「死×〇〇」のテーマは60以上。「Deathフェス2025」は、パレードや阿波踊りもあるお祭りに。
—— ますます、「Deathフェス」が楽しみになってきました。今年の見どころを教えてください。

今年は、オープニングにアーティストであり、ドラァグクイーンであり、映画評論家であり、非建築家(建物を建てない建築家)というヴィヴィアン佐藤さんをお招きしています。
「Deathフェス2025」開催前の3月20日・21日に、「〝よい死〟とは何かを、ヘッドドレスを通して表現したらどうなるか」というテーマで、ヘッドドレスをつくるワークショップを開催いただく予定です。
オープニングは、そのヘッドドレスをかぶった人たちが会場を回るミニパレードを行います。
—— いきなりファッションショー状態ですね……!

オープニングのミニパレードでは、できれば男女問わず幅広い年齢層の方々に「自分らしい死」を表現してもらって、そこでインタビューもしたいと考えています。


ヴィヴィアンさんご自身も、被災地支援の中でヘッドドレスのワークショップを行ってらっしゃる方なんですよ。
東日本大震災からはもう20年が経ちますが、今になって引きこもりや孤独死といったことが増えてきてしまっているそう。そこで、被災地へ行ってヘッドドレスをおじいちゃん・おばあちゃんにつくって被ってもらっているそうです。
—— 鮮やかなヘッドドレスを被ったら、気分が変わりそうですね。

そうですよね。ヴィヴィアンさんは「Deathフェス」の目指すものにも強く賛同してくださっていて。とてもご協力いただいています。
ちなみに、現在「Deathフェス 2025」開催に向けてクラウドファンディングを行っているのですが、ヴィヴィアンさんによるヘッドドレス制作ワークショップへは、そのリターンで参加できます。

それから、世界26カ国以上で活躍している日本初のプロ阿波踊り集団「寶船(たからぶね)」さんにも、「よい死の日(4月14日)」の夕方にパフォーマンスいただく予定です。
彼らのつくるNEO阿波踊りは、伝統を大切にしながら現代に合わせてアップデートされてらっしゃって、きっと会場みんなで盛り上がりますよ。
こちらも、特別席で観覧できるチケットがクラウドファンディングのリターンにあるので、楽しみにしていただけるとうれしいです。
—— まさにお祭り、フェス! 他には、どんなコンテンツを予定していますか?

「死×〇〇」といった形で、死をいろんな側面から多面的に捉えるようなテーマを複数設けて、トークセッションやワークショップ、それからお酒を手に語らう「Deathスナック」を行います。
今このテーマをいろいろ出しているところなんですけど、6日間で何個ぐらいだっけ……?

60は超えるかな……? アイデアはどんどん、もっと出てくるんですけど、調整能力や会場のキャパシティが追いついてなくて(笑)。

—— すごい数……! いろんな問いが飛び交う6日間になりそうです。

それから、今年の新たな取り組みとして、〝死とその周辺〟に関する問いをキュレーションして展示したいなと思っています。
「〝よい死〟を自分らしく表現するとしたら何だろう?」とか、「多死社会とは何なのか」とか、「死とつながりのデザインってなんだろう」とか。
—— 一人で考える時間にも、誰かとの会話の切り口にもなりそうですね!

はい! 答えを提供するのではなく、問いかけによってみんなに考えてもらって、「こんなことがあるんだ」と思ってもらえるようなキュレーション展示にしたいですね。

あとは、死の周辺の最新研究内容が聞ける「アカデミックデイ」の開催や、企業の出展・物販もあります。いろんなグッズやサービスがあるんですよ。その出展を見て回るだけでも、〝死とその周辺〟のいろんな側面を感じていただけるし、楽しんでいただけると思います。
普段は言いにくいことも、ポップに話せるオープンな場。フラッと気軽に立ち寄って。
—— 今日は一緒にお話ししていて、〝死とその周辺〟の話題でありながらお二人がエネルギッシュで楽しそうなことが印象的で。私もワクワクしてきました。

正直、「死をポップに」と活動していると、「死はもっと真面目に考えなきゃいけないものだ」とお叱りを受けることもあります。
それに、もしお話ししている方に「私、ステージ4のがんなんです」と言われたら、その人の前で健康な私が語っちゃいけないかもと感じてしまうかもしれないと思うこともあります。


でも、ひょっとしたらその方より先に私のほうが死んじゃうことも、あるかもしれない。
だから「Deathフェス」では、あえて遠慮せず、普段は言いにくいことが言えるような、場の力を借りてみんなでもっと自由な発想を出したり、思い切ったことが言えたりしたらいいなと思っています。

その入り口として、ポップであることがすごく大切なんですよね。
渋谷の商業施設であるヒカリエの中の、開けたイベントスペースである「8/」が会場なのも、オープンな場でフラッと入っていただきたいなと思って。
イベントを知らなかった人にも「なんだろう?」と立ち寄ってもらえるとうれしいです。

昨年も同じ会場で開催したのですが、本当にフラッと「Deathスナック」にいらっしゃってお酒を飲みながらワハハと大声で笑っていたのに、気がついたら泣きながら話している、といった方もいらっしゃいました。
「これまで話す場がなかったけれど、本当はこういう話をしたかった」って。
—— 全然知らない人とだからこそ話せたとか、知らない人のほうが話しやすいこともありますよね。

考えてみたら、私もお墓に入りたくないとか、有機還元葬にしてほしいとかは、親に話したことは「Deathフェス」を始めるまでなかったですね。
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