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ゲスト立川談笑さん 第二夜【ラジオ大阪】田中泰延のふたりごと(12月13日放送)

田中泰延


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田中泰延が、いま会いたい人・話したい人と、聞きたいことを語るラジオ大阪の番組「田中泰延のふたりごと」。

「街角のクリエイティブ」では、その放送の様子を記事化してお届けします。

今回は2025年12月13日(土)の放送の様子。

落語家の立川談笑さんがゲストの、第二夜です。

落語家 立川談笑さん(撮影:田中泰延)

立川談志の元へ弟子入りした理由、立川談志はどんな師匠だったのか。江戸落語と上方落語の違い。『令和版 現代落語論』を書いた理由。

さらに、今日の曲紹介では映画トークまで、話題が止まらない15分!

さあ、立川談笑さんと田中泰延の“ふたりごと”を、ちょこっとのぞいてみましょう。

(構成・編集:廣瀬翼)

※ この番組は、「結果のわからないチャレンジャーを応援する」FIRST DOMINO株式会社の提供で放送されています。

立川談笑(たてかわ・だんしょう)
落語家

1965年 東京都江東区生まれ。早稲田大学法学部卒。予備校講師などを経て、1993年 立川談志に入門。立川談生を名乗る。1996年 異例のスピードで二ツ目昇進。2003年 6代目立川談笑を襲名。2005年 真打昇進。2015年 彩の国落語大賞受賞。古典落語を独自の視点で解体・再構築する改作落語と、大胆な新作落語で熱い支持を集める。フジテレビ系 朝の情報番組「とくダネ!」でレポーターを務めお茶の間に親しまれるなど、メディアでも活躍。2023年、ひろのぶと株式会社より『令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜』を出版。

X(旧Twitter):@danshou

家元・立川談志と、『令和版 現代落語論』

「ホンモノのところへ行け」と言われて、立川談志の弟子に

今日のゲストは落語家、落語立川流真打・立川談笑師匠。先週から引き続き、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

んん〜談笑ちゃんでえぇぇぇす!!

なんですか、それは(笑)。

そんなキャラはなかった(笑)。

なかった、初めて聞いた(笑)。

先週は、早稲田大学法学部を出て、なんと、でも落語家を目指すということで。

うん。

あの立川談志師匠、立川流家元のもとへ弟子入りをしようと思ったあたりを、今日聞きたいなと。

まずはやっぱり、1番おもしろくて尖っていたのが、高田文夫先生の落語で。立川藤志楼*という名前で。

現代的なギャグだとか時事ネタだとかを、めちゃくちゃに放り込んだ古典落語を(やっていて)。古典と言えるのかくらいに。

はい。

で、他の落語家もつづけばいいのに、こんなおもしろいんだからって。

古めかしいんじゃないんだ、ピッカピカに新しいし若い人にも響くんだからと思ったら、つづいていかないんで。

じゃあ、私がその後ろにつながってみようかなというのが、まず一つ。

はい、はい。

で、高田先生のところに行ったんですよ。

うん、うん。

そうしたら、ホンモノのところに行けと。

ほう。

ということで、ホンモノというので立川談志。高田先生の師匠でもある。

もう、高田文夫先生ね。

僕もこのあいだ、高座というか漫談というかにお伺いして。

あんなに、おもしろい!

ね!!

密度の濃い。

そうそう。

爆笑の連続じゃないですか。

そうですよ。

でも、(高田文夫先生は)放送作家で。落語家は本職じゃないから、本職のところへ行けと。

それが、談志師匠。

そうなんです。

立川談志はどんな師匠だったのか

でも、(談志師匠は)厳しいという噂じゃないですか。

うんうん、うんうん。

どうだったんですか、実際は?

実際、厳しかったですけれどもね。

でも、なんでしょうね。感情的な人ですよ。

はい。

トランプ大統領みたいな。

はっはっはっは。

昨日と言ってること違うじゃん、みたいな。それ言ってるの思いつきでしょ? みたいな。

うん(笑)。

なんだけれども、それを自覚しているから、自分の外に明確な制約を作りたがったんですよ。

はい。

だから、落語の世界は前座から二ツ目、二ツ目から真打ってなるのに、どこかわからないところで、闇で協議して決まるとか、年季で決まるんじゃなくて、実力できっちり決めようじゃないかと。

ふむ。

しかも、そこの基準というのを、落語50席、唄が歌えて太鼓が叩けてというのを、自分の外在的な制約として明確にしたがった人なんです。

はあ〜。

自分が揺らぐから、だと思うんですよ。

なるほど。

ですからね、非常にそういう部分では理性的な一面もあって。

私はね、すごくわかりあえましたよ。

うんうん、なるほど。

厳しいし、厳しいと言われるけども、それほどではない。

実はすっごく優しい面もあるし。

私はそこらへんをね、わかりあえたのが幸せだったなぁと思って。

二ツ目? 真打? 江戸落語と上方落語の違い

江戸前の落語は、前座、二ツ目、真打と厳しい関門で昇進していきますが。

上方。われわれラジオ大阪のある大阪・関西の落語家って、その制度ないじゃないですか。

ないですね。

わりとファジーな感じで、あの人は尊敬される、弟子もいるから師匠だ、ということになる。

うん、うん。

この違いというのは、どうですか?

上方は、われわれで言うところの前座時代というのが、鞄持ちみたいな、そういう意味で。

それ(鞄持ち期間)を明けて、われわれ東京のほうで二ツ目になる、つまり落語家として一人前になるというのは、こちら上方で言うところの「年季が明ける」。

年季が明ける。

ええ、そういう言い方をしますね。

ですから、それがもう、前座を抜けて二ツ目というのとイコールの意味で。

うん、うん。

自分で仕事を取れるようになるし、必ずしも師匠の手伝い・身の回りのことをやらなくても、自分のことをどんどん、ラジオでもテレビでもやればいいというようなのが「年季が明ける」の状態ですね。

なるほど。

で、真打というのが、そこがモヤモヤ〜ンなんですけれども。

はい、はい。

ただその、襲名、というのがありますよね。

はい、そうですね。

ですから大名跡というのを。いま、(桂)米朝が空いていますけども。

はい。

(桂)枝雀だとか、(笑福亭)松鶴だとかの名前が空いていますけども。

それを誰かがきっと継ぐわけですよ、そのうちに。

それがまた大々的な、東京の真打よりももっと大きい、大真打みたいな。そういう別格なのはありますよね。

なるほど。

知らない世界は楽しい。上方の落語家との交流

上方と江戸前の落語の違いはあっても、交流はあるんですか? 師匠は、関西の落語家さんと。

あります、あります。ええ、ええ。

特にこの人と、というのはありませんですけどね、楽しいですよ〜、やっぱり。知らない世界ですから。

ええ、ええ。

ですからね、こちら(関西)のほうの、すごい、あんまり足を踏み入れると危険かなというようなところの出身の方にね、そういうところをご案内いただいたりだとか。

わははは。

最高ですよ! 怖かったぁ〜、はっはっは。

ふふふ。

串揚げ屋さんがあるんですって、地元の。おいしいところが、2軒ある。どっちに行きたいか。

まずは、すっごくおいしいけれども、他の客と目を合わせちゃいけないところ。

わっはっは、どんなんや、それは。

ええ〜、他の客と目を合わせちゃいけないんだ。じゃあ、もう1軒のほうは?

もう1軒のほうは、もっとおいしいんだけれども、店員とも目を合わせちゃいけないって言われて。

わっはっはっは、怖い、怖い。

あっはっはっは。

もう、伏目で一所懸命に食べるしかない。

で、二度漬け禁止のところで、最高においしい。

『令和版 現代落語論』を書いた理由

談笑師匠が、これね手前味噌になりますけども。

私の出版社・ひろのぶと株式会社から『令和版 現代落語論』という本を、これ著していただきまして、書いていただきまして。

立川談笑『令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜』

ありがとうございます。

ありがとうございます、こちらこそ。

素晴らしい本で、もう、めっちゃわかりやすい。もうね、これから落語を(知りたい人に読んでほしい)。

うん。

副題が「私を落語に連れてって」とついていまして。

はい。

これから落語を知りたい、入門したいという人に最適な本なんですが。

これ、もともと出そうと思いはった理由って、なんなんですか?

やはりね、伝統芸能とか古典芸能ということで、まだまだハードルが高いと(落語に)感じる人って、いらっしゃると思うんですよね。

ですから、「落語? ちょっと聴いたことあるけど、興味あるけど、どうかな?」という人たちに、ぜひこの楽しさというのを知っていただきたいというのが第一ですね。

はい。

それからあと、落語に携わっている人、落語好きな人たちに、その奥行きというか広がりというか。

私なりの、落語というのは将来こっちのほうに広がっていくんだ! と。

本来のおもしろさというのはここだぜ! というのを、一度大きく大きく、形にしたかったんですね。

家元の名著の名をいただいた『令和版 現代落語論』

この『現代落語論』、談笑師匠の本は『令和版』とついていますが。

ええ。

家元・談志師匠の『現代落語論』という名著があると。

ありますねぇ。

このタイトルを21世紀に引き継ぐ自負みたいなものは?

ああ、もちろん、あります、あります。

60年前に出版された、談志が書いた『現代落語論』。

時代のベストセラーであり、その本をきっかけに落語家になった人というのが、われわれの先輩にたくさんいるんですね。

うん、うん。

今度ね、文庫になるんですよ、これ。談志の『現代落語論』が。

ほう! 超ベストセラーでしょ、50年売れている。

そうです、そうです。

それで、いまさら文庫化。いまさらって、おかしい。60年以上(経って)ですよ。

はぁ〜、なるほど。

われわれ(談志の弟子)もね、後書きなんか、みんなでよってたかって書いたりなんかしていますけどね。

その談志師匠の『現代落語論』が文庫化されたときは、談笑師匠の『令和版 現代落語論』も、ぜひ一緒にお買い求めいただきたい。

ぜひ、ぜひ!

今日の曲紹介| Bad Seed Rising「Bad Seed Rising」

今日も1曲紹介していただきたいのですが、これまた全然知らないです、僕。

Bad Seed Risingというグループの「Bad Seed Rising」という曲なのですが。

これは……?

これが、日本でね、ほぼ知られていない映画があって。『SPY/スパイ』という映画なんですけども。

主演がメリッサ・マッカーシーという、ちょっとでっぷりしたおばさんで。ジェイソン・ステイサムが出ていて、ジュード・ロウが出ているんですよ。

そういうスターが出ているアクションもの。すんごいおもしろいのに、日本では公開されて、ない!

なんと! ビデオスルーっていうやつですね。

そうなんですよ。いま、オンデマンドだと観られますけど。

その(映画)の中の、エンディングの曲です。かっこいいんだ、これが。

かっこいいと。聴いてもらいましょう。

Bad Seed Risingで、「Bad Seed Rising」。


令和版 現代落語論

令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜
立川談笑|ひろのぶと株式会社

SPY/スパイ
主演 メリッサ・マッカーシー
監督 ポール・フェイグ



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ハガキ送付先:〒552-8501 ラジオ大阪「田中泰延のふたりごと」
メールfutari@obc1314.co.jp

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    1969年大阪生まれ 元・広告代理店店員 元・青年失業家 現在 ひろのぶと株式会社 代表