ちょいと気になる㊴
おはこんばんちは。
広告探偵の上田豪です。
先週はさんざんなことばかりでね。日記としてあまり振り返りたくないし振り返って心情を吐露したところで暗く重くなるだけだから、今日は前置きはほどほどにしとくね。
ところでさ、この間ね、ぼーっとしてた時にふと思ったんだけどね、動物の名前が入っている植物ってあんじゃん、あれはなんなんだろうって気になっちまってさ。
オオイヌノフグリとか、カラスウリとか、サルノコシカケとか、ネコヤナギとかマムシグサとか……etc
だってさ、オオイヌノフグリに至っては、犬のどこ見て名前つけてんだって話だし、なんだったらむしろ妖怪か落語の演目みたいだし、カラスウリなんて「不幸な少女かよ」ってツッコミたくなるし、サルノコシカケなんてまるで昔話のタイトルか競走馬の名前みたいだし、ネコヤナギなんてたけし軍団にいてもおかしくなさそうだし、マムシグサなんてどんな言い草なんだっつーの。
というわけで、今日も「いま何を読まされたんだろう」という読後感を味わえる木曜日。
例によって今週も見切り発車で着地点の見えない旅へ。
*****
さて。
なんちゅうか、前置きでさりげなく本題に入っていたわけで、このまま話の続きを進めていこうと思うわけなんだけどね、動物の名前が入っている植物ってのが気になったついでに、そういえば動物にまつわる慣用句とかことわざとか故事成語ってのも多いよなあと思ってね。
でね、みなさんに聞いてみたいんだけどね、「動物にまつわる慣用句」といったら何を思い浮かべるんだろうってね。
猿も木から落ちる
馬の耳に念仏
犬も歩けば棒に当たる
蛙の子は蛙
……etc
多くのみなさんは、大体こんなとこを答える感じっすかね。
あ、これを読んでいるのは俺と違って義務教育をまっとうした大きなお友達のみなさんがほとんどだと思うので、それぞれの言葉の意味は当然おわかりでしょうし、おかわりといえば西武ライオンズの中村剛也な。

それでは、もうひとつ問いたい。
これらの慣用句をカタカナで書いてみたことはありますか。
あのね、俺は実際に書いてみて、ちょいと気づいちゃったんですよ。
結論から言っちゃうとね、
「動物にまつわる慣用句をカタカナで書くと植物になる」んですよ。

ええと、読者のみなさんは俺がいまなにを言い出しているのか分からないと思うし、脳内にミルコ・クロコップが浮かんでると思うけど、ちゃんと説明するからトランキーロ、あっせんなよ。

この先を読めばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば答えはなし。読み出せばその一足が道となり、その一足となる。迷わず読めよ、読めばわかるさ。
*****
というわけで、
「動物にまつわる慣用句をカタカナで書くと植物になる」の説明を始めるとします。
まずは簡単な例を挙げてみる。
例えば、
「猿も木から落ちる」これをカタカナにしてみると、
「サルモキカラオチル」
どうよこれ。もう高山植物の名前としか思えない。きっと標高1,500メートル以上の山岳地帯に自生しているはず。
「馬の耳に念仏」これをカタカナにしてみると、
「ウマノミミニネンブツ」
これは薬効のある多年草に違いない。煎じて飲むと人の話がよく聞こえ、理解力があがる効能があることからパワハラ上司に飲ませたい人に珍重されるとかなんとか。
「犬も歩けば棒に当たる」これをカタカナにしてみると、
「イヌモアルケバボウニアタル」
アンデス地方に多く見られるサボテンの一種。環境の変化に強く初心者でも育てやすいため、最近はホームセンターの店頭でもよく見られる。
な?
「動物にまつわる慣用句をカタカナで書くと植物になる」ということが、よくわかったでしょ?
ちなみに、こういった植物のことを慣用植物というし、駄洒落には寛容でいてほしい。ここは試験に出るから覚えといてな。
慣用植物にはその他にもね、「ケンエンノナカ」「バジトウフウ」「スズメノナミダ」「ミズヲエタサカナ」「サイオウガウマ」「ウノメタカノメ」「スイギョノマジワリ」「トラノイヲカルキツネ」「ツルノヒトコエ」「トンビガタカヲウム」「ウゴウノシュウ」「ネコノメノヨウ」「リュウトウダビ」「クモノコヲチラス」「ムシガスカナイ」「キツネニツママレル」……etcとあるんだけど、キリがないのでここではやめておく。
「猿も木から落ちる」と漢字で書けば誰もが知ってる慣用句。ところが「サルモキカラオチル」とカタカナにした瞬間にそれは幻の慣用植物になる。言葉の意味は変わっていないはずなのに、表記の仕方を変えただけで人間の脳みそは簡単に騙される。
人という生き物は、意味で言葉を理解しているようでいて案外そうでもないようだ。人は言葉を音で捉える場合と、字面で捉える場合で言葉の捉え方が変わることがある。
「猿も木から落ちる」を音で聞いても字面で見ても慣用句なのに、「サルモキカラオチル」と表記された字面を見た瞬間、つい、脳内で勝手に葉っぱを生やしてしまうのである。
人は賢いようでいて案外そうでもない。だが、そのおかげで人生を面白がれることもまた少なくない。
*****
俺は最近、本気で考えている。
これまでの広告業界での仕事では、主に「ビジュアルと言葉の関係」について考えてきた。そして今、出版社とラジオ局それぞれに居候しながらそこでの仕事に携わっているせいか、「言葉と音の関係」についてこれまで以上に考えているような気がする。
そして閃いた。
いつか『慣用植物図鑑』を作れないだろうかと。
掲載予定種はおそらく百種を超えることとなるだろう。
「サルモキカラオチル」
「ウマノミミニネンブツ」
「イヌモアルケバボウニアタル」
「カエルノコハカエル」
……etc
ここに掲載されるものはいずれもまだ未発見の慣用植物である。
少なくとも今のところは。俺の頭の中にしか存在していない。多分。
だがしかし。
オオイヌノフグリやサルノコシカケが実在する世界である。「カエルノコハカエルなんて、そんな植物あるわけないだろう」と言い切れるほど俺は自信家ではない。
ひょっとしたら長野県や福島県の山奥あたりに、カエルノコハカエルの大群落があるかもしれないし、まさかの灯台下暗し、あなたの住んでいる近くにひっそりと生えているかもしれない。
もし、俺が『慣用植物図鑑』を作るなら、本気で作る。
ふざけたものほど本気で作るのは俺の信条だし、日本一外野守備が上手かったのはイチローではなく新庄だ。
それぞれにイラストがあり、学名があり、分布図があり、栽培方法があり、花言葉がある。
花言葉といえば、サルモキカラオチルの花言葉は「油断大敵」。ウマノミミニネンブツの花言葉は「聞いているふり」。カエルノコハカエルの花言葉は「親譲り」。果たして花言葉なのか人生相談なのか説教なのか。




ひとまずAIでラフイメージを作ってみた。あくまでもラフな。俺ならこういうイメージのふざけた図鑑を本気で作りたい。だって俺は読みたいもん。それにこんな図鑑ができたら面白いと思ってくれる人は、少なくとも世界に3人4人はいるだろう。売れるとか売れないとかそういう話じゃないのだ。
そしてなによりこの図鑑を作るには、協力してくれるコピーライターとイラストレーター、さらには未だ見ぬ慣用植物を発見してくれるみなさんの協力も不可欠なのだから、そこんとこよろしく頼む。
え?
そんなのラフイメージで作ったAIでやればいいじゃんって?
情報商材屋まがいの制作者と違って、俺は作りたいものを自分で作ることでしか達成感を感じない。大して面白くもない平均的なものをAIで出力して本気で喜べるほど俺は自分の仕事に無責任じゃない。そんな身体に誰がした。
自分の頭を捻り、制作者仲間とコラボレーションしながら時間をかけて作りたかったものを世に生み出してこそ喜びを感じることができるわけで、こんな面白いプロセスを手放してまで、まるでコタツ記事を書くかのようにすべてをAIに委ねるなんてことは俺にはできるわけがないのだ。
なんつって。
AIロンダリングしたクリエイティブで作った気になっている人たちには、俺が言ってることなんて馬の耳に念仏かもしれませんし、ミニにタコといえば田代まさし。
どうでもいいか。どうでもいいな。
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はい。トークライブのお知らせです。

「コンプライアンスなんてぶっ飛ばせ 3」
日時:2026年7月14日(火)19:30〜
場所:阿佐ヶ谷ロフトA
出演:よけいおじさん(オケタニ教授・上田豪)
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/355246
普段サシ飲みで二人で話しているあんなことやこんなこと(格闘技、野球、特撮、昭和ドラマなどなど)を生暖かい目で覗き見するようなトークイベントです。配信なしだからできる大っぴらに話せない内容を現場で目撃してください!多分打ち上げもあるよ。きてねー。

上田 豪 広告・デザイン/乗り過ごし/晩酌/クリエイティブ
1969年東京生まれ フリーランスのアートディレクター/クリエイティブディレクター/ ひろのぶと株式会社 アートディレクター/中学硬式野球チーム代表/Missmystop





