はい、みなさん。
今日は「いま何を読まされたんだろう」と言いたくなるような清々しい読後感が味わえる木曜日。
先週は世間を騒がせている熊のことを書いたつもりが、読んでくれた方は「日清のどん兵衛」のことが印象に残ったようで、伝えたいことを伝わるように文章を書くというのは俺ごときにはなかなか難しいなあと思ったりした今日子の吾郎です。
さて。
毎日何かしらの記念日がある世界を生きているみなさんは、昨日が何の日だったかご存知だろうか。
10月29日は「おしぼりの日」。
「手を拭く(てをふく)」の語呂合わせが由来なんだそうだ。
しっかし、語呂合わせが由来の記念日って強引なの多いよな。しらんけど。
ちなみに、おしぼりをお店で出されたときに白いおしぼりと色付きのおしぼりをよく見かけると思うけど、手だけでなくワイルドに顔を拭くなら白いおしぼりにしておいたほうがいいぜ。
その理由は、いつだったかの「僕たちはシリーズ」 の配信で話したような気もするし話してなかったかもしれないが、とってもためになるようでまるで役に立たない配信だから気になる人は「僕たちはシリーズ」をかたっぱしから観るか、または俺に直接こっそり聞いてください。
*****
終電での帰路、夜食の買い物をしようといつもの西友へ立ち寄った。
陳列されているさまざまな食材を眺めながら、何を作って食べようか思案していると、頭の中に悪魔の囁きが聞こえてきた。
「……You、おでん作っちゃいなよ」。
こうなるともう抗えない。
おでんといえば、ちょいと試してみたいことがあったのだ。
俺にとっておでんとは、ご飯のおかずにも酒のつまみにもならない不思議なポジションにいる食べ物だ。子供の頃に駄菓子屋でこんにゃくとちくわぶとはんぺんのおでんを食べていたからかもしれない。
ご飯のおかずになるおでん、あるいは、酒のつまみになるおでんとはどういうものなのか。それを自らの手で作りあげるというのはここ数年の俺の命題と言っていい。
っていうかさ、そもそも世間の方々は、おでんってご飯のおかずとして食べてんの?
話が脱線した。
確か鹿児島あたりではおでんの具に豚のスペアリブが入ると聞いたことがある。何となくだが期待の外国人助っ人スペアリブの力でその命題に近づける気がした。しかし、それが確かなのかどうかは実際に作ってみなきゃわからない。
迷わずカゴにスペアリブを放り込む。
いま深夜1時近かろうがそんなことは知ったこっちゃないし、地球の裏側では昼間だし、俺はやっぱりお馬鹿さんなんだと思う。
帰宅。
すぐさま鍋に出汁を張る。大根、スペアリブを入れ鍋を弱火にかける。その間に別の鍋で卵を茹でる。頃合いを見て、茹で卵、蒟蒻、ちくわぶ、練り物各種、厚揚げ、そして油揚げを開いて餅を入れた餅巾着を順次投入する。そろそろいい感じに煮えたのを見計らって湯剥きをしたトマトを入れ軽く火が通ったら完成だ。
熱々のおでんを器によそう。
そういえば息子は「鍋ではご飯が食えない」とか言ってたよな。でも、あいつ、おでんでご飯は食えんのかな。とふと思ったところで気づいてしまった。
あれ?もしかしておでんって鍋の一種なんじゃね?
そんなこといまさら気づいたのかと思わなくもないが、食事は毎日鍋でもいいと思っている昭和のプロレスラーな俺は、おでんは鍋の一種と考えれば、おでんといえどもご飯のおかずにも酒のつまみにもなるような気がしてくるからきっと大体のことは気の持ちようでどうにかなる。
いよいよ実食。
ところでいま何時だ?と一瞬正気を取り戻しかけるも時計は見なかった。見たらきっと飯が不味くなる。
せっかくだからまずはスペアリブから口に運ぶ。もちろん芥子はたっぷりだ。
あのね、これ、美味い。おでんにスペアリブは入れたほうがいい。弱火で煮てるから肉も固くならないし、なによりいい出汁が出てる。
そのおかげで味が染みて周りが少し溶けかかったちくわぶが最高に美味い。ちくわぶは飲みもの。
高校野球ファンの間では有名な「甲子園は清原のためにあるのか」というフレーズがあるが、「おでんはちくわぶのためにある」んだよ。
やっぱりね、昔からtwitterでも言い続けてきたし、「僕たちは」配信 でも話したように、ちくわぶ以外のおでんの具はちくわぶを食べるための出汁なのだ。
そして、おでんはちくわぶを食べるためのものである以上ご飯のおかずにはならない。いくら鍋物だと思い込んだところでうどん粉の塊で米は食えない。俺は再確認した。無駄な命題はとっとと捨てる。切り替え大事。執着しない。でも、スペアリブのおかげで酒のつまみには少し近づいた気もする。
というかさ、
いまさらなんだけど俺、おでんのちくわぶは好きだけど、そもそもおでんはあんまり好きじゃなかったんだった。
*****
ちなみに今日10月30日は「健康に役立つ咀嚼の日」だそうだ。
健康のために一口(10)で30回咬むことを推奨しているのが由来だそうだ。
そんな日の今日だからこそ、こんなくだらない文章もよく咀嚼して味わってみることが大事なのかもしれませんネ。
どうでもいいか。どうでもいいな。
上田 豪 広告・デザイン/乗り過ごし/晩酌/クリエイティブ
1969年東京生まれ フリーランスのアートディレクター/クリエイティブディレクター/ ひろのぶと株式会社 アートディレクター/中学硬式野球チーム代表/Missmystop





