ひろのぶと株式会社 専属料理人の上田豪さんは

粉に詳しい。
では、当社のもう一人の50代男性であるしゃちょう・田中泰延も詳しいのか。
今日はそんな話をしよう。
「パンチニードリスト」を標榜する加納穂乃香さんが、
あるTwitter(X)投稿についてしゃちょうと話していた。
「パン粉」を頼まれて買ったってきのが、「パン用強力粉」だったという投稿。それでは“パン粉の2段階前”と爆笑されたという話。買ってきた「粉」の写真もついている。
そのパッケージを見て、しゃちょうが言った。
田中「これ、紀ノ国屋やな」
加納「ほんまですね」
田中「セレブやな」
ちなみに、私たちが日頃お世話になっている書店のことではない。書店は「紀伊國屋」、高級スーパーは「紀ノ国屋」だ。
しゃちょうの話はつづく。
田中「俺なんか、日清の“ハクリョクコ”しか買ったことないわ」
加納「え?」
廣瀬「??」
田中「これやん、これ」
加納「ハクリキコですよ、それ」
廣瀬「“薄力”で“ハクリョク”……(笑)」
田中「え、そうなん?! うそやん……(検索)……ほんまや、ハクリキコや」
廣瀬「(え、ジョークじゃなくて本気で……?!)」
田中「なんでや、ハクリョク粉のほうが迫力あるやん」
廣瀬「(いえ、しゃちょう、薄力粉は1番、迫力(弾力性)がないんですよ……)」
田中「じゃあ、これもチュウリョクコちゃうんか」
廣瀬「チュウリキコです」
田中「じゃあこれは……」
田中「ゴウリキコか?!」
廣瀬「彩芽かっ!!」

あの、博識な田中泰延が、今の今まで、50何歳まで、「薄力粉」を本気で知らなかったとは……。
驚いた。人には得意分野・苦手分野があるようだ。
ちなみに、しゃちょうはどこか納得できないらしく、その後もしばらくブツクサ言っていたけれど、これは変わりようのない日本語なのだからどう頑張ってもハクリョク粉にはならない。
そんな“粉”には弱いしゃちょうだが、生粋の大阪人で“粉もん”へのこだわりは強い。
一緒にお好み焼き屋に行くと、率先して焼いてくれる。というより、触らせてもらえない。
しゃちょうが焼くお好み焼きは、確かに美味しい。
しゃちょうはこういう。
「廣瀬はエセ関西人やからお好みの正しい焼き方、知らんやろ」
エセ関西人。当社でよく言われることである。
父は富山、母は神奈川の出身。自宅で大阪弁は流れてこない。
そんな私は「エセ関西人」「エセ関西弁」といつも言われるし、それはまあわかるのだけど、
ちょっと待ってくれ。
これでも私は高校卒業まで18年間、大阪で育っている。
加納さんは京都生まれ・幼稚園に入る頃から島根育ち。
ほとんど関西おらんやん。
なんで加納さんより私のほうがエセ関西人ブランドなんや。
どうにも納得できません。
これをもって、本日の廣瀬翼による「青年の主張」とし、10月8日の「街角diary」は終了いたします。
ひろのぶと株式会社はいつもこんな感じだ。平和です。

私はエセではありません(photo by Hironobu Tanaka)
※ 本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
廣瀬 翼
レポート / インタビュー
1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語教師を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍編集を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。