移動も、睡眠も、料理も自分のペースで、自分たちの空間で楽しめる、キャンピングカー。
小さな頃、川崎に住む従姉妹家族が、毎年夏になるとキャンピングカーで北海道へ旅していて、私にとってキャンピングカーは憧れでした。大きな車体。秘密基地のような“特別”でありながら自分たちだけの時間と空間。その旅の話もいつも楽しそうで、一回はキャンピングカーに乗って旅してみたい、そう思ってきました。
そのキャンピングカーが今、注目だといいます。日本RV協会(JRVA)の調査によると、2025年のキャンピングカー保有台数は173,000台。2005年の調査開始から、約3.5倍にもなっているのだそう!
そんなキャンピングカーが約250台も並ぶ「大阪キャンピングカーフェア2026 秋の大商談会」が10月24日(土)・25日(日)の2日間、インテックス大阪で開催されました。

25日(日)には、ラジオ大阪パーソナリティの田中泰延(たなか・ひろのぶ)と、キャンピングカー専門誌『オートキャンパー』編集長・品田直人(しなだ・なおと)さんによるトークショー「品田編集長に聞く おすすめの1台」がステージで行われるというので、行ってきました!
「こんな人には、この1台!」がぎゅっと詰まったトークの様子を、たっぷりお届けします。
トークショーの前に キャンピングカー用語確認!
トークのなかでは、キャンピングカーならではの言葉がたくさん出てきます。まずは簡単に、特徴的な言葉をおさえておきましょう。
車のタイプ
- ■ 軽キャンパー(軽キャン):軽自動車をベースにしたキャンピングカー。日本独自のジャンルです。
- ■ バンコン:ハイエースなどのワンボックスカーやミニバン、ワゴン車をベースにしたモデル。
- ■ キャブコン:トラックをベースに、後ろに居住スペースを架装したモデル。
- ■ トラックキャンパー:ピックアップトラックの荷台に、居住スペースを「載せている」タイプ。下ろせば普通のトラックとしても使えます。
- ■ キャンピングトレーラー:被けん引装置を備えた「動く部屋」。原動機を持たない分、同じ長さでも室内が広く、自走式と比べてリーズナブルで維持費が抑えられるのも特徴。750kg以下のモデルはけん引免許不要です。
装備・その他
- ■ バンクベッド:キャブコンの運転席上部に設けられた就寝スペース。モデルによっては大人2人がゆったりと横になれる広さのものもあります。
- ■ マルチルーム:トイレや着替えなどマルチに使える小部屋。マルチルームに防水機能が備わったモデルであれば、シャワールームとしても使えます。
- ■ サブバッテリー:車を動かすバッテリーとは別に、室内の電気製品のために積むバッテリー。
- ■ FFヒーター:軽油や灯油を燃やして暖める、車載用の暖房。
- ■ RVパーク:キャンピングカーや車中泊の人が安心して泊まれる、有料の駐車スペース。現在、全国に732件あります(2026年10月22日時点)
これで準備はばっちり。いよいよトークショーのはじまりです!
品田編集長に聞く、おすすめの1台

登壇したのは、キャンピングカー専門誌『オートキャンパー』編集長で、『オートキャンパーWEB』とYouTube『とびだせ! オートキャンパーテレビ』の編集長も務める品田直人さん。聞き手は、ラジオ大阪パーソナリティの田中泰延です。
トークの冒頭では、品田さんから発売中の『オートキャンパー』11月号の紹介も。読者の「ここ良かったよ」を集めた都道府県別の「道の駅ガイド」が3号連続で付いているそうです。
さて、今日のトークショーは、会場に並ぶ約250台の中から「こんな人には、この1台!」を品田さんに教えてもらう時間。ところが品田さん、いきなりこう言います。
品田
移動するお家を選ぶわけですから、直感で『これいいんじゃない?』と思った1台を選んでいただければ
田中
結論、出てしまいました(笑)
……というわけで、気を取り直してケース別に聞いていきます!
【1】 夫婦で老後まで、2人の旅行を楽しみたい!
「子どもたちがひとり立ちしていって、2人で旅をというご夫婦、いらっしゃるんじゃないでしょうか?」と泰延さん。
そんな方へ、品田さんは「軽キャンパー」をおすすめ。
軽自動車サイズなので駐車場にもすっと停められ、「この道ちょっと暗いな、Uターンしよう」も気軽にできます。最近の軽は速くて乗り心地もよく、奥さまも運転を楽しめるのがポイント。
実際に注目しているモデルも教えてくださいました。
1台目は、軽キャンピングカー専門店オートワンのベストセラー「給電くん」。

身長184cmほどの品田さんも、実際に泊まってみて「斜めになれば寝られた」そう。電子レンジも空調のスイッチも、手の届く範囲にまとまっています。
品田
この合理的な設計は日本にしかない。日本人はもっと胸を張って軽キャンパーに乗るべきです!
2台目は「ちょいキャン豊」。

ここで大事なアドバイスがありました。エアコンなどの空調は、後から付けるのがとても大変。フル装備なら、数年後に乗り換えるときの買取価格にも期待できるそうです。
品田
迷ったら、フル装備がおすすめです
【2】 40代夫婦にお子さんが3人、5人家族!
大家族のニーズに品田さんは……
品田
いやもう、2台買ったらいいんじゃないかな。お父さんも運転して、お母さんも運転して(笑)
そう笑いながら、ちゃんと「この1台」のおすすめも用意くださっていました。
本命はキャブコン。中でも、ナッツRVの「クレソンジャーニー Type W」、バンテックの「ZiL(ジル)」「CORDE Bunks(コルドバンクス)」が挙がりました。



品田
お子さんが小学生・中学生になると、独立したベッドがあったほうがいい。バンクベッドと後部に2段ベッドがあるモデルがおすすめです
田中
バンクベッドは、はしゃいだ子どもに取られがちですけどね(笑)
最近は、後ろに出入口がある「リアエントランス」も流行中。キッチンや水回りがまとまっていて使いやすく、ワンちゃん連れの旅にも便利なんだとか。
また、寝られる人数だけでなく「何人乗って走れるか」も大事で、同じモデルでも2駆は7人・4駆は6人乗りになるなど違いがあるので、諸元表のチェックは必須です。
【3】 マルチルームはシャワーにしたい!
品田さんによると、以前はマルチルームはいらない派が多かったものの、今は防臭袋で処理できるウォーターレストイレの普及もあって、トイレやシャワーを求める人が増えているそうです。
品田
シャワーを使うなら、防水パンが備わっていて、温水ボイラーとタンクが大容量のモデルがおすすめです
日本では1〜2泊の旅が中心ですが、ヨーロッパでは1〜2週間、長いと1か月ほどキャンプ場で過ごす人も。そのためシャワーは基本装備で、水タンクの容量もトイレの使いやすさも段違いなのだそう。
そんな視点で、品田さんからのおすすめには、Adria(アドリア)の「Supertwin」や、ドイツ発のブランド・Eura Mobil(ユーラモービル)の「Xtura」が挙がりました。


国内メーカーのものでは、「マルチルームは絶対必要」という設計思想を持つブランド「レクビィ」もおすすめにピックアップ。

さらに、ダイレクトカーズの「TRIP」も話題に。

多くのキャンピングカーでは20リットル程度のことが多い給水タンクですが、「TRIP」では防災用途も想定して、なんと135リットルを搭載! その上、瞬間湯沸かしのボイラーで、すぐお湯が出ます。
品田
家族みんなで浴びるなら……節水しないと、ですけどね(笑)
【4】 ワンちゃんがおられるご家族
家族の一員であるワンちゃんですが、旅行となると移動も宿泊も気を使うもの。キャンピングカーなら、気兼ねなく一緒に旅をできます。
品田さん曰く、キャンピングカーオーナーの約6割がワンちゃんを飼っており、最近は「ワンちゃんと旅したいから買う」人もいるのだそう。実際にこの日、会場にはたくさんのワンちゃんたちがいました。
そんなワンちゃんがおられるご家族へのおすすめとして例に挙がったのは、レクビィ「ソランハイルーフ」。滑りにくく毛羽立たない専用生地のソファを使っています。

また、興味深かったのが、車内で使われている色の話。
品田
ワンちゃんが見やすい色は、青と黄色と灰色。ソファを青、床を黄色にすると段差がわかるんです
全部真っ赤だと高低差がわからず、落ちてケガをしてしまうかもしれないのだとか。
さらに、運転席と助手席のあいだにワンちゃん専用の席を付けられて、走っている時も一緒にいられるモデルも紹介されました。
【5】 ラフロード・オフロードも越えてキャンプしたい!
自然探検の心をくすぐられるキャンプ。ラフロード・オフロードまで楽しみたい人へのおすすめは?
品田
やっぱり4輪駆動のベース車両がいいですね
おすすめの車種はハイラックスがベースのバンテック「ASTRARE GX4」。タイの山奥で実走テストを経たモデルです。
※ 2026年6月に販売終了

ダイレクトカーズの「BR75」も紹介。運転中に跳ね上げておけるバンクベッドが特徴で、オートクルーズを使えば、高速道路での長距離移動も「すっごく楽」だそう。

さらに、MYSミスティックの「J-cabin HN」は、荷台に居住スペースを載せた「トラックキャンパー」。下ろせば普通のピックアップトラックとして使えます。品田さんのまわりのライターさんにも、しょっちゅう載せたり下ろしたりしている人がいるのだとか。

【6】 防災にもしたい!
地震、台風、豪雨——この1年でも多数起こった自然災害。防災の意識が高まる中で、キャンプ用品やキャンピングカーも防災の視点で語られる場面が出てきました。そこで、キャンピングカーを楽しみだけでなく、災害時の備えにしたい方へのアドバイスは……?
品田
キャンピングトレーラーがおすすめです
運転装置がないぶん、同じ5メートルでもまるごと居住スペースに。コロナ禍には隔離施設や移動診療所として使われた例もあるそうです。
おすすめは、「インディアナRV」やドイツの「バーストナー」、そしてスロベニアの「Adria」のトレーラー。

避難所にペットを連れて行けない問題も、キャンピングカーなら一緒に避難できます。
また、過去には避難所にポータブルクーラーがたくさん届いたのに電源がなかった、ということもあったそう。
その点、サブバッテリーがあれば外部電源なしでエアコンも使えるので、防災目的ならフル装備+ソーラーパネルが安心。マルチルームの例で出てきたダイレクトカーズの「TRIP」には、なんとドラム式洗濯機付きのシェルター仕様もあるそうです。
【7】 ぼっちで日本一周! いつかはユーラシア横断キャンピングカー旅!
ユーラシア大陸なら、世界80カ国で売られているFIAT(フィアット)の「DUCATO(デュカト)」や、メルセデス・ベンツのスプリンターをベースにしたEura Mobilのキャンピングカーが、故障しても部品が手に入って安心だと品田さん。

品田
……でも、これ私、壊れる前提で話していますね。トヨタのハイエースやカムロードのほうが、そもそも壊れないかもって、今思いました(笑)
また、品田さんが大切なポイントとして挙げたのは、すべてが手の届く範囲で完結する合理的な設計です。
軽キャンパーはその点がとても合理的。やり切った時の達成感も高いのではと話します。実際に軽キャンパーでユーラシア大陸を走り切ったご夫婦もいて、日本独自の軽キャンは海外での注目度もバツグンなんだとか。
品田
一人旅なら、手の届く範囲にすべてがそろった“秘密基地感”がハマると思いますよ
日本一周には、リンエイプロダクトの「マイクロバカンチェス ひとり旅」や、横浜のROCKY2が手がけるホンダN-VANベースの「N-VAN MV」。N-VAN MVは背丈が約2メートルと軽の規格いっぱいで、専用クーラーが「めちゃめちゃ冷える」そうです。


気づけば、軽キャンに始まり軽キャンに終わったトーク。最近は、セカンドカーとして軽キャンパーやミニバンクラスのキャンピングカーを買う人も増えているそう。先進安全装備やオートクルーズで、移動がとにかく楽なのも人気の理由です。泰延さんからは、こんな予想も。
田中
30系アルファードの後ろを架装した車、増えると思うんですよ。アルファードでイキってるなと思ったら、『いやいや、これキャンプ行くんです』って(笑)
結論は、やっぱり「好きなキャンピングカー」

会場からの質問も上がりました。
「バンコンのおすすめは?」という質問には、マルチルーム付きが今の主流として、レクビィの「プラスLIV’N」を紹介。
品田
室内レイアウトが270通りもあるので、きっと気に入るものが見つかります
「フル装備というのは、特に何をチェックすべき?」という質問には、エアコンかDC12Vクーラー、FFヒーターなどの空調設備、そして意外にも「テレビ」だそう。旅先でニュースを見たい、という声が多いのだとか。
最後に、あらためて品田さんの結論を聞くと——
品田
ご自分で決められたうえで、最後に背中を押すのが私の役目かなと。迷ったときは、ぜひご相談ください

選び方のヒントをたくさんもらったうえで、最後は「直感で好きになった1台を、自分の旅のスタイルに合わせて選ぶ」。
トークイベント後にその心持ちで会場を回ると、さらにワクワクが高まるように。実際の使い勝手のイメージもよりしやすくなりました。

泰延さんはイベントまではキャブコンが欲しいと感じていたそうですが、すでに自家用車があること、価格や広さを見てトレーラータイプにも関心が湧いてきたそう。
他にも、例えばキャブコンでもあえて小さめにつくることで「走るのは日本国内なので、道の駅などで普通車と並べて駐車できるようにしている」というモデルの話を展示のスタッフさんに伺い、「なるほど〜!」と納得したり。
バイクを悠々と乗せられる超巨大なキャンピングカーに驚いたり。そのサイズも普通運転免許で運転できると知り、さらに驚いたり。しかし輸入車のそのモデルの値段に桁を何度も数え直したり。
反対に、ずっと高額なものだと思っていたキャンピングカーですが、軽キャンパーであればちょっと背伸びしたら手が届きそうだと意外だったり。品田さんのお話で、意外と軽も快適だと知れたこともあり、夢が広がります。

なんとなくの憧れだったキャンピングカーも、さまざま。たくさんの種類、実物を見て、聞いて、違いや具体的なイメージも膨らみました。
私は、どんな旅をしたいんだろう?
そんな想像も、より具体的にできそうです。次の機会には、理想の旅をイメージしながらキャンピングカーを見にこようと思いました。
みなさんは、どんなキャンピングカーで、どんな旅をしたいですか?
【プロフィール】

品田直人(しなだ・なおと)
キャンピングカー専門誌『オートキャンパー』編集長。『オートキャンパーWEB』およびYouTubeチャンネル『とびだせ! オートキャンパーテレビ』の編集長も務める。昭和の旧車のレストアから、パッションフルーツの大量生産やシイタケの栽培まで行う。身長は高いが、腰は低いジェントルマン。

田中泰延(たなか・ひろのぶ)
ラジオ大阪パーソナリティ。「田中泰延のシャチョーとシュチョー」「田中泰延のふたりごと」放送中。株式会社電通でコピーライターとして24年間勤務。独立し、2019年に初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)を上梓、ベストセラーに。その後、出版社・ひろのぶと株式会社を起業。2026年ラジオ大阪クリエイティブ室 室長就任。
X(旧Twitter):@hironobutnk
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廣瀬 翼
レポート / インタビュー
1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語の先生を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。





