(風呂やトイレのパーツをバラす本気モード)に勤しむ。作業しながら中川家ザ・ラジオショー拝聴。ゲストには落語家の桂三度氏。以前は世界のナベアツとして人気を博していた氏が高座名の由来を語っていた。師匠の桂文枝から「①三度のご飯に恵まれるように ②漫才師→構成作家→落語家という3度目の挑戦がうまくいくように ③苗字である渡辺の”渡”を左右に分けて”三度”とし、本名の一部が高座名に残るように」…想いが詰まったエピソードに掃除の手を止めて聴き入った。そこで思い出したのが作家の直木三十五である。直木三十五の本名は植村宗一。桂三度と同様に”植”の字を左右で分けて”直木”とし、当時の自分の年齢をあてた「直木三十一」が最初のペンネームだった。氏の雑誌デビューは『拳田の迎撃』という短編だったが、作者名は「直木三十三」となっている。33歳だったのである。氏は年を重ねるたびに筆名を変え、なぜか三十五でストップしたまま活動を続けた。と、書きながら思う。ナベアツの方が深い。
今日から山陰に北西ウネリがヒット。明日の朝狙いで、いざ北へ。唐木四十五


5/5(火)
島根中部のビーチで入水。予想よりも小ぶりでパワーレスだったので昼前には切り上げて波情報をチェック。鳥取のコンディションが良さそうなので着替えて東奔。ゴールデンウィークということもあり山陰道は一部渋滞。昼過ぎに鳥取中部のリーフポイントに到着。クリーンな胸サイズの波が形良く割れており、アドレナリン大放出。海の中では久々の再会もあり、テンションが上がったまま19時前まで入水してしまった。さんざん良波を堪能した日没間際、ピンク色に輝く海面を、そこに浮かんだまま眺める。これほど贅沢な時間はない。
夕飯はスーパーで食材を調達して海辺で鍋。こういうのがいい。明日の朝もウネリが残りそうなので、今日はこちらで寝るとする。


5/6(水)
4時起床。ナッツとバナナを摂って波チェック。昨日と同じポイントで5時過ぎに入水。序盤はコンスタントに良い波が来ていたものの、徐々に波数が減り、サイズも下がったので8時には上がって帰路についた。
昼からまったりしている。メロウな連休最終日である。洗面所でゴソゴソしていた長女に遠くから「何してんのー」と聞くと「髪巻いてる」と言うので「巻いてるジャクソン?」と聞き返してスベったり、あそこは巻いてるジョーダン、もしくは巻いてるJフォックス、いや巻いてる富岡と言うべきだったかと考えたり「マイケルがつく有名人」で検索したりしているうちに夜になった。大型連休最終日、完全に一流ビジネスパーソンの過ごし方である。


5/7(木)
間違えて5/7(月)と書いてしまい、慌てて書き直した。疲れている。なんとか、1日を終えた。今日働いた人は、そ、それだけですごい。


5/8(金)
岡山の県北でツキノワグマの目撃情報が多く出ている。夜中に日本海へ向かう時、以前は鳥取と岡山の県境あたりで道端に車を停めて外でストレッチをしていた。最近は怖くてできない。銃が要る。
駆除反対派からの声も依然上がっているようだ。各地で”クマとの共生”を謳うシンポジウムが開かれているという。そういうのはクマが沢山いる山奥でやってほしい。


5/9(土)
朝から娘の中学校運動会へ。綱引き、玉入れ、ムカデ競争、応援合戦、組別対抗リレー。ひたすら全力の中学生たち。眩しい。眩しすぎる。どこを切り取ってもポカリスエットのCMになる。リレーの終盤など、なぜだかわからないが泣きそうになった。運動会というのは、実はものすごいイベントなのではないか。
家に帰ると、砂埃でVIVANTのロケ帰りくらい髪も服もギシギシ。ずっと手に持っていた一眼レフは粉塵まみれ。最高。


5/10(日)
6時起床からのウチヤマダフーヅ朝礼。日曜の朝から久々の朝礼に背筋を伸ばす。どんな自己啓発本よりも同社の朝礼である。
母の日ということでT子さんに会いに行ったが終始爆睡。こんな日もある。


5/11(月)
『地獄に堕ちるわよ』を7話まで観た。おもしろい。ところで、芸能人の昔話などで多額の借金返済エピソードを聞くたびに思うのだが、例えば5億の借金を返すというダイナミックな動きの中で、少しだけ私にも振り込んでほしい。2万くらいでいい。


5/12(火)
スナワチで購入したベルトを月曜から使っているが、とても良い。真鍮バックルと黒革30mm幅のシャープな見た目で仕事でもプライベートでもシーンを問わず使える。また宝物が増えた。スナワチは5/18で開店から8年になるとのこと。おめでとうございます。初めて前田さんにお会いしたのは開店直後の5月末頃。あれからもう8年か。早い。
さて、今日も『地獄に堕ちるわよ』を観るわよ。


5/13(水)
昨日『地獄に堕ちるわよ』が面白すぎて、今日が多忙と分かっていたのに途中で止められず、最後まで観てしまった。今日は完全に寝不足。丸一日、絶望的にしんどかった。さすが占い師。細木数子の言うとおりになってしまった。


5/14(木)
自動車税の払込用紙が届いた。T-BOLAN風に言えば払いたくはない。
明日はサッカーW杯日本代表メンバーの発表である。今回は年齢的に厳しいかもしれないが、一応準備はできている。


5/15(金)
先ほど娘を塾まで迎えに行って、これから高知・四万十へ。4時間超のロングドライブである。丸一日、仕事をして帰ってきて、そのまま片道4時間運転してでも海に行きたい。サーフィンほど魅力的なアクティビティが他にあるだろうか。向こうに着くのは1時すぎか。少ししか寝れんな。


5/16(土)
5時に起きて波チェック。どこも満潮でボヨついた小波。ショアブレイク気味で苦戦しているところに、生見で開催中のプロジュニアオープン帰りの宮崎ボーイズが入ってきた。このコンディションの中、どこにそんな波があるのかと思わせる凄まじいサーフィンを見せつけられて大いに刺激をもらう。初日でプロ相手に負けて、これから宮崎に帰るという。上には上がいる。いすぎる。おじさんも頑張らねば。
昼寝からの夕波狙いで再度入水。15時過ぎから上げ込みでコンディションが上向いた。若干サイズアップして18時の満潮付近まで乗り倒す。
カツオの塩タタキ丼を食べるつもりで道の駅へ行くと18時で閉店していた。以前は19時までだったはず。気を取り直して満洲軒へ行くと、入り口に「本日予約で満席です」とある。そこをなんとか…とお願いすると入れてもらえた。あざます。ジャン麺とライスで至福。
21時半。今治まで帰ってきた。あとは瀬戸内海を渡るのみ。しかしここからが長い。もう家が来い。


5/17(日)
7時まで爆睡して朝から洗車。夜中に山道を走るとフロントに虫が付く時期ハズカム。マイクロファイバーで、こびりついた虫の死骸を入念に拭き取る。虫は車道をうろうろしないでほしい。
夕方、車に乗ろうと外へ出ると、洗車したばかりのボンネットに黒い斑点が付いていた。フッと吹くとヒラヒラと飛んでいった。後から分かったのだが、灰だった。昼過ぎから、10kmほど離れたところで大規模な山林火災が起きているという。映像を見たが、かなり深刻。一刻も早い鎮火を祈る。


5/18(月)
山火事鎮圧の一報。怪我人が出ていないようでよかった。友人Kは地域の消防団員として2日間に渡って消火活動に励んだとのこと。尊すぎる。


5/19(火)
車のエアコンの効きが悪い。夏も目前だというのに、壊れているのかもしれない。しかし悲観することはない。これはあまり知られていないが、エアコンというのは、壊れて初めてその真価を発揮するのである。だって壊れたらエア来ん。


5/20(水)
Youtubeで1992年の丸井プロサーフィン選手権の映像を見ている。30年前にテレビで放送されたもので、最後に当時のテレビCMが流れる。これがたまらなく良い。サザンの歌に「ホーリーナイトをセットする」のコピー。”MARUI CHRISTMAS”と出てCMは終わる。後で調べたら、サザンの歌は「CHRISTMAS TIME FOREVER」というタイトルだった。他にもYoutubeで90年代のCM集をいくつか見たが、90年代って、ものすごく楽しかったのではないか。今も十分楽しいが、どうもそのように思う。というか、CMがぜんぶ良い。長い年月が経ってから見返して感動する、そんなCMが、今どれだけあるだろうか。


5/21(木)
Instagramでトレーニング系の人たちをフォローしているせいか、おすすめのリール動画に「私の朝のルーティン」みたいなイキリ動画が頻繁に流れてくる。
5:30 wake up (寝室でダークトーンのイキリ布団を剥ぐ)
5:40 shower  (イキリ顔で髪を拭きながらシャワールームから出てくる)
5:50 breakfast (イキリキッチンでスムージーを飲む)
6:00 stretch (天井から植物がぶら下がったイキリリビングで謎のヨガポーズ)
6:15 morning run(自撮り棒を持ってイキリラン)
…といった調子である。誰か私の朝のルーティンを撮ってほしい。起きてまず、でかい屁。


5/22(金)
車のエアコンが完全に壊れている。冷たい風が出ない。設定温度を低くして風量を上げると、温風がボーボー噴き出してきて、乗るたびにキレそうだ。


5/23(土)
奥さんとNetflixで映画『爆弾』を観た。おもしろすぎた。さっきから渾身のモノマネでタゴサクになりきって過ごしているが、誰からも目立った反応はない。もともと似ているのか。


5/24(日)
『九条の大罪』を観た。40分ほどのエピソードが10話。朝から用事を挟みながら合間に観続けているうちに全て観終わってしまった。世界そこで終わるのか選手権が開催されたら2位に圧倒的な差をつけて優勝するほどのそこで終わるのか具合だった。
中学の同級生Yを見つけて思わず車を急停止。実に20年以上ぶりの再会。懐かしくてうれしすぎたぞ。
夕方から強い西風が吹いている。もっと強く吹いて月曜の到来を遅らせてほしい。


5/25(月)
食料品の消費税をゼロにするよりも、月曜日に働いた人に手当を支給してほしい。月曜日はただでさえ身体が重い。しかも最近は気温上昇のせいか、月曜日の頻度が上がっている気がする。体感では週3で月曜日が来ている。


5/26(火)
久しぶりに虎屋のどら焼きを食べたのだが、明らかに小さくなっている。価格は変わらず量が減る、いわゆるカントリーマアム現象である。私が学生の頃は両手で抱えなければ持てなかったカントリーマアムも、今では指でつまんで食べられるほど小さくなった。しかし食品各社、よく考えてほしい。価格を据え置きにして量を減らすくらいなら、量は減らさずに価格を下げた方が明らかにメリットがある。なぜそんな簡単なことに気づかないのか。


5/27(水)
今年46歳になるというのに、いまだに「&」を上手く書けない。書く前に一旦戸惑い、実際に書くとどうも歪である。日本語でいえば「む」や「を」のようなものだろうか。
「を」といえば中勘助の『銀の匙』には「を」の話が出てくる。主人公の少年は泣き虫でいつも伯母さんの後ろをついて歩く。人見知りの彼は、放っておくと一日中でも窓と箪笥の隙間に身を潜めている。ある日の少年、何を思ったか箪笥に「を」の字を書き始める。やがて箪笥の側面には数えきれないほどの「を」が並んでゆく。しかしこれは単なる落書きではない。彼は「を」の字姿に正座する女性を見出だし、泣き虫の自分を慰めていたのだ。時に女性は微笑み、少年の頭を優しく撫でてくれる。といった話である。
もういい大人なので、躊躇いなく「&」を書けるようになりたい。このWEBマガジン”街角のクリエイティブ”を運営するひろのぶと株式会社のロゴ「Hironobu&Co」の「&」には右上に本のイラストが乗っていて、誰かが座って本を読んでいるように見える。私も少年のように、本を読む誰かをイメージしながら紙にいくつかの「&」を書いてみたが、どうも歪である。


5/28(木)
ボードビルダーRさんからボード発送済みの連絡。九十九里から福山まで、中1日といったところか。私のニューボードにもしものことが起きてはならないので、国土交通省に連絡し、今週日曜までの間、東名・名神・山陽道の下り線はいずれも終日通行止めにしてもらった。一応ベゾスにもLINEしておく。


5/29(金)
「塗装のことならなんでもお任せください!!TEL:川崎塗装 084-***-****」と書かれた看板の塗装が剥げ散らかしている。T-BOLAN風に言えば任せたくはない。


5/30(土)
6時に起きて奥さんと次女と三人で遠征。今日は次女が属するバレー部最後の試合であった。おじさんは涙もろい。子どもたちが全力で頑張る姿を見ると感涙必死である。
夕方T子さんに会いに行ったが眠そうにしていた。こういう時、最近は手を握って話しかけるようにしている。言葉を考えて発するのがしんどい時、T子さんは返事を言う代わりに手を握り返してくる。表情と手の握り方で何を言っているのかがわかる。わかるのだ。
夕飯後、波予報を見て波乗行を中止。21時からプールへ行って500m1本からのキック300mからのノーブレス25mを20本からのダウン200mで燃尽。「ねんじん」と打って「燃尽」に変換しようとしたが、なかなか出てこず、ひたすら変換キーを押していたら「燃尽」より先に「稔侍」が出てきて思った以上に小林だった。


5/31(日)
朝から読書。大宮エリー『生きるコント』、ササキアイ『フリーズドライ』、キム・エラン『外は夏』の各書から、5話ずつくらい選んで読んだ。
夜は実家で食事会。食後に自分の部屋を片付けていると、小中学校の卒業アルバムが出てきた。娘たちに見せると、私の子どもの頃からの顔の変わらなさに終始爆笑であった。少し離れたところでアルバムを捲る姉妹。俺そんなに映ってたっけ?というほど笑いが起きるので近づいて見ると、当時の私がところどころに落書きをしているのだった。例えば修学旅行のページなど、黒マジックで、いろんな人の顔にティアドロップのサングラスを描いている。厳しかった先生も、真面目だったあの娘も、みんなトップガンのトムクルーズみたいになっている。なかなか良い。30年前の自分を褒めてやりたい。


5月が終わった。

 

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  • 唐木俊介 エッセイ


    1980年生まれ 広島県在住 会社員