映画『リング』
こんにちは、こんばんは、おはようございます。
水曜日の「街角diary」担当の廣瀬翼です。
いま、1月にラジオ大阪で放送された「田中泰延のふたりごと」の記事をつくっています。
ゲストは、株式会社 闇 代表取締役社長CEO 荒井ジョースケさん。
もうね、いろんなホラーの情報が出てくるんですよね。ジャパニーズホラーの源流のような話もあったりして、怖いの苦手・ホラーは苦手と言っている私も、すごく興味深くて楽しい。
話題の中では、当然のように『リング』の話も出てきています。
映画『リング』は私も観ました。ドラマの「リング」も観た記憶はあるのですが、やはり印象が強いのは映画の『リング』です。
でも、印象に残っているのは、テレビから出てくる貞子……ではなく、最後にお父さんに電話をかける松嶋菜々子の声。
普通に、いつも通り電話をしているような、その声。それが、一番怖い。
怖いものが苦手な私でも『リング』を観たのは、父と母の評価が高かったから。二人とも、「怖いのは貞子でも怪奇現象でもない。人間だ」と言っていました。
そして私はいま、ラストシーンが本当にそれであっていたか、ドラマと映画を混同していたりしないかと、Amazon Primeで『リング』を開いてしまいました。
ひ〜! 今夜はドラえもん歌いながらじゃないとお風呂入れないし、目を逸らしたうちに何かが鏡に写っていたらなんて想像しちゃって、目をカッ開いてシャンプー・トリートメントすることになりそうです。
* * *
ところで、どうやって私たちはこのラストシーンの怖さまで連れていかれたのか。
ホラー作品を得意とし『リング』の脚本を手がけた高橋洋さん、『リング』『呪怨』などを手掛けてきたプロデューサーの一瀬隆重さん、小説家で『リング』の原作者である鈴木光司さんが、映画『リング』について語った鼎談で、興味深い会話がありました。
高橋 息子の陽一が呪いのビデオを夜中に見てしまい、それを知った玲子が「なぜ見たの」と悲鳴を上げて抱きしめるシーンにゾッとしたという感想も多かった。
週刊現代「「映画館で見たが1週間後に死ないのか」「アフリカでもみんな貞子を怖がった」日本列島を悲鳴の渦に引きずり込んだ、『リング』はなぜあそこまで怖かったのか」
鈴木 あそこも幽霊が出てくるわけじゃないけど設定的に恐ろしかった。
一瀬 いい映画には物語が転換するミッドポイントがある。『リング』ではこの場面がまさにそうです。呪いのビデオの謎を追う物語から、息子までビデオを見てしまったことによって、元夫と一緒に息子を救おうとする親子の物語に変わっていきます。
「いい映画には物語が転換するミッドポイントがある」
おお〜〜〜、なんていい言葉だろう……!
さらにさらに、この鼎談がかなりおもしろくて。
「ホラー映画」といえばこの映像! と、私たちの脳裏にこびりついているテレビからの貞子の登場シーンですが、映画で流れてくるのはかなり終盤。原作者の鈴木さんは「貞子をギリギリまで登場させなかったことが、この映画ヒットした大きな要因」と分析します。
一方で、一瀬さんはそれができたのは時代の違いもあったといいます。
一瀬 あの演出ができたのは、当時のお客さんが我慢をできたからとも言えます。今は飽きるとすぐに早送りしてしまうから、ジワジワと恐怖の種を植え付けていくような表現はできない。そんな時代に『リング』は生まれなかったでしょう。
週刊現代「「映画館で見たが1週間後に死ないのか」「アフリカでもみんな貞子を怖がった」日本列島を悲鳴の渦に引きずり込んだ、『リング』はなぜあそこまで怖かったのか」
確かに。なるほど〜!!!
だって、今はネタバレをわざわざ読んで確認してから見ることも多いし。私もついつい、ドラマは1.25倍速で見たりするし。映画も、1本1本の時間は長くなっている反面、常に何かしら刺激的な効果がつけられているような印象があります。
テレビのサイズが変わって簡単に出てこられるからとか、壁掛けのテレビだと出てきた時に落ちちゃって這って出てこられないとか、スマホで見てたらコップのふちこさんだからとか……そういうレベルの話じゃなかった。
生まれるものは、やっぱり時代とのマッチってあるんですね。
でも、ただ淡々とやっているのかと言ったら、それも全然違って。ジワジワと恐怖を植え付けていくために、音響や撮影は細かく細かく、言われないと気が付かないようなところまで、こだわっているそう。
そしてもちろん、満を持して(?)登場する貞子さんも、こだわりが詰まっています。
まず、貞子の動きを演じたのは舞踏家。人の日常とはかけ離れた動きをします。その上でさらにもう一工夫。
高橋 貞子が竜司に迫って来る場面では、動きを人間ではないものに感じてもらうため、映像を逆再生させて作っています。
週刊現代「貞子の《目》はどうやって撮ったのか…【史上最凶和製ホラー】『リング』原作者らが明かすその「恐怖の疑問と方法」」
逆! 再! 生!
それは、全然気が付かなかった。
そうして、もう叫び声も上がらなくなる、ギョッとする怨念のこもった片目については……
一瀬 貞子はあそこで初めて画面に全身が登場しますが、顔は長い前髪に隠れていてわからない。次の瞬間、片目だけを大写しにしたことでインパクトが出ました。実は、あの目は助監督を眼科へ連れて行き、まつげを全部抜いて撮影したものなんです。
週刊現代「貞子の《目》はどうやって撮ったのか…【史上最凶和製ホラー】『リング』原作者らが明かすその「恐怖の疑問と方法」」
まつげを!! 全部抜く!!
怖い!!! 監督怖い!!! 貞子より怖い!!! お化けより人間怖い!!!
まつげって、抜けたら新たに生えてくるまでに3ヶ月くらいかかるんですよ。私、大学時代に顔剃り失敗して一部だけまつげまで削ってしまったところ、いまだにちょっとまつげの密度低いんですよ。
それを、全抜き……あの数秒のシーンのために、しばらくはずっと目が乾いてしまいそう……。
いやぁ〜、そんな施術を依頼された眼科の先生は、どんな気持ちだったのでしょう……ソワソワします。
でも、あれがCGとか画像修正とかではなく、本当にまつげのない目だからこそギョッとするインパクトが生まれるのだろうなと思います。
ちなみに、以前テレビで見たことがある話として、さすがに女優さんはまつげを抜くのはNGだったので、スタッフの中で誰か……となって、監督助手の男性の方になったそう。あの華奢で人間離れした動きをする“女性”らしからぬ、ある種の力強さのある男性の目だからこそ、そのギャップでのインパクトも強まっているのかもしれません。
* * *
いやー、こんな話を書いていたら、怖いの嫌いなはずなのに、もう一度ちゃんと『リング』を観たくなってきた……。怖いはずなのに、なんだかワクワクすらします。
本当はもっと
お化けのキャストをしている人が楽屋でメイクを落としていたら自分と同じ顔をした人が後ろに立っていた話とか、
お化け屋敷でお化けが落とし物を届けてくれた話とか、
うちの母親が「あ、あそこから出てくるよーくるよ〜」なんて言っていたら、お化けのほうがビビっちゃって、出てくるタイミングが遅れて母には気づかれず、少し遅れて後ろからきていた父に満面の笑顔で「あ、もう行っちゃったよ?」と声をかけられたらしい話(私は怖くて一緒に入らず、妹が母と行っていた)とか、
ライトにたくさん書こうかなと思っていたのに、『リング』だけで長くなってしまいました。
ついでに、『リング』情報もう一個!
楽しくなっていろいろ調べていたら、『つねにすでに』でご一緒した株式会社 闇の頓花聖太郎さんが、こんな面白い視点のnoteを書いてらっしゃるのを見つけました。
うぐぐ、これは……ますます、映画を見て検証せねば……。
* * *
あれ、そういえばそもそもなんで『リング』やお化けの話を書いていたんでしたっけ……?
あ、そうだ。荒井ジョースケさんがゲストの「田中泰延のふたりごと」でしたね!
こちらの記事は、加納さん編集の動画と合わせてもうすぐ公開されるので、どうぞお楽しみに!
本記事で紹介した映画

リング
主演 松嶋菜々子
監督 中田秀夫
Jホラーの金字塔。
画像引用元:Filmarks
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株式会社 闇の著書
つねにすでに
梨/闇|ひろのぶと株式会社
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廣瀬 翼
レポート / インタビュー
1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語教師を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍編集を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。






