11/1(土)
深夜2時から4時間のロングドライブを経て高知南西端へ。期待通りのサイズに一日中ゆるいオフショア。クリーンなコンディションで日が暮れるまで良波を貪った。明日の朝も波が良さそうなので今夜は車中泊である。スーパーで買った惣菜と家から持参したおにぎり、ナッツなどを食す。デザートはバナナ。飲み物は水。明日の朝までに今日の疲れをどれだけ取れるか。タンパク質や炭水化物を摂った上で消化器官もしっかり休めなければならない。実はいちばん休ませるべきは内臓だったりする。
10月の日記に届いたメッセージを読んでいる。うれしい。
11/2(日)
21時就寝、5時半起床からの波チェック。全体的にサイズダウン傾向だが東向きのFビーチに形の良いライトが割れているのを見つけて即入水。3時間、一心不乱に乗り倒す。今回の波乗行も満足である。
帰宅してブログのメッセージに返信。昨日の朝は一時的にアクセスできない状態になっていたようで、読めなかった方はご迷惑をおかけしました。
11/3(月)
娘たちに「こけら落としって何?」と聞かれたので「こけらを落とすことよ」と返すと、今度は「こけらって何?」と言う。これには驚いた。最近では学校でこけらを習わないのだろうか。いや、学校で習わなくともテレビやラジオで何度となく聞くワードである。まさかこけらを知らないとは。私は知らない。
11/4(火)
「令和7年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」って名付けたやつ出てこい。
11/5(水)
勤務先の近くの福山医療センターに爆破予告のメールが届いたというニュース。今日5日の16時半に病院を爆破するというもの。診療も面会も中止。病院は閉鎖。幸い何も起こらないままその時刻を過ぎた。
だからここに書けるのだが、ニュースの中の「メールは今月2日の午前9時ごろに受信していましたが、その日は休診日で、職員がメールを確認したのは4日の朝でした」という記述に吹き出してしまった。犯人が送ったメールは休日明けまで誰にも読まれなかったのである。しかもこの犯人、口座を指定して金銭を要求しているとのこと。捕まえてくれと言っているようなものである。
11/6(木)
上田豪さんの街角diaryの「公衆電話の使い方を教えてほしいと聞かれた時に、まずイラン人を探せ」で吹いた。私も大学生の時に上野駅で友人を待っていたらイラン人(たぶん)が駆け寄ってきて「テレホンカーッ!ジョンマイセンエン!ジョンマイ!センエン!」と、真剣な眼差しで何度も繰り返されたのを覚えている。ジョン枚が何枚なのか、25年経った今でもわからないままだ。
夜はウチヤマダフーヅ朝礼。本日も切れ味抜群。聞いていてヒリヒリする内容であった。
11/7(金)
セブンイレブンの1日あたりの来店客数は2000万人だという。おにぎりの年間販売総数は20億個で、1秒あたり63個売れているそうだ。毎秒63個。これは盲点であった。明日からおにぎり屋を始める。
日曜の鳥取は波の周期が10secの予報。しかも終日オフショア。もうアドレナリンが出ている。
11/8(土)
早朝から、キッチン風呂トイレに外の排水枡まで本気の掃除に勤しんだ。途中で娘の送り迎えや身内の見舞い、図書館などゴソゴソ。晩御飯は家族でキムチ鍋を囲み、そののち20:30に家を出て鳥取までやってきた。今夜は車中泊。明日は朝から周期10secの予報。毎秒2リットルのアドレナリンが出ている。
豆知識をひとつ。雨の日の車中泊は耳栓が必須。私はSNR値40の耳栓を使用している。徳永英明くらい何も聞こえない。
11/9(日)
朝からずっと、大粒の雨が降る海の中にいた。山下達郎の「さよなら夏の日」に「波打つ夕立のプール しぶきを上げて」という歌詞がある。私は雨の中で波待ちをしている時、いつもこの歌詞を思い出す。絶え間なく降り注ぐ雨粒が、灰色の水面を踊らせるのを見ていると、神様はいる、と、そんなことを考える間もなくひたすらパドルした。最近は週末に合わせてコンディションが上向く。とてもいい。
11/10(月)
某店のトイレにて「レバーをしっかりと回してください」と書かれていたのでしっかり回したらレバーが取れた。最高裁まで行く。
11/11(火)
起きて即ウチヤマダフーヅ朝礼。出張報告の内容がすごい。今月は朝礼の回数が多くて嬉しい。
11/12(水)
名刺交換の時、相手より低い位置から名刺を差し出そうとしたら、相手も負けじと低い位置から差し出してきた。そののち、両者譲らず何段階か差し出す位置を下げた結果、最終的にキャイーンになった。
11/13(木)
6時間しか眠れず、どうにも頭が回らない日であった。やはり7時間は眠らないと。仕事の優先順位、資料やメール文面のクオリティ、全てが一段階下がる気がする。しかし昼休憩に見た田中さんの街角diaryで色々と吹き飛んだ。まさかの謝罪会見。世の中には本当に大変な人がいるのだ。
11/14(金)
先程まで、広島駅で新幹線を待っていた。自由席。週末の夕方なので混むだろうと、20分前から3号車の乗り口で先頭に立ってスマホを見ていた。あまり並んでないなぁと思っていたところに列車が到着。のぞみの自由席はいつから2号車までになったのか。満員のデッキに立って、今これを書いている。明日は夜明けから日本海で海洋汚染と富栄養化の調査。このあと家で食事して準備して娘を塾まで迎えに行って、そののち鳥取まで移動して車中泊の予定。
Sさんから「紅白出場者、唐木さんの名前ありませんでした。特別枠?」とメッセージ。大変心苦しいが、今はまだ何も言えない。
11/15(土)
夜明けから無人ビーチで波遊び。腹胸サイズ、無風のクリーンコンディション。ここのところ毎週波を当てている。海が私に媚びている。15:30に上がってパリダカールラリーのごとき爆走で福山へ帰り、19時から前職の恩人と焼肉「たつなり」へ。今日も満席。疲れ切った身体にタンパク質を補充。焼肉は正義。
11/16(日)
ウチヤマダフーヅ朝礼。入社試験のエピソードを聞いて、もしかすると私も入社できるかもしれないと思った。
夜は実家で鍋。白滝を初めて見たのか、次女が驚いて「すごーい!これ全部じいじが結んだの!?」と聞く。「わっはっは」と目を細める父。良い夜だ。
11/17(月)
燃え殻さんの日記で、中島らもの「その日の天使」が引用されていた。エッセイ集『その日の天使』のタイトルとなった一編である。5年ほど前に図書館で借りて、これは何度も読み返すはずだと思い、すぐにAmazonで買った。やはり何度も読み返している。
この本の末尾に、氏が44歳の時に書いた「わが葬儀」というエッセイがある。そこには、このままいくと自分は55歳くらいで死ぬのではないかという予測が書かれている。凡そ予測のとおり、氏は52歳で亡くなってしまった。しかし【僕という存在の喪失が、しばらくの間人々の間に影を落とし、やがてその影が薄れていって、僕はほんとうの「無」になる。そういうのがいい】という一節については、そうはならないだろう。
11/18(火)
ずらりとドライヤーが並んだジムの洗面台。等間隔に貼られた注意書きのサイズが一回り大きくなっていた。黄色に赤文字で「ドライヤーの頭部以外への使用はご遠慮ください」と書かれている。完全にアプローチを間違えている。変えるべきは貼り紙のサイズでも色でも書体でもなく、文面なのである。端的に「金⚪︎玉を乾かさないでください」と書けばいいのである。と、鏡越しに後ろを見ると小柄なお爺さんが股間に風を当てていた。いつものように「ほえ〜」という顔をして。この人はよく、股間に風を当てている。風がかわいそうだ。
11/19(水)
枕を新調すべくネットを検索していたら「枕がいらない人のための枕」というものが売られていた。それはつまり、売れないのではないか。
11/20(木)
クレジットカードの引き落とし予定額が凄まじい数値になっている。と、金額をじっと眺めていると、末尾3桁が4,2,1である。これはコラッツ数列ではないか。と、ボトムアップ方式でコラッツグラフの作成を試みた。コラッツ問題解決の懸賞金が手に入れば今月の引き落としなど蚊に刺されたようなものである。すべての正の整数が最終的に1になることを証明する代わりに、1がすべての正の整数に逆方向につながることを証明すればいいのだ。引き落とし日は27日。まだ時間はある。
ところで、私が使ったクレジットカードの利用額が私自身の銀行口座から引き落とされる、この仕組み自体を根本的に見直すべき時期が来ている。私がカードを使用し、支払い能力のある他人が支払う、そのような方式に変更すべきなのである。これはどんな経済政策よりも効果的である。少子高齢化による労働力の減少、消費の抑制、バブル崩壊後の不良債権処理の遅れ、生産性の伸び悩み、デフレの定着。停滞が続く日本経済を本気で回復させたいなら、まず手を打つべきは私の富裕化なのである。
11/21(金)
とある居酒屋の店頭に大きなポスターが貼られており、真ん中に大きく「クエ鍋」と書かれている。なぜ命令されなければならないのか。
11/22(土)
天気が良く、暖かい。今日明日と、二日とも晩御飯は庭で食べる。
夜は、焼肉。
明日は、鍋。
清少納言風に言うてみた。
11/23(日)
水回りの掃除からの包丁研ぎからサーフボードのワックスオフをこなして昼から車で使うカーテン作り。久しぶりにミシンを踏んだ。
夜は庭で焚き火をしながら鍋。
田所敦嗣さんの「出張報告書 静かな教え」を読んだ。タダで読めるのおかしい。読んでいると、途中から頭の中にTwistaの”HOPE”が流れ始めた。
11/24(月)
ブログの管理画面にログインできなくなった。そして修復に難航。結局FTPサーバで全てのプラグインを無効化した。
11/25(火)
帰宅すると、長女が「横髪の幅どうしよっか」と次女や奥さんに相談していた。前髪と耳の間の髪を「横髪」というらしい。そんなに悩んでいるのか。よし、パパが、と身を乗り出そうとしたところで「パパはいい」とのこと。天に、細い月がある。
11/26(水)
出勤途中の信号待ち。道端にぶちまけられた誰かの嘔吐物を2羽のカラスが啄んでいた。趣味が悪い。
11/27(木)
政府の今年度の補正予算案は総額約18兆3000億円の見通しだという。私が1年間で使う金額よりも多い。
11/28(金)
仕事から帰って夕飯からの風呂からの積み込みからのロングドライブで日本海にやってきた。今夜は海辺で車中泊。波の音が聞こえる。
11/29(土)
朝イチはコンスタントにオーバーヘッドの超ハードコンディションであった。波高は今年一だったかもしれない。インサイドまで乗ると沖に出るまでが地獄。これは修行。人生でこれほど辛いことはない。これに耐えられれば、どんなに辛いことも乗り越えられる。などと自分に言い聞かせながらひたすらパドルした。アホなのかもしれない。
7時入水。10時に上がって軽食と仮眠。12時過ぎに入って15時に休憩。そののち日没まで。一日中海の中にいた。給料が出てもおかしくない。
明日の朝も少しウネリが残りそうだ。今夜も車中泊。今20時39分だが、すでに寝袋の中にいる。
金子兜太が提唱した「定住漂泊」という言葉に救われている。「社会」への定住と、社会が生まれる以前の「原郷」への漂泊。どれだけ趣味が高じても、捨てられないものが沢山ある。私にとってのサーフィンは、漂泊そのものである。波面を滑走している瞬間、波に容赦無く巻かれている瞬間、金子の言葉を借りれば”すべてのいのちが自分のいのちとまったく違和感なく混ざり合っている”。波に乗る人はみな、知らず知らずのうちにアニミズムの世界を漂泊しているのではないか。
真っ暗な車内。寝袋の顔のところから片手を出してスマホでポチポチこれを書いている。少し屁がしたい。しかし車中泊での放屁は禁止事項である。ましてや寝袋の中など言語道断である。というわけで寝袋から這い出し、薄着のまま車から降りて屁をこいてから寝るとする。おやすみの屁。
11/30(日)
8時間熟睡。波は一晩経って大幅なサイズダウン。かろうじて残った北西ウネリ。久々のビーチで小波と戯れた。昼前に上がり、BeforeDawn、ミルクボーイの火曜日やないか、中川家のラジオショーなど聴きながら、紅葉に染まる中国山地を爆走して昼過ぎに帰宅。車の潮を落としてからボードやウェットを片付ける流れでトイレや風呂など水回りの掃除。今週も休みなく動いた土日であった。
今夜は少し風が強い。窓を開けると月曜のにおいがした。
11月が終わった。
唐木俊介 エッセイ
1980年生まれ 広島県在住 会社員





