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ゲスト立川談笑さん 第四夜【ラジオ大阪】田中泰延のふたりごと(12月27日放送)

田中泰延


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田中泰延が、いま会いたい人・話したい人と、聞きたいことを語るラジオ大阪の番組「田中泰延のふたりごと」。「街角のクリエイティブ」では、その放送の様子を記事化してお届けします。

今回は2025年12月27日(土)の放送の様子。12月の放送のゲストは、落語家の立川談笑さん。今回が、第四夜(最終回)です。

談笑さんにとって、2025年はどんな一年だったのか。落語で談笑さんが追求しているテーマとは。尽きない話に笑い声が絶えない15分。

さあ、立川談笑さんと田中泰延の“ふたりごと”を、ちょこっとのぞいてみましょう。

(構成・編集:廣瀬翼)

立川談笑(たてかわ・だんしょう)
落語家

1965年 東京都江東区生まれ。早稲田大学法学部卒。予備校講師などを経て、1993年 立川談志に入門。立川談生を名乗る。1996年 異例のスピードで二ツ目昇進。2003年 6代目立川談笑を襲名。2005年 真打昇進。2015年 彩の国落語大賞受賞。古典落語を独自の視点で解体・再構築する改作落語と、大胆な新作落語で熱い支持を集める。フジテレビ系 朝の情報番組「とくダネ!」でレポーターを務めお茶の間に親しまれるなど、メディアでも活躍。2023年、ひろのぶと株式会社より『令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜』を出版。

X(旧Twitter):@danshou

※ この番組は、「結果のわからないチャレンジャーを応援する」FIRST DOMINO株式会社の提供で放送されています。


立川談笑が落語でやりたいこと

「創作・改作」に集中的に取り組んだ2025年

今週もゲストは、落語家、落語立川流 真打 立川談笑師匠です。よろしくお願いいたします!

よろしくお願いします、談笑でございます!

いやぁ、もうね。ここまでお話をうかがってきて。

早稲田大学法学部から、なぜか落語家。それもあの家元・立川談志師匠に弟子入りをして、そしてですね、談笑一門ができて、立川吉笑さんが一番弟子として真打になられてと。

ここまでで、ものすごく濃いぃ感じのお話をうかがってきたんですが。

ふはは。

毎年ね、談笑師匠は、私もしばしばお伺いしますが、独演会*。

はい。

このテーマというのが、いろいろされてきたと思うんですが。

ええ、ええ。

今年、2025年というのは、独演会はどういうテーマで?

都内で月例独演会というのは、二百何十回かな? ずっとやっているんですけど。

今年に関しては、「創作・改作大会」。

創作・改作大会!

つまり、古典で自分が気に入ったのもお客さんが好きでいてくれるものもあるけれども、そういうのじゃなくて新しいもの。

できれば、ネタ下ろし。つまり初演ですね、初めて演るやつ。というのを、たくさん、集中的にやろうと。そういう年でしたね。

それは、新しくつくった落語が多い?

多いです。多いし、初めて演る、初めてかける落語。それを2時間、三席、ひと月に1回やるわけですけども。

還暦を迎えて、自分はどこまでいけるのか

つまりはですね、クリエイティブというか。

うん。

新しいものをつくる。新しい落語なり、新しい発想・物語をつくるっていうのって、なんかやっぱり、枯渇してくるわけですよ。

はい。

今年は私が還暦ということもあって、そのあたりどこまでまだいけるんだろうと。

談笑さん、還暦?!

還暦ですよ。

えぇ〜! びっくり! いやぁ、若く見えるわぁ。

5年くらい前からね、ほぼ還暦だと思ってたの。

どういうこと、それ? サバ読みすぎじゃないですか。

いや、自分の中。「あーぁ、もう還暦だな」っていうふうにずっと思っていたら、「あ、まだ俺58だぞ?!」みたいな。なんかヘソクリ見つけたみたいなね(笑)。

でも、本当に還暦を迎えるわけですね。

うん、今年9月でね、還暦を迎えて。

で、それもあって、どこまで自分はいけるのかなと。

うん、うん。

月例独演会というのは、いつも(自分を)追い詰めるくらいのつもりでいますから。毎月毎月でね、お客さんも毎月来てくれるから、もう勝負なわけですよ。

ええ。

追い込んで追い込んで。

で、追い込んだらどうかな、できるかなと思ったらね、できたの、これが。たくさんできてね。

はぁ〜。

あっ、まだいけるなぁと。

新作、新しいのもそうだし。古典をこんなふうに変えましたとか。

うん、うん。

それも、「あっ、この手があったか!」とか、すごい大発見があったりとか。

ほう〜。

もう、実りのある年でしたね。

「新作・改作」に集中的に取り組んだ2025年

大阪での公演というのは、今後予定はありますか?

ありますね、あります。

大阪で独演会をやったりだとか、神戸で独演会をやったりだとか。

はい。

あの、日程はたぶん決まっているんですけど、私がいま知らないっていう……。

わはははは。

わはははは。

立川談笑 最新の出演情報は公式WebサイトまたはX(旧Twitter)へ。

僕が談笑師匠の落語を生で初めてうかがったのは、大阪のね。上本町。

あぁ〜! はいはい、はいはい!

その時も何席か演っていただいたんですが。

前半、大笑い。最後、号泣ですからね。

うん!

これね、落語って、みなさんまだ落語会に行かれてない方は、ぜひ行ってほしい。

ねー。

噺家さんがいて、音声しかないから。映像というのは自分で想起するしかないから。

そうそう。

だから、僕の中では(落語って)、落語家さんとお客さんが協力して一つの映画をつくるような。そういう芸術だと思うんですね。

まさに、そう。イマジネーションとして。

ですから、『令和版 現代落語論』。その中の二次元コードから映像としてノーカットで九席入っていますけども。これはあくまでも入り口であって。これはこれで、楽しめるけれども。

現場で、客席で、一体感として空気ごと楽しむっていう。

うん、うん。

あれが落語の本来ですよね。

いやぁ、生の落語の高座というのは、本当にいい体験になるのでね。ぜひ、足を運んでいただきたいですね。

ええ。

令和版 現代落語論』も、すごくいい入門になるんですよ、動画で全部(高座を)観れますから。

うん、うん。

でも、これ(本)は、配信動画。生の高座は……これは談笑師匠が酒の席では非常に下品な喩えをするので、今日は言いません。

あははははは! すごく、わかりやすい(喩えで)。

あははは、(ライブと動画が)どう違うかっていうね。

落語は、生きやすくしてくれる「憂さ晴らし」

新作落語・創作落語というものに関して、いつも織り込んでいきたいテーマみたいなものって、あるんですか?

落語の基本といいますかね、談志は「業の肯定」という言い方をしていて。

業の肯定。人間の業ですか?

人間の業です。どうにもならない心の中の部分ですね。

ふうむ。

それは、私なりにもうちょっと軽く言うと、聴いている人が生きやすくなるような。そんなエッセンス。

ああ、なるほど。

ですから、落語というのは、漫才だとかコントみたいに笑う芸っていう一辺倒ではなくて、そういう心に沁みる人情噺、ヒューマンドキュメントみたいなのもあったりするように。

ええ。

あとはなんだろな、枕話で。枕って、落語に入る前になんでもない話でね。

「今回の政府の増税はどうよ?」みたいな話を。で、みんなで「そうだよねぇ」と言って。その、日頃の憂さを晴らす。ただ笑うだけじゃなくて。

はい、はい。

「そうだよねぇ」って、昔の井戸端会議の延長みたいなね(笑)。

ええ、ええ。

あれって実は生きる力というか。

わかる〜。

生きづらい中でも、なんかここでゆっくりフッと息を抜きましょうよと。

それが落語だと私は思っていますんで。

独演会では枕が30分以上のことも!

みなさん、これね、ラジオ聴いている方、談笑師匠の高座、来てください。

特に独演会。枕だけで30分過ぎていたこと、ありますからね。

そうそう(笑)。このあいだも40分でした(笑)。

40分(笑)!

でも、それが楽しいんですよ。お客さんと、なんか本当に井戸端会議というか。

ええ。

「どうよ、今度の首相と大統領のあれは?」とかね。

うんうん。クマがどうとかね。

もうね、これが、楽しいんですよね。

うん、たぶんね、YouTubeで出したら即バンですよ(笑)。

あっはっはっは。絶対あかん(笑)。時事問題、山盛りでね(笑)。

ダメなやつ(笑)。

そんな、楽しい空間なんです。

話は尽きませんが……

立川談笑師匠、弟子の吉笑さんも真打になられて。これから落語会もやられていくと思います。

ぜひ、この『令和版 現代落語論』、本を携えてですね、(落語会に)向かってほしいんですが。

うん!

もう、いくらでも話したいんですけど、師匠とは。

ねぇ〜! キリないですね!

このつづきはもう、ちょっと飲み屋で。

忘年会だ! 忘年会だ!

もう、今年も終わりですからね。

今日の曲紹介| ナンシー梅木「マイ・イチバン・トモダチ」

今日、紹介いただく曲はなんと。

ナンシー梅木「マイ・イチバン・トモダチ」

これ、僕存じ上げない曲なんですけど、これは?

ナンシー梅木さん、大好きで。この方のアルバムを月例独演会の開演前のBGMで使っていたんですね。

その中でも、(「マイ・イチバン・トモダチ」は)ポップな曲ということで。

なるほど。

で、ナンシー梅木さんって、ちょっと最近少しだけ話題になっていましたけど。

この方ね、日本人で初めてのオスカー受賞。オスカーの助演女優賞かな。

ええ〜! アカデミー賞!

アカデミー賞ですよ。

それは、知らなかった。

で、北海道出身ということですけれども、私が調べたところでは、すごくきれいな英語も喋れるんだけど、日本語が津軽弁だったっていう噂がある。

どっちも出てくる感じのね、このポップな曲。

ぜひナンシー梅木さん。亡くなっちゃいましたけどね、昔にね。いい曲です。

聴いていただきましょう、「マイ・イチバン・トモダチ」。

みなさま、良いお年を!

はい。なんかね、楽しくてちょっと切なくて。

そうそう。

そして、いろんな文化の融合みたいな。

うん、うん。

これが、談笑師匠の落語の世界にも通じているのかなと。それで、この曲を(開演前のBGMに)選んでらっしゃるのかなと。

あぁ〜、はいはいはい。うん、ボーダレスな感じがね。

いやー、いい曲で最後締めくくっていただきました。ナンシー梅木で「マイ・イチバン・トモダチ」。

1カ月にわたって、落語家・立川談笑師匠にお話をうかがいましたが、いやー楽しかったですね!

楽しいですね、キリないですね〜! わははは。

またぜひ、お越しいただきたいと思います。

はい、よろしくどうぞ。

ありがとうございました!

ありがとうございました。良いお年を!



令和版 現代落語論

令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜
立川談笑|ひろのぶと株式会社



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メールfutari@obc1314.co.jp

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    1969年大阪生まれ 元・広告代理店店員 元・青年失業家 現在 ひろのぶと株式会社 代表