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プレゼンはイメージではなく「言葉」|【広告図鑑】11月20日配信「10月中旬の広告」より

街クリ 編集部


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「GOOD INNOVATION LAB」で毎週木曜日18時に配信されている動画コンテンツ『広告図鑑』。ビジネスプロデューサーの宮本安祐佳さんとコピーライターの田中泰延が、さまざまな広告を紹介しています。

その『広告図鑑』を、『街角のクリエイティブ』でも特別に記事としてチラ見せ! 配信で取り上げる数々の広告の中から、毎回ひとつをピックアップしてご紹介します。

今回は、11月20日配信「10月中旬の広告」から見ていきます。

▶︎ 11月20日配信「10月中旬の広告」全編の動画はこちらから

TOYOTA『センチュリー』TVCM 「One of One」篇

トヨタの『センチュリー』TVCM 「One of One」篇です。

センチュリーっていうのは、トヨタの最高級車につけられる名前。

それが一昨年、突然SUV型のを出し始めたんですよね。

うん、うん、うん。

トヨタは「トヨタ」っていう普通のブランドがあって、その上の「レクサス」があって、 さらにその上に「センチュリー」ってブランドを今作ろうとしているということですね。

豊田佐吉の「豊田織機」という織物の機械から始まって自動車をつくったと。

その歴史を永瀬正敏のナレーションで語ってるわけです。

YouTube より

センチュリーっていったら、運転手がついて12気筒で真っ黒で。 後ろで天皇陛下とか総理大臣が乗るっていう。

だけじゃなくて、SUVが出て、このCMで出てくる真っ赤な、巨大なスポーツカー的な、自分で運転するようなジャンルですね、そっちへ行こうと。

世界のラグジュアリーブランドの車、こういうのは一台売れれば、普通の、私たちが乗ってるような車の、百台分の利益あったりしますからね。

すごいですね。もう、価格がちょっと、全然レベルが違うなと思いつつ。

世界的に、富裕層と庶民が今どんどん二極分化してるっていうことで。

トヨタは豊田織機の織物から始まって、 大衆車「パブリカ」とか。

トヨタ・パプリカ/出典:wikipedia

庶民が買える範囲の贅沢である「クラウン」とか作ってきたけれども。

8代目クラウン(MS137)※1987~1991年/出典:トヨタモビリティ神奈川

「レクサス」「センチュリー」と、もういよいよ富裕層相手のビジネスを堂々とやっていくと。 世界はそうなっちゃってるっていう象徴的なCMですね。

なるほど、確かに。 なんかすごい。 

一点、私気になったのが、こういう抽象的っていうか、現実ではありえない描き方というか……。

例えばこれ、車が赤い布を付けて走ってるじゃないですか。

YouTubeより

そうね、布、引っ張って。

クリエーターは演出コンテとかでクライアントに提案すると思うんですけど、それをどうやって「これがいいんです」って伝えてるんだろう? って、気になるんです。 

相手の創造力の中で、車にこういう赤い布が見えても「はて? 」みたいな。

それがなんでカッコよく見えるのかって、クリエイティブディレクターがどう提案してるんだろう? っていうのがすごく気になっております。

これはね、イメージで伝えてるんじゃなくて、「言葉」でやってますね。

つまり、このCMのコンセプトがトヨタ織機、つまり布を作る会社から始まったっていうところから、その布のイメージがセンチュリーの最新車まで引き継がれてるんで、「布なんです」と。

YouTubeより
YouTubeより

なるほど。

「イメージが美しいんです」とかって言ってないと思います。

これはすごい大事なポイントで、広告のプレゼンって、「このイメージがカッコいいんですよ」って偉い人に言っても通ったためしがなくて。

常に「言葉とコンセプト」なんですよね。

いやー、本当におっしゃる通りですね。

うん。

だから、カッコよくなったのは最終的に「演出家がカッコよくしました」っていう結果であって、

プレゼンでは「布から始まるトヨタの歴史が布に引き継がれていきます」「布です」「布」「布」「布」って言ってプレゼン通ってるんですよ。

YouTubeより
YouTubeより

最終的なアウトプットとしてこれになったっていうだけで。

なるほど〜。勉強になります。


11月20日配信「10月中旬の広告」では

  • ・ついに「6輪」のレクサスが登場。トヨタ「LEXUS LS Concept|DISCOVER」TVCM
  • ・ファッションブランドなのに「本」だけのビジュアル?ブルネロ クチネリ「本は私に人生の道を示してくれた」新聞広告
  • ・批判だらけだった万博もミャクミャクも終わってみれば絶賛「大阪・関西万博」閉幕公式X投稿

など、全部で8つの広告事例を紹介しています。

ぜひ、全編もチェックしてくださいね!

※『広告図鑑』の視聴には、GOOD INNOVATION LABのプレミアム会員登録が必要です。

プロフィール

宮本安祐佳(みやもと・あゆか)
ビジネスプロデューサー
フリーランスのCreative Director&PlannerとしてCMやSNS、D2C、場づくりなどを手がけている。
X(Twitter):@ayuka_miyamoto

田中泰延(たなか・ひろのぶ)
ひろのぶと株式会社 代表 / コピーライター
東京コピーライターズクラブ、大阪コピーライターズクラブの審査員も務める。著書に累計20万部の『読みたいことを、書けばいい。』『会って、話すこと。』(ダイヤモンド社)他。
X(Twitter):@hironobutnk

GOOD INNOVATIN LABとは

世界のイノベーティブなヒト、モノ、コトを紹介するコンテンツサービス。コピーライターのオンライン講座をはじめとして、広告プランニング、クリエイティブディレクションなど、大手広告会社で活躍する一流のクリエイターからクリエイティブの知識と技術が学べる講座、イベントが充実しています。

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