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2026年5月6日「街角diary」廣瀬翼がお届けします。

廣瀬 翼


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高槻ジャズストリート

こんにちは、こんばんは、おはようございます。
水曜の「街角diary」担当の廣瀬翼です。

今年のゴールデンウィークは長いと思っていたのに、あっという間に最終日です。およよ。

ついでに5月もあっという間に1週間が終わり——およよヨヨヨ。

ゴールデンウィークもお仕事されていた方、みなさんのおかげで快適な連休でした。ありがとうございます。

ここ約10年、ゴールデンウィークには両親と「高槻ジャズストリート」へ行っています。

今年も、行ってきました。

高槻の駅を降りると、いきなり生演奏が聞こえてくる。駅すぐ横の小さな広場、高架下のスペース。みんなステージになっています。高架下って、音響いいんだよ。

商店街を歩くとあっちのお店もこっちのお店も賑わっていて、昼間からハイボール。街中のカフェやバーも会場になっています。高槻、音楽カフェ / バーが多いんです。父によると、ジャズストが始まる前からそうだったのだとか。

あ、でもね、中には「店主出演のためお休み」という張り紙で閉めているお店もあって、なんかそれも好き。売上だけでいったら書き入れ時なはずなんだけど、そうじゃなくて「好き」に走ってみんな楽しんでいる感じが、いい。

公園ではフリーマーケットも開かれていました

会場へ歩いていて見つけた、日本一に輝いたパエリア屋さん! パエリアつくるの、3時間くらいかかるそうです

そうして10分くらいを歩いていくとある、小学校・中学校・高校のグラウンド、さらに市民会館が大きな会場として登場。高槻城公園(今はもうお城はないんですけど)のホールがね、いいんですよ。学校のグラウンドも、音楽聴きながら屋台の料理と、ふふふ、学校でハイボール、ふふふ。

奏者のご好意で撮影OKだった会場。里村稔さん×フィリップ・ストレンジャーさん

神社の能舞台もこの日はジャズのステージに。これがまたおしゃれでいいんです、空気も澄んでる

小学校グラウンドのステージからは、電車も見えます。開放感。1日目(5/3)は夕方から雨でステージ中止になりましたが、2日目(5/4)は風にも負けず完走

我が家は、両親の馴染みのお店の常連さんが何組か出演されているので観にいき、それから例年、椎名豊(ジャズピアニスト)、広瀬潤次(ジャズドラマー)、Vermilion Field(5人組バンド)を聴きに行っています。

今年はさらに、山中千尋を聴きに行きました。ユッコミラーを聴いたことも、バイオリニストのNAOTOやギタリストの押尾コータローを聴いた年もあるよ。

70会場もあるからね、演奏の時間が重ならないか、会場の移動距離、入場制限かかる可能性のある会場に並ぶ時間……なかなかにパズルです。(重なってどれかを諦める年もあります)

あ、パズルですとかいいながら、私は何もしません(笑)。父が事前に全部組んでいます。

スケジュールと会場の一覧はWebでも出ているのですが、父は必ず事前にパンフレットを入手して、蛍光ペンで印をつけていって組んでいます。2色使って、「こっちがダメなら、こっち」みたいなのも調整している様子。

70会場×朝から晩まで複数ステージ×2日もあるとね、スマホじゃあ把握しきれんのよ。父がワクワクと回るところを組んでいる様子を見ると、やっぱり紙最強って思います。

「高槻ジャズストリート」は、「高槻を、音楽があふれる楽しいまちにしよう!」と1999年に始まったイベント。毎年ゴールデンウィークに2日間、阪急高槻市駅・JR高槻駅周辺他 約70会場で開催されています。全会場入場料無料(店舗会場ではワンドリンク制のところはあり)、ボランティアによって企画・運営され、今では10万人以上を動員する、日本最大級の手づくり音楽イベントです。

運営費は、毎年オリジナルTシャツを販売していて、その売上とスポンサー費、当日の寄付などで成り立っています。

2016年には大阪府の「地域観光資源」にも認定されたそう。ジャズストをモデルケースに、2019年からは姉妹イベントとして近くの富田でも同日に「富田ジャズストリート」が開催されるようになりました。

さらに2023年からは「デトロイト・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル」と交流プログラムをスタート。毎年1組が高槻ジャズストリートからデトロイトに派遣されています。

……なんて情報を書いていると、「毎年恒例!」と、あるのが当たり前に感じがちですが、この5年ほどは厳しい状況がありました。

2020年、2021年と連続でコロナ禍による中止。

そして、第一回から欠かさず参加していた大阪府出身の著名なジャズサックス奏者・ボーカリストの古谷充さんが2020年に84歳で他界。

これからはご子息で同じくジャズサックス奏者の古谷光広さんが引っ張っていってくれる、変わらず観にいこう! と思っていたら、彼も2024年2月に急逝されてしまった。

2024年のジャズストも出演される予定で、古谷光広さんが継いだバンド「古谷充とThe Freshmen」はエントリーしていたんです。驚きました(2024年、「古谷充とThe Freshmen」の演奏はあり、メンバーMCで「早すぎる」「古谷がいないけど、古谷充とThe Freshmenでやります」と話されていました)。

地域に根ざしたイベント。精神的支柱といいますか、地元出身で活動していてずっと一緒に育ててきてくれていたアイコン的な出演者がいなくなるというのは、痛いです。私は運営でもなんでもない、ただ毎年父にひっついていっているだけの小娘ですが、それでも痛いなと思いました。

そして、2022年には3年ぶりに開催されるも、その翌年の2023年と2024年は連続で大きな赤字に。

イベント規模が大きくなれば運営費も大きくなります。でも、コロナ禍を経てスポンサー費が集まりにくい世の中になり、赤字となってしまったそう。

継続が危ぶまれる状況になり、2025年にはクラウドファンディングが行われました。

クラウドファンディングは121%で達成。

そのおかげもあって、今年のパンフレットに掲載されていた2025年度の収支報告は黒字になっていました。ひとあんしん。

だけど、ボランティアで成り立っているイベントです。この物価高の世の中、またいつ同じように大きな赤字の状況になるか、わかりません。

イベントって、あるのが当たり前じゃないんだな。

有名で大きくなったイベントだって、いつ何があるのか分からないんだな。

昨年のクラウドファンディングは、継続する難しさを感じる出来事でした。

今年は1日目の午後が雨でした。

これもまた、イベントとしては痛い。来場者は減るし、そうなると募金も飲食費も減ってしまう。しかも昨今の物価高、向かい風が強い状況だなぁと思いました。

でもね、メイン会場ではジャズTが完売! MCの「完売しました!」で大きな拍手が。

もちろん我が家も毎年1人1枚購入。(今年はスナワチのJPNキャップをかぶっていきました)

募金や、出演者へのチップも、かなりの人数が「千円札で」入れていました。

ああ、世の中、捨てたもんじゃないなって、思いました。

クラファンの達成にしても、無料で観られるイベントなのにみんながTシャツ買ったり募金したりチップを入れたりするのも、それはこれまで継続してきたイベントだから。運営がボランティア、みんなが協力している町興しだから。

だから、地元——高槻市民ではない我が家も含めて——のみんなが「俺たちの」イベントと思えているんじゃないかな。

そのある種の信頼関係は、そうそう簡単には築けないものだと思う。

来年もまた、新しいTシャツを着て高槻をまわれますように。

2日目の締めくくりに観にいったのは「Vermilion Field」。

ジャズストで知ったグループなのですが、今年、デトロイトに派遣されることが決まりました。

ライブの終わりには、会場から「頑張ってこいよー!」「いってこーい!」という声も多数上がっていて、ジャズストの常連さんには「俺たちが育てた!」みたいな気持ちがあるんだろうなと感じました。

地元のそれは、多分ファンクラブとかとはまたちょっと違った感情と関係性で、そういうのって、いいよね。

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    1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語の先生を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。