1/1(木)
初詣から帰ると12月の日記がアップされていた。昨年から書いているこの日記は、今年からWebマガジン「街角のクリエイティブ」に載ることとなった。地方で淡々と生活するおっさんの日記。とにかく何も起きない毎日において、これはニュースである。明日の新聞各紙一面はこの話題で埋め尽くされるであろう。
夕方、T子さんの見舞いに行くと、大阪から帰省している妹と鉢合わせた。息子と娘が揃って面会に来たことで、いつになく明るい表情のT子さんであった。しかしそれは我々も同様である。
さて、明日は箱根駅伝である。昨年は出ていない。今日は入念にストレッチして寝るとする。
1/2(金)
奥さんと娘たちは朝から外出。私は9:30からの一般参賀に向けて庭の掃除。皇族は正月も忙しいのだ。ブロワで落葉を集めてソロストーブで燃やした。結局だれも庭には立ち入らず、近所の数人が家の前を通り過ぎただけであったが、2階のベランダから笑顔で手を振っておいた。
明日明後日の2日で連休が終わる。到底納得できない。日本は明治時代に採用したグレゴリオ暦をいまだに採用している。月曜日の襲来を根本的に食い止めるべく、暦自体を抜本的に見直すべき時期が来ている。
1/3(土)
Netflixで「告白の代価」を観始めた。キム・ゴウンの怪演が凄まじい。一気に5話まで観終えてしまった。
日本海に北西ウネリがヒットしている。22時に家を出て、雪深い中国山地を越え鳥取までやってきた。峠の外気はマイナス5度。スケートリンクのような凍結路面であった。キンキンに冷えた車の中で寝袋に入り、棺に収まるファラオの体勢でこれを書いている。
1/4(日)
西風をかわすリーフポイントで初乗り。オフショアでクリーンなコンディションの中、胸肩サイズの良波をいつものメンバーでシェア。言うことなしのグッドラウンドであった。
帰宅、飯、風呂、外は闇。遠くから地鳴りが聞こえる。月曜日が近づく音である。今朝からずっと考えているのだが、全員で一斉に曜日を間違えれば明日も休みになるのではないか。
1/5(月)
仕事始め。あけましておめでとうございます本年もよろしくお願いいたしますと何回言うか選手権で全国優勝した。仕事帰りに10日ぶりのジム。慣らし運転として1kmだけ泳いだ。帰宅してサーフボードの修理。作業のたびに思うが、ガラスクロスとFRP樹脂の親和性は凄まじい。干し柿とクリームチーズ、B’zの稲葉と松本、ガラスクロスとFRPと言っても過言ではない。
1/6(火)
「告白の代価」が面白すぎた。早く寝なければと思っているのに、一話観終えると、つい「次のエピソードへ」を押してしまう。結局最後まで観てしまった。もう0時半である。早く寝なければ。
1/7(水)
昨夜「告白の代価」を最後まで観たせいで5時間しか眠れなかった。私の身体は一日7時間の睡眠が必要。今日はひたすら眠かった。このエピソードをドラマにしてNetflixで配信したい。タイトルは「寝不足の代価」。
1/8(木)
愛用しているセームタオルが薄くなってきた。私はジムも家の風呂上がりも全てセームタオルである。薄く、少ない面積で驚くほど水を吸う。元は洗車後の拭き上げのために開発され、のちにスイムブランドが展開し始めたこのタオル、洗濯後の乾きも抜群に早いので奥さんの評価も高い。しかし長く使っていると少しずつ薄くなり、吸水率も下がる。さっき風呂上がりに「なんか水吸わんようになったなぁ」と呟いていたら、奥さんが「新しいの買えば?Amazonセールやってるよ」と言う。見ると私が愛用しているSWANSのタオルはセール対象外であった。「他の買えば?」と奥さんは言う。「これがええんよ。スワンズのやつが」と返すと「ふうん」と奥さん。これはもう言うしかないと思い「スワンズなのに、めっちゃ吸うんよ」と言うと、先ほどと同じトーンで「ふうん」と返ってきた。何事も力んではいけない。
1/9(金)
奥さんに「『告白の代価』が面白かったよ!」と勧めると「今ちょうど他の韓国ドラマ観てて、すっごい面白いんよ。それ終わったら観るよ」と言う。気になって「なんてドラマ?」と聞くと「えっと、なんとかの」…少し考えて「なんちゃらってやつ」と返ってきた。夫婦として一段階ステップアップした。
1/10(土)
Amazonに告ぐ。
それはもう買った。
1/11(日)
外気温1度。極寒の中をスーツや振袖に身を包んだ若者たちが歩いていた。長女もあと4年で成人式か。信号待ち。娘たちの振袖姿を想像して、ただそれだけで緩む涙腺。
夕方、T子さんに会いに病院へ行くと、目を瞑ったまま右手を上げ、ゆっくりと腕を回していた。右手右腕だけは自分の意思で動かせる。入口に立つ私に気づかず、ゆっくりと腕を回し続けるT子さん。運動を、頑張っているのだ。近寄ってその手を握るとチラッとこちらを見て、また向き直り「つめたいねえ」と言う。「外は寒いで」と伝えると「かぜ、ひかんようにね」か細い声を振り絞って、ただそれだけで緩む涙腺。
夜は実家で鍋。娘たちの幼少期の写真を入れたハードディスクが故障したと話すと、そそくさとパソコンを開く父。画面を見ると、娘たちの名前が冠されたフォルダの中に、年月別に分類された凄まじい数の写真や動画があった。娘たちが生まれた時から、父自身が撮った写真や、私がメールやLINEで共有してきたデータが全て保存されていて、ただそれだけで緩む涙腺。
1/12(月)
昨夜の暴食を戒めるべく6:30からジョグ。まだ辺りは薄暗く、気温はマイナス3度と冷え込んでいた。流石にこんな日は誰もいないだろうと走っていると、数人のランナーとすれ違った。他にやることはないのだろうか。
昼から家族で倉敷へ。娘たちのショッピングに付き添い、福山に帰ってきてスシローへ。会計の際、スキャナーで素早く皿の数を集計した店員さんが早口で「赤の皿⚪︎枚と黄色の皿⚪︎枚と黒の皿⚪︎枚、それから白の皿⚪︎枚とお椀が⚪︎つに茶碗蒸しが⚪︎つ、わらび餅が⚪︎つで間違いなかったでしょうか」と聞いてきた。わかってたまるか。
1/13(火)
深澤献著『ヤマ師』が面白い。激動の近代日本を豪胆に生き抜いた怪人、山下太郎の話。杉森久英著「アラビア太郎」と合わせて読んだ。スケールが大きすぎる。ドラマ化希望。
1/14(水)
Sさんからメッセージで「今日は芥川賞直木賞の選考会ですね。固唾を飲んで見守っています」とのこと。今年こそ国民の期待に応えなければならない。今日は不要な外出は控えて、いつでも電話に出られる状態でじっと待っている。
1/15(木)
とあるブログに「自分が間違えたと思ったらちゃんと誤るべき」と書かれている。ちゃんと誤っている。
1/16(金)
立憲民主党の野田氏と公明党の斉藤氏が新党を結成するという。その名も「中道改革」。アイナジエンドか。
1/17(土)
朝、掃き出し窓の外に置いている庭用のサンダルが無くなっていた。昨夜まではあったのに。直近1ヶ月で三度目である。時々我が家の敷地に忍び込む三毛猫の仕業だと思われる。対策として猫避けグッズを設置しようか。あの猫よりも強そうな猫を飼うのも良いかもしれない。もし猫を飼ったら名前は「吾輩」にする。
1/18(日)
夜中のうちに家を出て日本海へ。ダイアンのTOKYO STYLEで馬の屁の話、BEFORE DAWNで「サラリーマン」にまつわるエッセイ、NHK名人選で5代目小さんの「たぬき」や「御慶」を聴いた。最近は海に行く時のBGMがトーク中心になっている。
島根県の某ビーチは、ここ数年でベスト3に入る良波であった。5ターンが入るビッグセットもあり、海から上がって半日経った今もまだアドレナリンが出続けている。もう明日は国民の休日としてもよいのではないか。
1/19(月)
ジムでよく会うおじさん、いつだったか歳を聞かれて「45です」と答えると「ワシは65」とのこと。それからというもの、プールで会うと「よう泳ぐなあ。同い年とは思えんわ」ジムでウェイトを担いでいると「よう上げるなあ。同い年とは思えんわ」と、ひたむきに「同い年とは思えんわ」とボケてくる。さっきストレッチをしていたら近づいてきたので「こんばんは」と挨拶すると「おおお、柔らかいなあ」と言ってどこかへ行った。同い年言えや。
1/20(火)
幼馴染のTと会った。週末に新部署の歓迎会があって挨拶でひと笑い取りたいと言うので、面白い話をひとつ提供した。面白い話をしろと言われたらホルモンの話をすればいいのである。焼肉の、あのホルモンである。あまり知られていないが、実はホルモンには正しい食べ方というものがある。塩揉みや水洗いの前に、しばらく土に埋めておくのである。だって掘るもん。
1/21(水)
水泳の発汗量は凄まじいと聞いたので、今日はプールに入る前後で体重を測ってみた。入る前の体重は74.5kgだった。その後、ゆったりと40分かけて2000m泳いでから体重計に乗ると、40分が経っていた。
1/22(木)
起きて即ウチヤマダフーヅ朝礼。今回も最高。もう入社したい。
夜。TBSモニタリングで、鈴木亮平がファンミーティングの会場に現れるという企画をやっていた。ファンからの「手押し相撲をしたい」というお願いに応える鈴木亮平。それを見た長女が「えっ、いいなー!」と言うので「じゃあパパと」まで言ったところで「それはいい」とのこと。メイウェザーがリッキー・ハットン戦で見せたカウンターの左フックより速い。
1/23(金)
「サーフィンってどういうところが面白いの?」という質問に、明確に答えられた試しがない。「滑走感が云々」「自然と一体化して云々」と説明しても、どうもしっくりこないのである。もう20年以上やっているのに。
太宰治の『難解』というエッセイに、こんな一節がある。
”文学に於いて、「難解」はあり得ない。「難解」は「自然」のなかにだけあるのだ。文学といふものは、その難解な自然を、おのおの自己流の角度から、すぱつと斬つ(たふりをし)て、その斬り口のあざやかさを誇ることに潜んで在るのではないか。”
いつも最後には「わからん。でも真冬の極寒でも海に入りたくなる。そのくらい面白い」と答えている。私ももっと、すぱつと斬りたい。
1/24(土)
朝の気温はマイナス2度。最高気温は6度。人類は今こそ地球温暖化を加速させるべきである。
夕方、T子さんに会いに行くと「さっきピアノをひいたんよ」と言っていた。「上手に弾けたんか?」と聞くと「うん」と言う。T子さんは、いつも良い夢を見ている。
1/25(日)
水回りの掃除・精米・買い物・T子さんの見舞い・実家で鍋。
街角のクリエイティブに映画「国宝」のレビューが沢山載っている。昨年から話題の「国宝」だが、この映画で一番大切なポイントは横浜流星が俊介役を演じていることである。この「俊介」は私の名前と全く同じ漢字であり、その俊介を横浜流星が演じているということは、つまり私は横浜流星なのである。その点を追求したレビューが何編あるだろうか。
1/26(月)
友人が船の上で釣ったイカを両手に掲げて「ヤリイカ!」とInstagramに投稿している。アルキメデスか。
1/27(火)
出張帰り。新幹線を降りると、駅のホームに小橋さんがいた。何年も前にTwitterで知り合い、TwitterをやめてからはInstagramでフォローしている小橋さん。あまりにも偶然すぎる初対面。嬉々として話しかけた。名前と顔出しでSNSをやっている人との出会いはスムーズ。もし相手のアカウント名が「アンジェリーナ・ジョリジョリ」や「ジャスティン・ヒーハー」だったら、たとえ顔を知っていても「あの、アンジェリーナ・ジョリジョリさんですよね?」と話しかけるのは躊躇われる。もし向こうが先に気付いたとしても「あの、私インスタで繋がってます、ジャスティン・ヒーハーです」などとは言い出しにくいであろう。
Twitterの皆さんは変わらずお元気とのこと。いいね。
1/28(水)
旧知のヨガマスターT先輩のInstagramは、大自然の写真にメッセージが添えられているパターンが多い。
「やっとわかった。ただ感じればいいんだ」
「一周回って、元の自分に戻れた」
「自分の軸を、心の内側から見つめること」
ちょっと何言っているかわからない。
1/29(木)
ロッテリアの看板がゼッテリアになってリア。名前変えてリア?ビックリアして同僚に聞いテリア、みんな知ってリア。
1/30(金)
夜、娘の塾の迎えから、そのまま北ウネリを求めて日本海へ。道中radikoで安住紳一郎の日曜天国拝聴。今回のメッセージテーマは「スマホにまつわる話」であった。この番組のリスナーは凄腕揃いである。【私のスマホのSiriは、柴犬のお尻を拭くときに「はい、オシリ拭くよ」の声に反応して「はい」と返事をくれます】
おかげで雪深く凍った峠道を楽しく走ることができた。
1/31(土)
二週前に大当たりした某ビーチで終日サーフ。弱いオンショアが吹き続けてコンディションはいまひとつだったが、時にライダブルなセットも入って存分に楽しめた。
海上がり、浜を歩いていた地元のお爺さんに「さむいじゃろう?」と聞かれた。見ている人からすると、真冬の海に入るのは寒そうに見えるだろう。しかしこちらは完全防備である。ウェットスーツ、ブーツにグローブ、ヘッドキャップまで付ければ、寒風吹き荒ぶ真冬の日本海でも驚くほど寒い。
1月が終わった。
唐木俊介 エッセイ
1980年生まれ 広島県在住 会社員





