田中泰延が、いま会いたい人・話したい人と、聞きたいことを語るラジオ大阪の番組「田中泰延のふたりごと」。
「街角のクリエイティブ」では、その放送の様子を記事化してお届けします。
今回は2025年11月8日(土)の放送の様子。
ゲストは、NEO阿波踊り集団「寶船」連長で、『踊る阿呆の世界戦略』(ひろのぶと株式会社)著者の米澤渉さんです。

プロの阿波踊り集団とは? 「NEO阿波踊り」ってどういうこと? など、寶船についてたっぷり伺った15分。
そして、本日の一曲は米澤渉さんご紹介の、寶船と縁ある曲です。
さあ、米澤渉さんと田中泰延の“ふたりごと”を、ちょこっとのぞいてみましょう。
(構成・編集:廣瀬翼)
【目次】
【 ゲストのプロフィール 】

米澤渉(よねざわ・わたる)
NEO阿波踊り集団「寶船」連長
1985年東京都生まれ。パフォーマー全員が赤い衣装をまとい、派手なメイクを施して激しく踊る独自スタイルの「NEO阿波踊り」で演者と観客が一体となる熱狂を生み、多数の海外ツアーも敢行。2025年までに世界26カ国で活動を展開してきた。2024年Forbes JAPANが選ぶ「カルチャープレナー(文化起業家)」30組の一人として選出された。2025年、初の著書『踊る阿呆の世界戦略』(ひろのぶと株式会社)を出版。2025年10月、父・米澤曜より引き継ぎ、連長就任。
NEO阿波踊り集団「寶船」とは?
プロの阿波踊り集団
田中
この番組は「ふたりごと」で、2人でお話しするということなんですけど、記念すべき“お客様”の第一号でございます。
米澤
ありがとうございます! うれしい!
田中
私が代表を務めております出版社・ひろのぶと株式会社から、書籍『踊る阿呆の世界戦略』を書いて、出版いただいたと。
米澤
はい。ありがとうございます。
田中
NEO阿波踊り集団「寶船」と。あらためて、どういう集団なのでしょうか?
米澤
僕たちは徳島発祥の阿波踊りという、日本三大盆踊りであるお祭りの踊りを、法人化してプロでやっているんですね。
田中
法人化!
米澤
はい。この「プロで阿波踊りをやる」というのがちょっとイメージつかないかと思うんですけど。
和太鼓ですとか三味線とか、そういう伝統芸能は、プロになって世界ツアーとかをやってらっしゃる方々いっぱいいるんですけど。
田中
うんうん、いてはりますね。
米澤
それの阿波踊り版みたいな形で。
ユニットのように人数を絞って、海外、今まで世界26カ国でいろんなフェスティバルですとか劇場に出演してきたっていう。そういう活動をしています。
進化×原点回帰の「NEO阿波踊り」
田中
はあぁ〜! って、僕もまるで初めて聞くように言うてますけど。もちろんね、本づくり一緒にさせていただいたので、たくさんこの本の中に書いていただいていますし、何度も伺ったんですが。
米澤
(笑)。
田中
やっぱりびっくりするんですよね、あらためて聞いても。
つまりね、阿波踊りというたら、このラジオをお聞きの皆さんも多分、ニュースで徳島の阿波踊りで女性が列になって踊っている様子、ちょっとそのニュース映像を見るとか。それ以外のイメージをあんまり持ってはらへんと思うんですよ。
米澤
そうですよね。
田中
その「NEO」と付けてはる。「NEO阿波踊り」。
この僕らがちょっとニュースで見る阿波踊りとの違いというのは?
米澤
阿波踊りというと、もともとの発祥はすごく自由な無礼講のお祭りだった。
つまり、徳島城ができた時に、士農工商の身分関係なく、みんなで騒いでお祝いしようとお殿様が言い出したことから始まったらしいんですね。
その時は本当に自己表現とか、憂さ晴らしのお祭りだったと言われているんですね。
田中
ほう〜。
米澤
今の皆さんが認知している阿波踊りというのは、動きを揃えた集団美でキチッとしているものだと思うんですけど。
もともとあった人の個性をもっともっと活かして、揃えるだけでなくて新しいプラスアルファのいろんなエンターテインメントの要素を取り入れながら、阿波踊りを進化させようとしたのが「NEO阿波踊り」です。
田中
ふむ。
米澤
ですから、僕たちはショーの中で、普通の阿波踊りだけではなくいろんなアーティストさんとのコラボですとか、世界ツアーに行った時には現地の伝統芸能と一緒にステージをつくりあげたりですとか。
そういう、前例になかった阿波踊りという、ある種固定観念を崩してチャレンジをしていくということなんですよ。
田中
はい、はい。
米澤
でも、もともとは阿波踊りって自由であったりですとか、昭和初期とか大正時代はジャズの流行があって、ジャズを取り入れたっていう歴史もあって。
田中
へぇ〜!
米澤
まあ、もともとそういう新しい文化を取り入れることに長けていた芸能でもあるので、「原点回帰」という意味ですとか、「進化する」という意味も含めて、“NEO”って付けているんですよね。
田中
なるほど。
打楽器のみ。寶船の演奏スタイルが生まれた理由
田中
実は僕もね、寶船さんのパフォーマンス、何度も体験させていただいて。
つい先日も大阪・梅田で大きなイベントをやったんですけども。
100人ものお客さんが、「みんなで踊るなんて恥ずかしい」っていう人でも、最後には一緒になって踊っているっていうね。
米澤
そうですね、すごかったですね。


田中
僕が寶船さんのステージを拝見すると、僕らの知っている阿波踊りと違って、笛のメロディーとかがなくて、太鼓と鉦のリズムセクションで盛り上げていくという。
米澤
ああ、そうですね。
田中
この違いというのは?
米澤
まず、笛とか三味線はあるほうがメロディー的にはいろいろ喜怒哀楽をつくれると思うんですけど。
僕らは、コンセプトとして海外に出ていく時に、人数を絞る必要があったっていう。
田中
はい。
米澤
100人単位で踊る集団美というような阿波踊りとは真逆の戦略を取ったので、最小で成立する楽器を考えた時に、打楽器のみでやろうとなったのが1個目の考え方。
田中
なるほど。
米澤
もう1個は、寶船の阿波踊りは情熱的にエネルギッシュにやるものなので、情緒のある笛とか三味線とかはボリュームとしてなかなか成立しにくいというか。
笛や三味線を入れる場合は、たくさんの人数で奏でて太鼓のボリュームと合わせる。人数によるミキシングみたいな感じでボリューム調整をするんですね。
なので、三味線とか笛は5〜10人集めて、太鼓は3人くらいにしようというのが当たり前にあるんですけど……。
田中
うん、うん。
米澤
打楽器をバンバン叩くと、三味線が1人いても聞こえないということで、自然と今の打楽器のみのスタイルになっていったっていう感じなんですよね。
田中
なるほどね〜。
リズムだから、ワールドワイド
田中
だから、リズムだけで迫ってくるから、リズムと踊り。
これはね、逆にワールドワイドというか、世界中でウケるんちゃうかなと。
米澤
そうですね。どこ行ってもやっぱりリズムって、根本。人が踊りたくなる、腹に来るビートですし。
あと、現地のミュージシャンの方がメロディー楽器を持っていたりするので、そういう時にリズムだけだとコラボレーションがすごく簡単。
田中
ほぅ〜。
米澤
キーを合わせたりする必要もないですし。
田中
ああ、そうか!
米澤
伴奏の時に、演奏のコード進行が分からなくてもできるっていうので。
そういう意味では、結果的にはすごく良かった編成に、今は思っていますね。
田中
先ほど、人数を絞るというお話でしたけど、日本で寶船さんが活動される時のフルメンバーって、何人くらい?
米澤
最大では30人。お祭りとかに出る時は。
なんですけど、プロとして各地を回る時は、最小5人で回っているんですよね。
田中
なるほど。
そのチームで、世界を渡り歩くという。
今日の曲紹介|T-STONE「騒 ~ZOMEKI~ feat. 寶船」
田中
渉さんご紹介の一曲。
T-STONEで「騒 ~ZOMEKI~ feat.寶船」
これは、寶船がフィーチャーされている?
米澤
そうですね、この曲は寶船と、徳島出身のラッパーであるT-STONEくんとコラボレーションで出した曲なんです。で、歌詞も全部、阿波踊りの歌詞なんですよ。
それで、僕いつも鉦をやったり掛け声をやったりするんですけど、このイントロから集中して聴いてもらいたいのが、まさに最初の鉦と掛け声を僕がやっているんですよ。
なので、コラボレーションという意味でも、「NEO阿波踊り」というのが一曲に詰まっているので、聴いてもらえたらうれしいですね。
▶︎「騒 ~ZOMEKI~ feat.寶船」が収録されているT-STONEのアルバム「Type 1 Diabetes」の各種ダウンロード・サブスクリプションリンクはこちら◀︎
次回も引き続き、米澤渉さんにお話を伺います!
田中
掛け声も、太鼓も。ラップの歌詞が「踊る阿呆に見る阿呆」。阿波踊り一色の曲。
米澤
そうなんですよ。
T-STONEくんもHIPHOPを考えた時に、HIPHOPには自分の故郷や生まれた場所を“レペゼン”する。つまり、誇って「俺はここで生まれたんだぜ」っていうのを世界に伝えるスピリットがあるそうなんですよね。
そういう意味で言うと、生まれた徳島の文化を世界中へ届けるためにラップにしたいということで寶船を呼んでいただいて、レコーディングも一緒にした曲になっています。
田中
すごいですよね。途中で太鼓がね、あんなにガンガンと。
米澤
ライブも一緒によくやるんですけど、その時にはゲストで出させていただくと、最後はみんなで踊るというのを毎回やっていますね。
田中
徳島というお話が今出ましたけれど、米澤さんご自身は徳島生まれではない?
米澤
僕は東京生まれなんですけど、父親が徳島出身なんですね。
父が上京して家庭を持ったんですけど、東京で阿波踊りの連を立ち上げて。それがちょうど30年前、寶船ができたという形です。
田中
そのあたりのお話を、来週もまた伺おうと思います!
<次回につづきます>
米澤渉さんの著書
踊る阿呆の世界戦略
世界26カ国を熱狂させた NEO阿波踊り集団 寶船の挑戦
米澤渉|ひろのぶと株式会社
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放送:毎週土曜 18:45〜19:00
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