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2026年3月23日「街角diary」田中泰延がお届けします。

田中泰延


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食べるためにはたらく

若い頃、会社の先輩に

「動物は食べるためにはたらくが、人間ははたらくために食べるんだ」

とわかるようなわからないようなことを言われた。

まぁそうかもしれないのが、今からやる仕事のために燃料補給する、というのは味気ない。それが目的なら、宇宙食みたいなものでも点滴でもカロリーを摂れればいいという話になる。

ちなみに「はたらくという言葉はハタがラクになるということなんだよ」などと嘘を言う人がいて困る。

「あの人はいい働きをする」という場合はハタがラキになるというのか。

「働こう」と呼びかけたらハタがラコにでもなるのか。


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これも若い頃に見たのだが、ある会社の壁に貼ってあった標語みたいなものを覚えている。

「いいもの食べて、いい仕事」

これまたわかるようなわからないような話だ。やっぱり食べるのが先になってる気もする。

どうもみんな先に食べてしまいたいようだ。


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思えば、労働して、その対価をもらって食べてきた。人間は、食うために働くのである。

はたらきが先、相武紗季。食べるのはその報酬だという人生観は変わらない。

「食い詰める」という言葉もあるくらいで、収入がなくなったら食べることができなくなる。

「衣食足りて礼節を知る」というが、食が足りなければ、人間らしく明るく振る舞うことは、少なくとも私にとっては難しく感じる。


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また、若い頃から私は、学校の先輩、会社の上司、初めて会った方、目上の人、もう数限りなく「ご馳走になった」、つまり「食べさせてもらった」思い出ばかりだ。

一宿一飯の恩義、というが食べさせてもらった感謝は忘れることがない。

「なにか美味しいものでも一緒に食べましょう」

という気持ちをもらうことは、ほんとうにありがたいことである。

そもそももちろん、親、配偶者様も、私に美味しいものを食べさせようと思ってくれてきたので、私はいま生きているのである。配偶者様って日本語がいまできました。ありがたや。

だから、私はお金がない時でもせめて

「これでなにか旨いものでも食ってくれや」

と割り箸を渡すようにしている。

けっこう喜ばれるのでみなさんもやってください。


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そんな「食べること」を大事にしている私は、自分の会社を運営するにあたって、一仕事終わった後の「なにか美味しいものでも一緒に食べましょう」を、めちゃくちゃ大事な時間だと思っている。

いま自分のスマホでここ2ヶ月ほどの写真をみたら、仕事終わりに仲間と食べる写真だらけで、みんな食べる時はいい顔してるなぁと思う。

一番写真を撮りたくなるのは、みんながいい顔して食べる時の写真です。

みんなというても、同じ人たちばかりですが、これが中小企業というものだ!!

きょうはみんなと何を食べるでしょう。


ではまた来週。

 

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  • 田中泰延 映画/本/クリエイティブ


    1969年大阪生まれ。株式会社 電通でコピーライター/CMプランナーとして24年間勤務。2016年退職し「青年失業家」を自称し執筆活動を開始。2019年、文章術を解説する初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)を上梓。16万部突破。2020年、印税2割スタート・最大5割の「累進印税™︎」を掲げる出版社 「ひろのぶと株式会社」 を創業。