いろいろ思う
「ほぼ日」に「マンガ部」というものができるというので、その説明会に行ってきた。

上野に行ったのは、何年ぶりだろうか。

大寒桜が咲いていた。

日が暮れて、上野をあとにする。
この1週間は、色々思うところがあった。

同じ年で、大学の同級生でもある男が急逝した。
ちょうど1週間前、月曜のことだった。

家族に、ちょっと昼寝すると告げて布団に入って、目が覚めないので起こそうとしたら冷たくなっていたそうだ。
とくに持病もなく、ほんとうに突然のことだった。
数年、会っていなかったが、つい最近もSNSで言葉を交わしていた。
私の仕事や、会社のことも応援してくれていた。

いろいろと思う。
思いすぎると体調にも変化があらわれる。
それから、うまく眠れない。

「生きている事と死んでいる事とは、両極ではなかった。それ程の差はないような気がした。」
言わずと知れた、志賀直哉『城の崎にて』の一文である。

まったくわからない、わからないことだらけだが、今も私はわからないままに生きていて、少し先のこともわからない。
『城の崎にて』からもうひとつ、何度読んでもわからない、わからないから何度も読むところがある。
「大きな桑の木が路傍にある。彼方の、路へ差し出した桑の枝で、或一つの葉だけがヒラヒラヒラヒラ、同じリズムで動いている。風もなく流れの他は総て静寂の中にその葉だけがいつまでもヒラヒラヒラヒラと忙しく動くのが見えた。自分は不思議に思った。多少怖い気もした。然し好奇心もあった。自分は下へいってそれを暫く見上げていた。すると風が吹いて来た。そうしたらその動く葉は動かなくなった。原因は知れた。何かでこういう場合を自分はもっと知っていたと思った。」

「何かでこういう場合を自分はもっと知っていたと思った。」
きょうは200キロほど貨物車を運転する。
あしたはシャラド・ライに会う。
あさっては600キロほど貨物車を運転する。
わからないままに生きていく。生きていく、という保証もないが、生きているのならばいろいろ思い、手を動かしていくのだろう。
ではまた来週。
田中泰延
映画/本/クリエイティブ
1969年大阪生まれ。株式会社 電通でコピーライター/CMプランナーとして24年間勤務。2016年退職し「青年失業家」を自称し執筆活動を開始。2019年、文章術を解説する初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)を上梓。16万部突破。2020年、印税2割スタート・最大5割の「累進印税™︎」を掲げる出版社 「ひろのぶと株式会社」 を創業。





