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2025年8月22日「街角diary」加納穂乃香がお届けします。

加納穂乃香


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そこに先祖はいるのか

今年の夏も島根に帰省し、祖父母の家に行きました。

家の床の間にはお盆の特別セットが組まれています。

いつくもの仏像が浮遊した絵の掛け軸の前には、先祖の遺影がずらり。
線香やろうそくが立てられ、盆提灯が灯り、お供えが積まれていきます。

そこに先祖のみたまが帰ってくるようです。


8月13日
迎え盆。

床の間のお盆特別セットに先祖のみたまがやってきました。
やってきたに違いありません。

お盆特別セットの前で手を合わせ、りんを鳴らします。


日が暮れると、さあお墓まいりに行こう。と、線香や桶、お米をもって総出で出かけます。

お墓の前で手を合わせて、水をかけて、線香に火をつけ、お花を供えて、お米をパラパラ。
最後にもう一度、手を合わせる。

父は目をつぶって、少し長めに手を合わせています。
心の中で会話しているのかもしれません。

私も倣って手を合わせます。

心の中で、思います。

私たちは、ただの石に手を合わせている。

先祖のみたまは、いま、床の間のお盆特別セットでお供えのメロンの匂いをかいでいる。

 

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    ひろのぶと株式会社 事務局長。株式会社街クリ 取締役。パンチニードル職人。