財閥を創る男、高田健太さんとの8年とDailyラジオ大阪。
2018年の秋、ミャンマー最大の街ヤンゴン。
長年続いたアメリカからの経済封鎖から解放され、一気に都市化/IT化が進行していた彼の地での招待講演のために訪れた僕を待っていたのは、生まれも育ちも大阪という、当時丸紅の駐在員だった高田健太さん。仕事の傍ら、Facebookでミャンマー人向けに日本語学習コンテンツを発信し、現地で「ミャンマー人の間で一番有名な日本人」と呼ばれていた青年でした。
出逢ったその日、日本への帰任辞令が出ていたにもかかわらず、彼はヤンゴンに残って事業を興したいと言いました。
しかも「財閥を創りたい」と。 大胆、いっぽう人への眼差しは驚くほど優しいのが第一印象。なかなか骨太で剛毅な話に、僕は素直に「応援しよう」と思ったのを覚えています。
議論の末に選んだのがフードデリバリー事業Hi-So。ヤンゴン市内はバイク走行が厳しく制限されているという特殊事情があり、そこに勝機を見出しました。2020年1月、シンガポールに持株会社を設立し、僕は資本と経営への参画を公表しました。
ところが直後に新型コロナ禍が直撃。高田さんは移動規制とオペレーション指揮のためヤンゴンから動けず、投資家回りは事実上不可能に。
それでも僕らは調達スキームを個人エンジェルラウンドに切り替え、ZOOM越しの折衝を重ねて、調達をやりきり、2020年末には森崎ウィンさんのブランドアンバサダー起用まで漕ぎ着けました。
しかし2021年2月、国軍によるクーデターが発生。積み上げてきたものが一夜にして崩れました。
高田さんは事業を無期限休業とする一方、最貧困層に米を配る「最後の恩返し」活動に全力を注ぎきってから、4月にヤンゴンを脱出したのでした。
――普通なら、ここで終わる話です。
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けれど高田さんは諦めませんでした。クーデターで就学・就労機会を失った若者たちを見つめ続け、「彼らの才能が埋もれるのは世界の損失だ」と、2024年、社名をHi-SoからPLUS IMPACTへと変え、再び挑戦を始めます。僕もこのピボットに合わせ、迷わずフォロー投資と新体制での経営参画継続を決めました。

そして今春着手のAI要約プロジェクト「Dailyラジオ大阪」は、PLUS IMPACTの全面的な協力なしには成立しませんでした。
PLUS IMPACTはxCOREというプロダクトを通じて、海外拠点の採用・面接・従業員1on1などを多言語AI対話で可視化する技術を磨いてきました。
音声認識、内容理解、自然な質問生成、多言語展開、レポート化――この一連のノウハウを、今回はラジオ番組のダイジェスト制作やAI音声番組づくりに応用してもらっています。単にAIに原稿を読ませるのではなく、放送内容を整理し、番組ごとの文脈や地域性を残しながら音声コンテンツとして届ける。そこに、PLUS IMPACTやからこそ実現できた価値があります。
ここで改めて「Dailyラジオ大阪」がどんな番組か、ご紹介させてください。ラジオ大阪では平日9:00〜16:55(金曜は16:30まで)、本社スタジオから生放送のワイド番組をお届けしています。この約8時間の放送を、ぎゅっと25分に凝縮したダイジェスト番組です。
放送時間中に触れているトピックは、AIの解析によると1日150以上。それをラジオ大阪とPLUS IMPACTの共同制作(日々、学習増強中)のAIが「今の大阪のムード」や「ホットな話題」、「ラジオ大阪らしいテーマ」を6つ前後セレクトし、要約・スクリプト化しています。生ワイド番組の放送後、クイックに配信できる体制を組んでいるのもポイントです。
パーソナリティを務めるのは、ラジオ大阪の公式マスコットキャラクター「弁天おび氏」と、AIアシスタント「ハル」。従来のAIアナウンサーが原稿の読み上げ中心だったのに対し、公式キャラクターにAIで大阪弁の声を与え、キャラクター性を持って掛け合いをする——これは日本のラジオ局として初の試みです。おび氏とハルが軽妙な大阪弁で日々のニュースを「まるめて」「いじる」掛け合いは、大阪らしい文脈やテンポを保ちながら、聴くたびにクオリティの高さに驚かされます。
6月からpodcast(Spotify/YouTube)で先行配信していた「Dailyラジオ大阪」は、7月より地上波ラジオ放送とradiko配信もスタート。要約を聴いてご関心の紳士淑女には、ぜひradikoのタイムフリーでラジオ大阪の番組本編を、そして生放送のリスナーになっていただきたいと思っています。
ヤンゴンの雑踏で「財閥を創りたい」と語っていた青年が、クーデターという不条理を経てなお前を向き、いま故郷である大阪のラジオ電波塔のはるか遠くから世界最先端のAI音声技術を活かしてくれています。 ご本人はPLUS IMPACTの仕事でホーチミン、ジャカルタ、ヤンゴン、ダッカ…を転々と飛び回っています。
8年越しの縁が、思いもよらない形で結実している、のを感じます。
そう、高田健太さんはまだ、財閥形成の途上にいます。僕も彼となお並走しています。これからのPLUS IMPACTと高田さんをご注目ください。





