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2025年12月4日「街角diary」上田豪がお届けします。

上田 豪


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ちょいと気になる⑭

ヤバいよヤバいよ。

いつの間にか世の中は先生と呼ばれる方々が走り回る月になっている。

加納取締役の業務命令により、俺が街角diaryを書き始めたのが7/31。
それからもう4ヶ月も経ってやがる。

ここまで毎週一度も原稿を落とさずちゃんと書いている自分が信じられない。といっても、「ちゃんと」には個人差があるわけで、そして文章がちゃんとしているという意味では決してないので、ちゃんとちゃんとの味の素。

そういえば、俺の何とも言えない読後感が伴う文章を毎週読んでくれている人からある質問をいただいた。

「ところで豪さんが書いているのってエッセイなの?それともコラム?」

答えに窮した。
そもそもエッセイとコラムの違いなんて考えたこともなかったからだ。その場はどうにかお茶を濁しつつ、調べてみると以下のような違いがあるらしい。

“エッセイが個人の体験や感想を自由に綴る随筆であるのに対して、コラムは特定のテーマについて一定の形式で論評・解説する文章であり、エッセイは形式にとらわれず筆者の個人的な内面を描くことが多く、コラムは情報や主張を客観的に、または筆者の見解を論理的に述べるもの”とある。

もっと簡単に言えば、エッセイは自分視点の文章で、コラムは世の中視点の文章だということだそうだ。そしてコラコラ問答は何度見ても面白い。

エッセイとコラムの違いになるほどなーと思いつつ、ちょいと気になったことがある。
よくよく考えてみたらこの質問自体がおかしいのではないか。

よく考えてみてほしい。
俺が毎週書いているのは、街角diary。
…… だ い あ り い ?

エッセイでもコラムでもなくダイアリーじゃん。ダイアリーって書いてあんじゃん。なるほど。そうか、俺は日記を書けばよかったのか。いままで何を書いていたんだろう。

答えはダイアリーだよ。ダイアリーって言っても大きいアリじゃないんだよきみぃ。そして史上最強の動物はアリクイなんだよきみぃ(大山倍達・談/各自調査)

というわけで、今週もあっという間にやってきました「いま何を読まされたんだろう」という気分を味わえる木曜日。


*****

一昨日、9月に行った腎臓結石&尿管結石の手術。
その術後の診察のために病院へ行った。

予約の時間に行ったにも関わらず4時間待たされ、そして診察は2分で終わった。カップラーメンですらお湯を入れてから3分かかるというのにだ。まあいい。おかげさまで晴れて完治のお墨付きをいただいた。これで安心してこの先も健康的に不摂生を謳歌できる。

と、書いていて思い出した。

術後のおぞましい体験をまだここで書いていなかった。
多くの男にとってこの話はきっと背筋が寒く鳥肌が立つことと思う。

今日もここまで書いてきて何を書こうかノーアイディアなので、せっかくだからそれを書いていこうと思う。


手術からひと月後の10月、俺は再び病院を訪れた。

腎臓と膀胱を結ぶ尿管の中に置いてあるカルーセル麻紀もといカテーテルを摘出するためだ。

手術の際に尿管内に内視鏡を入れ衝撃波を撃ち結石を砕いた。そのカテーテルは施術の際に傷ついた尿管を保護するためのものだ。

病院に行く前日から疑問を抱いていた。
どうやってカテーテルを取り出すんだろ。やっぱり手術の時と同様にイチモツの先から内視鏡を入れて取り出すんかなあ。でも手術の時は全身麻酔だったけど、特に前日飲食するなとか渡された診察予約票には何も書いてないぞ。あ、そうか。局所麻酔か。きっとそうに違いない。

2時間くらい待たされて診察室に呼ばれた。

看護師にタオルを渡され、ズボンとパンツを脱いでタオルを腰に巻いたら声をかけるように言われた。あれ?麻酔の話は?

言われた通りの準備が整ったところで看護師に声をかけると、そこの椅子に座って先生が来るのを待つように言われた。あれ?麻酔の話は?

座ってみるとどうやらリクライニングと開脚がコントロールできる椅子だった。何だか嫌な予感がした。一抹の不安ならぬイチモツの不安。その不安を察知したのか看護師は「2分くらいで終わりますからー」と言った。なんか忘れてやいませんか。麻酔の話は?あれ?まさか……麻酔ないの?嘘だろ?

ほどなくして執刀した先生が現れ「お待たせしました。じゃあね、これからカテーテル取り出しますからね」といい終わると同時に、イチモツの先に冷たいものが塗られた。


覚悟を決めた。マジか。


「ちょっと痛いけど我慢してくださいね」

次の瞬間、声にならない呻き声が漏れる。イチモツの先に激痛が走り大開脚のまま思わず仰け反った。

一体俺はいま何をされているのか。視野は遮られていても何をされているかが鮮明に浮かんだ。イチモツのかわいいおちょぼ口に、容赦無く管のようなサムシングを突っ込まれ、それは尿道から下腹部へとずんずん入っていく。鋭い痛みと何か長い管のようなものが体内を這いずり回るような嫌な感覚。何故か24-TWENTY FOURのカウントダウン画面が脳裏を過った。俺は拷問されるジャック・バウアーになっていた。We gonna get through this.

拷問に耐えていると体内を這いずり回る動きが止まった。
看護師の「そこです。掴んでください」という声が聞こえた。内視鏡のモニターを見て施術のアシストをしているのだろう。今度は体内を這いずり回る動きが逆走し始めた。そうか、カテーテルを摘んだ内視鏡を引っ張り出してるんだな。内臓を引っ張り出されているような感覚を覚える。あと少しだ。We gonna get through this.

仰け反ったまま痛みに耐えていると、イチモツのおちょぼ口から体内を這いずり回っていた物体が出ていった。ついでにうっかり鳩が出たらスーパーイリュージョンだ。こんな時、俺のイチモツが横山まさみち画伯の描くオットセイなら「こりゃたまらんわい」とでも言うところだ。言わねえよ。

硬直していた全身の筋肉を緩んだタイミングで、看護師が目の前に緑色の針金のようなものをぶら下げた。グラウンドの金網の針金みたいだなとぼーっと見ていたら

「これが入ってたカテーテル。捨てちゃいますけどいいですよね」
「家に電話していいですか?カテーテルだけに」


*****

現在5時5分。
俺はいったい何を書いているのだろう。

日記でもない。
コラムでもない。
エッセイでもない。

いま何を読まされたのかわからないような読後感のこの文章。
言うならば、ウッセイ。

くだらなすぎてウッセイ。
ウッセイウッセイウッセイわ。

どうでもいいか。どうでもいいな。

 

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  • 上田 豪 広告・デザイン/乗り過ごし/晩酌/クリエイティブ


    1969年東京生まれ フリーランスのアートディレクター/クリエイティブディレクター/ ひろのぶと株式会社 アートディレクター/中学硬式野球チーム代表/Missmystop