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ゲスト立川談笑さん 第三夜【ラジオ大阪】田中泰延のふたりごと(12月20日放送)

田中泰延


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田中泰延が、いま会いたい人・話したい人と、聞きたいことを語るラジオ大阪の番組「田中泰延のふたりごと」。

「街角のクリエイティブ」では、その放送の様子を記事化してお届けします。

今回は2025年12月20日(土)の放送の様子。

落語家・立川談笑さんがゲストの、第三夜です。

落語家 立川談笑さん(撮影:田中泰延)

「改作落語の達人」といわれる、談笑さん。そもそも、落語の改作を手がけるとは、どういうことなのか。そして、2025年に真打に昇進された立川吉笑さんについて。

さらに、今回の曲紹介は、あの洋楽の大名曲です!

さあ、立川談笑さんと田中泰延の“ふたりごと”を、ちょこっとのぞいてみましょう。

(構成・編集:廣瀬翼)

※ この番組は、「結果のわからないチャレンジャーを応援する」FIRST DOMINO株式会社の提供で放送されています。

立川談笑(たてかわ・だんしょう)
落語家

1965年 東京都江東区生まれ。早稲田大学法学部卒。予備校講師などを経て、1993年 立川談志に入門。立川談生を名乗る。1996年 異例のスピードで二ツ目昇進。2003年 6代目立川談笑を襲名。2005年 真打昇進。2015年 彩の国落語大賞受賞。古典落語を独自の視点で解体・再構築する改作落語と、大胆な新作落語で熱い支持を集める。フジテレビ系 朝の情報番組「とくダネ!」でレポーターを務めお茶の間に親しまれるなど、メディアでも活躍。2023年、ひろのぶと株式会社より『令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜』を出版。

X(旧Twitter):@danshou

変化していく落語と、新たな真打誕生

「改作落語」は、本来の落語のかたち

今週も、落語家、落語立川流 真打 立川談笑師匠にお越しいただいています。

どうも、よろしくお願いします。談笑です。

よろしく、お願いいたします!

さて、私の会社、ひろのぶと株式会社、出版社から刊行しております、『令和版 現代落語論』立川談笑・著。

この本なんですが、改めてね。僕も、もう何度も読み返しているんですが。 名作の古典落語を談笑師匠流に改作しているおもしろさというのが、すごくつづられている。

はい、はい。

このへんの、落語家としてのチャレンジというか。なにか、ポリシーみたいなものは、あるんですかね?

実は、本来落語家がみんなやりつづけてきたことなんですね。

はぁ〜。

古典落語は、古典落語というテキストが昔あったものを、ずっと同じように同じ台本でやる——のではなく。

うん。

それぞれの時代の落語家が、全部その時代に合わせて改変してっていう。 その当たり前のことを、私はやっているだけなんですけれども。

古典落語といっても、固定されている、一字一句同じというわけではなく。歴代の噺家さんが、加えていたんですね、いろんなことを。

そういうことです。

なるほど〜!

記録メディアの登場で“名演”が固定化されていた

時代によって変えなくちゃいけないところが、この50年くらい停滞していた時期があるんですね。

ははあ。

たぶん、私たちとしてはそれはね、記録メディアができたからだろうと。

逆に記録メディアは、再生するたび同じですからね。

そうです、そうです。

ですから、レコードだとか、あるいはフィルムだとかというので、名演が固定化されることによって、「なんだお前、若造が。あの名演に、お前がなにか改変をつけようというの?」っていう力がね、そこでしばらく生まれてしまったんですね。

なるほど。

ですから、時代に合わせた変化というのが、30〜50年くらい、途絶えてたんですよ。途絶えているというか、動きづらかった。

はい。

もう、今の若い人たちは、どんどん変えています。

私は昔から、もっと変えていますけどね(笑)。

うん、うん。

そういう、工夫ですね。

例えば、男女同権だったり、あるいはコンプライアンスの話もそうですけど。

そのへんの時代に合わせて変わってくるというところを、古典の良さだとか、落語の良さというのを損なわないように、現代の人たちにいい感じで楽しく、あるいは心に響くように聴いてもらうための工夫というのを施しているというところですね。

令和版 現代落語論』の中でも、たいへんな落語通として知られる俳優の中江有里さんと対談していただいて。

はい!

そこもたっぷり、落語の良さを語っていただいているんですが。

立川談笑の改作落語席が、本から動画で観られる

なんとこの本は、中に二次元コードがついていまして。

そう、そうです!

ここ(本)で取り上げた落語が、動画で思いっきり観られるという。

九席分、ノーカットですよ。

はい。

だから、千何百分入ってるんだよね(笑)。

そう(笑)。

あのね、私が普通に出して売っているCDのね、5枚分くらいありますよ。

わはは。

12,000円分くらいの価値がある。

いや、本当にね、その時(本の収録)の高座もね、すごく熱い空間で。

楽しかった。

僕ね、あの時のことね、収録した日のこと、思い出しても泣きますからね。

うんうん、よかった、よかった。

本書のためだけに、有観客で2日間かけて九演目の高座を収録しました(会場:落語・小料理 やきもち)

落語はおもしろい噺もあれば、人情噺。

僕はもう、談笑師匠の人情噺はね、いろいろあるんですけど、「談笑師匠の〜」ってタイトル聞くだけで泣きますからね。

ふはははは。

2025年は談笑一門の一番弟子が真打昇進

そんな談笑師匠ですが、談笑一門。お弟子さんがたくさんおられて。

つい先日ですね、一番弟子の立川吉笑さんが、ついに真打にめでたく昇進されたと。

ありがとうございます。

どうですか? 一門の中から、ついに真打が出るという、この感じ。

なんでしょうね……うーん、なんかあの……少子化に歯止めをかけたみたいな?

ふふふ、それ、関係ないでしょう(笑)。

あ、そうですか(笑)。

いや、あのね。師匠に弟子として(自分を)とってもらったわけじゃないですか、談志に。

談志師匠に、ええ。

ですから私は、そのぶんは、恩返のつもりで弟子をとらなくちゃいけないと思っていた。

はい、はい。

で、1人とればいいと思っていたんですけど、いま5人いますけれども。

そのうちの1人が一人前として、本当に独り立ちをすると。

うん、うん。

今度、真打になって、弟子をとる立場になる。

あぁ、立川吉笑さんも、真打になって、弟子をとる。

とる。

そっかぁ。

ですから、もう巣立ちというか。一人、仕上げたなと。

もう、なんでしょうね……ノルマは達した。

ノルマ(笑)。

ははは。

実はね、この番組のスポンサーであるFIRST DOMINOさんが、談笑師匠と、真打になられた吉笑さんの親子会*の落語会を開催したことがあって。

2024年2月、FIRST DOMINOスポンサーの元、ひろのぶと株式会社主催で開催しました。

ね。ライブでね。

これも、また楽しい会でしたけども。

おもしろい空気でしたね。

ねぇ。不思議な空間でね。

落語のあと、田中泰延MCでのトークコーナーもありました(イベントレポートはこちらから)

師匠から見た、立川吉笑という落語家

吉笑さんは、実は京都ご出身。

ええ。

おもしろいのは、上方の関西弁と、江戸前の江戸弁・東京弁を、行ったり来たりする落語*をされる。

そうなんです。

あんなの聴いたことなかったんです、僕。

すごい、すごい。

あれはどうですか? 師匠としては、あの才能は。

あれは、おもしろいですよね。

発想もそうだけれども、あれをパフォーマンスするという、あの技術がすごいですよね。

はい。

落語家ってね、おじさんだったり、お母さんだったり、子供だったりという役をパパパッと(切り替えて)演りますけど。

あれはね、上方の言葉と東京とって、あれはどうなっているんだろうと思いますね。

ぜひね、吉笑さんの落語も、みなさん触れていただきたいと。

めちゃめちゃおもしろいんですよ。

途中でね、関西弁のキャラクターが出てきたと思ったら、今度は東京のキャラクターが出てきて、それがものすごい、言い合ったりするんですよ。

そうそうそう。

よくそんなことができるなという。

で、奴のアイデアで自分なりの落語をつくるというクリエイティブもそうだけど、それがあたかも昔からあった古典のような空気感でつくったりするというのが。

あぁ〜。

それが奴の落語愛のかたちなんでしょうな。

なるほど。

新作落語にも、現代を舞台にした、どう見ても新作だろうというのもあれば、擬古典という、古典のような、でもまったく新しい落語というのも、ありますよね。

そうです、そうです。

「実は」っていうのも、ありますよ。「あれ、あの古典ってなんいうタイトルなんだろうな?」ってね、昔ながらのベテランの落語のファンが悩むくらいの。

「いや、あれ新作だよ」「えっ、新作なんだ!」って。

今日の曲紹介| Jimi Hendrix「Purple Haze」

今日、紹介いただく曲、変わってますよ。だいたいね、立川談笑師匠、洋楽ばっかりですよ、ここまで。

なんと今日は、大名曲。ジミヘンですよ。

Jimi Hendrix「Purple Haze」(邦題:紫のけむり)

この有名な曲。

これもやっぱり映画なんですけどね、前回も映画『SPY/スパイ』の曲だったけど。

これは『アメリカン・ウェイ』っていうね、これも30年くらい前*の映画かな。

かなりポップというか、ロックというかね、パンクというかね、ファンキーな。たぶん、今の日本だったら放送禁止くらいのネタですよ。

デニス・ホッパーという。ぶっ飛んだ。

あの、デニス・ホッパー。反逆児。

そう、あの人が主演で。

反体制というか、反政府的な海賊放送を垂れ流すという、移動放送局。

それがオンボロのB29なんですけどね。政府につかまらないように、ずーっと空を飛んでいるんですよ。

昔の爆撃機を改造して、空飛んで。そこから、放送しているんですね。

そうです。空中給油をしながら。

で、その政府に睨まれて、ミサイルで撃墜されようとするところに、この「Purple Haze」で。この曲を大きいスピーカーで流すわけですよ、その爆撃機から。

で、そのミサイルを迎撃するっていう(笑)。

なんで音楽で(笑)。

では、ミサイルを迎撃するほどの曲、聴いてもらいましょう。

Jimi Hendrixで、「Purple Haze」。


令和版 現代落語論

令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜
立川談笑|ひろのぶと株式会社

アメリカン・ウェイ
主演 デニス・ホッパー
監督 モーリス・フィリップス



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ハガキ送付先:〒552-8501 ラジオ大阪「田中泰延のふたりごと」
メールfutari@obc1314.co.jp

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    1969年大阪生まれ 元・広告代理店店員 元・青年失業家 現在 ひろのぶと株式会社 代表