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2025年9月3日「街角diary」廣瀬翼がお届けします。

廣瀬 翼


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先日の、しゃちょう(田中泰延)との会話です。

「今度の土曜、『タローマン』を観に行きます!」
「俺も観に行きたいんや、一緒行こか」
「おお、ぜひ」
「その日に大阪から帰ってくるから、夕方がええな、18時くらいの回あるか?」
「日比谷と六本木は20時……お、渋谷が18時10分からです」
「よし、それにしよう」

ということで、なぜか2週連続でしゃちょうと映画を観に行くことになりました。

元からおでこは広いのだが、最近の写真はたまに前髪ハゲ感が気になるような……。

ちなみに、その前週の日曜日は、しゃちょうと加納さんと日比谷のTOHOで『国宝』を観ました(加納さん初回、しゃちょう2回目、廣瀬3回目)。

実は私、その時に『国宝』のパンフレットと共に、『大長編 タローマン 万博大爆発』のパンフレットも買っていたのです。まだ観ていないのに。だって、パンフレットって買える時に買っておかないと、品切れになったり混んでて時間がかかりすぎたり、夜の回だとそもそも売り場が閉まってたりもするんだもの。

で、ですね。田中泰延はそれを知っていた。

「つーさん、このあいだ買っていたパンフレットも持ってきて」

ほいほい、よかですよと持っていきまして。そして、きっと「街角diary」の参考にされるのだろうとそのままお預けしたのです。

それで、ですよ。月曜日の田中泰延による「街角diary」。

ふむふむ、と読んでいると……

むむ……?

むむむ??

・・・

しゃちょ〜!!!!

自分で書き込むの楽しみにしていたのに、もう書かれてる〜!!!!

まあ、よかです。しゃちょうのdiaryが楽しかったから。だけど2回目は私に書き込ませてくださいね!!

映画はもう徹底的に「べらぼう」で「でたらめ」で「なんだこれは!」でした。

どれぐらい、私に「なんだこれは!」だったかというと……

買った。

劇場で『明日の神話』のTシャツを着ている人がいて、「かっこいい! あれ欲しい!」と、帰りの電車ですぐに調べてヤフオクで落札した。

過去の岡本太郎展で販売されていたそうで、今はメルカリかヤフオクにしかありませんでした。普段は絶対使わないオークション。でも、迷わず即決。

今日か明日届くはず。楽しみです。

ちなみに、映画公式グッズも充実していてオンラインショップもあるのですが、想定していた以上の人気なのでしょう、すでにsold outがたくさん出ています。映画に行く前の方も、今のうちにチェックしておくのがおすすめだよ!

さて、せっかくなので私も2つほど感想(みたいなもの)を載せてみます。

いやはや、すでに長いのにね。みんな「街角diary」はカテゴリが「日記」だってこと、忘れているんじゃ……


べらぼう、大事。でっかいことは、いいことだ!

とにかく映画、全部が楽しく面白い。

一つひとつ手作りされた未来の都市はキラキラしてかわいく、ワクワクしてしまう。『明日の神話』の中央を支配する死神のような骸骨と爆発も、立体になるとなんだか憎めず愛らしくて。

あ、ちなみに『明日の神話』を私は上京して以来14年間ずっと「アシタノシンワ」と読んでいたのですが、岡本太郎記念館のサイトを見てみたら「アスノシンワ」でした。Oh、ひとつ賢くなった。

現在は渋谷・マークシティで見られる『明日の神話』(出典:岡本太郎記念館 公式サイト

ほかにも、アスペクト比に驚き(詳しくは泰延さんの記事へ)、赤青メガネに笑い、山口一郎(サカナクション)の面白さとモキュメンタリーのある種の怖さを感じ……

もう、1秒も飽きることなくずっとワクワクと楽しかったのですが、

実はそんな私が

中でも息をのんで驚いたのが

「70年万博の実映像」でした。

いや、これまでも見たことはあったんですよ、実家のテレビで。

でも、劇場の大画面で見たからか、あるいは今まさに大阪で万博が開かれているからか。

とにかく、衝撃だったのです。

大きくて奇想天外に独創的で、テーマパークのようにそれぞれにコンセプトを感じるパビリオンたち。

そうして、その「未来」のパビリオンたちのど真ん中が、鉄骨と透明な素材でつくられた屋根を突き破る、縄文の「太陽の塔」。

実映像はわずかな時間だったはずなのに、スコーンと衝撃を受けました。

そんな話を、映画の後に泰延さんにしたら、「そうやろ?!」と熱くなって、70年万博の会場周辺を回る動画を見せてくれました。

「やっぱり、一つひとつのパビリオン、大きいですよね。今の万博の映像と比べても」
「でかいよなぁ」
「出展数がこの55年で増えたのかなぁ」
「そんなには変わらんのちゃうかなぁ」
「70年万博の会場は広かったんですかね」
「あれやってみて、『どこでも大屋根リング』

説明しよう!
「どこでも大屋根リング」とは、万博公式のWebサービス。地図上で大屋根リングのサイズを表したサークルを好きな場所に動かして、その大きさを知ることができるのである!

ということで開いてみた。

まず、こちらが2025年 大阪・夢洲の万博会場と大屋根リング。

「どこでも大屋根リング」スクリーンショット

赤い輪が大屋根リングの外周、青が内周。薄紫のラインが万博会場です。

これを大阪・吹田の万博公園まで動かしてみます。

「どこでも大屋根リング」スクリーンショット

「?!?! え、全然違う!」
「これは……大屋根リング、4つ入るな……」

上の地図、オレンジの太い道(茨木摂津線)でぐるりと囲われているところが、全て70年万博の会場です。高速道路を挟んだ「エキスポシティ」のあたりまで、全て。

べらぼうや。

「いや、でも大屋根リング、デカかったんやけどなぁ」

ちょうど8月にご家族と万博へ行かれた泰延さんは、この比較に何かショックを受けている様子。

「大屋根リングの外側にもパビリオンありますから……」
「はぁ、デカかったんやけどなぁ」
「そりゃ、1つの建造物としては大きいでしょう、70年万博だってこの大きさの建物はなかったでしょうし」
「でも、大屋根リングはぐるりと輪だけやからなぁ」

……先生、私はなんと答えて、なんと声をかけるのが正解ですか?

とにかく、70年万博の映像に受けた衝撃に、「でっかいは、正義だ」と感じました。

夢と希望とインパクトを与えるには、とにかくべらぼうにでっかくすること。

でっかいことは、いいことだ!

閑話休題

これだけだと、まるで今回の万博が70年万博の4分の1であるように感じてフェアではないので、実際の数字の比較表を取り急ぎchatGPTにつくってもらいました。

約2分の1です。

エセ関西弁と言われる私ですが、0歳から18歳まで育ちは吹田の子。70年万博の跡地にある万博公園は身近な存在でしたが、まず1日では歩ききれんのよ。

北側に細長く伸びている日本庭園を歩くだけで2時間くらいかかっちゃうし(夏には蛍が見られます)、今「エキスポシティ」になっているところは私が小学生の頃に丸一日楽しんだ遊園地「エキスポランド」だったし。

もしかしたら、全体を歩いて回って楽しむには、2025年の万博って広いと感じながらも回りやすい広さなんじゃないかな、とも思います。

閑話休題2

さきほどの70年万博の映像を入れ込もうと探しているうちに、2021年に放送された「知られざる1970大阪万博」という番組に出会いました。

その中では、当時のテレビ番組や未放送のフィルム映像が流れ、時代と万博の影も紹介されています。

その番組を見て、時代って、あるいは人って、そうそう変わらないんだなと感じました。

来場者の「人が多い」「疲れた」という声。厳しい建設のスケジュールに、労働環境問題や大阪あいりん地区のドヤ街の話。「ハンパク」と言われた万博反対運動。「太陽の塔」の目の部分に反万博の男性が籠城した「アイジャック事件」。万博の掲げる「人類の進歩と調和」に異議を唱えた岡本太郎。「始まる前は反対しても、一度始まったらみんなで成功させようっていうものだろう」という声……。

今とそっくり。まったく同じ。

いや、それ以上、今よりもっと過激だったかもしれない。

そうして、55年を経てずっと良くなったこと、ずっと改善されたこと、いっぱいあるように思います。

今の万博も、時間が経って「すごかった」と言われたらいいなと思うし、きっと言われる。だから、疲れても、パビリオンに入れなくても、行けるならばその場に行ってみたい。

それと、もうひとつ。

番組ではナレーションを務めた俳優・佐野史郎が、初めて「太陽の塔」を訪れています。

東京電力のCMに出ていたことがある、佐野史郎。その後の、東日本大震災。

「太陽の塔」に触れて、背中の「黒い太陽」を見上げながら語る「(原発は)だって、生活が豊かになるしって(自分に言い訳していたところがある)」「お前のやってる芝居だって、うわべだけじゃないかって突きつけられている気がする」という言葉、表情に……グッときて、問われるものが。ちょっと涙してしまいました。

当時の時代背景や岡本太郎が製作時に話していたことなどを少しだけでも知った今、私もまた「太陽の塔」へ行ってみたい。

閑話休題3

なんて話をいろいろですね、築地の事務所でしていたのですが。

そうしたら、1993年生まれの加納さんが、言いました。

「前の万博って、生まれてました?」

「自分、生まれてへんわっ! 1970年やぞ」と泰延さん。

「えぇ、1970年って戦争じゃないんですか?」

加納さんのイメージの中では、90年以前は戦時下らしい。

曰く、「歴史の授業で終戦後って短くて、パパパって高度経済成長があってバブル弾けてすぐ90年になっちゃうから」。

確かに……だがしかし、加納さんの中の年表はどうなっているのやら……

と言いつつ、この話題の後に「あれ?」と思って確認してみた沖縄返還は、1972年。そうか、70年大阪万博の後だったのか……気づかなかった自分に愕然とします。

そこで、あれれ? もしかして? と思って、言ってみた。

「加納さんが言ってるのって、冷凍マンモスが来た愛知の万博じゃない?」

すると泰延さん。

「違う、日本で万博は大阪の2回だけ。 愛・地球博は大規模万博ではなかったはずや

えええぇぇ?! だって、当時ニュースでもなんでも「愛知万博」って言ってたよ?!

ということで、ちょっと調べてみました。簡単にまとめます。

  • ● 「万博」とは、博覧会国際事務局(BIE)認定の博覧会
  • ● 日本国内では、2025年が6例目(1970年 大阪万博、1975年 沖縄海洋博、1985年 つくば博、1990年 大阪園芸博、2005年 愛・地球博、2025年 大阪・関西万博
  • ● 万博には「大規模博覧会」「小規模博覧会」のカテゴリーがある
  • ● 「大規模博覧会」にはまるのは、70年 大阪万博、05年 愛・地球博、25年 大阪・関西万博
  • ● だがしかし、「愛・地球博」は立候補のタイミングが96年の制度改定の直前で狭間になってしまい、前制度の都合で「小規模博覧会(当時の「特別博」)」カテゴリで申請していた

こういった背景から、「愛・地球博」が「大規模博覧会(一般的に言われる「万博」)」に当たるのか当たらないのかは宙に浮いていたようで、2019年時点では「BIEでは小規模博覧会のカテゴリーの登録」という記事もあったのですが……

2025年9月3日時点、BIEのWebサイトを確認したところ

BIE公式Webサイトのスクリーンショット

「World Expo」の中に「EXPO 2005 Aichi」ってあったよ〜!

いやぁ、調べながら途中までモリゾーとキッコロが不憫でならなかったので、「愛・地球博」が大規模万博に認定されて、なんだかうれしいです。

でも、どっちつかずで大規模万博の登録ではないという期間もあったようなので、泰延さんの言っていることもあっていた。

泰延さんのおかげで、またひとつ賢くなりました。



「でたらめ」も「阿呆」も、真剣でなければ意味がない

みんな〜! 大丈夫〜? 息してる〜??

「2つほど感想」といった2つ目が、やっとここから始まりますよ〜!

やあ、びっくりだね。記事更新前日、深夜3時に書いてる私が1番びっくりだよ。『タローマン』の話をしていたはずなのに、なんで万博の定義とか登録とか英語のサイトまで見て紐解いてるんや。陽が昇る前に終われるんかな、これ。

はい、ではここで一度息継ぎをしましょう。

腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動。はい、1・2・3・4……

深呼吸、できましたか?

では、感想2つ目、まいります。

「でたらめ」と、『踊る阿呆の世界戦略』の「阿呆」には、共通するものがあるように感じました。

どっちも赤いし、ポーズとってるし、特撮だし(『踊る阿呆の世界戦略』は5レンジャーな戦隊モノ)

そして、『タローマン』の藤井亮監督も、NEO阿波踊り集団「寶船」の米澤渉さんたちも、当社社長の田中泰延も、とにかく真剣に「でたらめ」「阿呆」をやり切っているのだと。

そう、感じたのです。

いやもう、『タローマン』はすごいよ。でたらめに「なんだこれは!」なのに、そのすべてがこれでもかと真剣につくり込まれているのです。

街の景色も、ミニチュアも、キャラクターデザインも。CBG隊員は「いや、いるよこれ、本当に当時の番組からとってきてない?」。特に紅一点のマミ隊員は、もう化粧も動きも雰囲気も声も、全部「いや、当時でしょ」がすごい。

それもただのフリーな発想力じゃなくて、

映画のクレジットに「リサーチ」という項目まで、あるんだから。

ぜひね、みなさんパンフレットも買って読んでみてください。気が遠くなるような、「でたらめ」へのべらぼうな真剣さを、きっと知れるから。

さらに藤井亮監督が手がけた他のお仕事も……例えば、「石田三成のCM」。これも「でたらめ」で「なんだこれは!」に見えて、真剣につくられていることが、田中泰延のこちらの記事からよくわかります。

それから、「阿呆」についてはぜひ、『踊る阿呆の世界戦略』はもちろん、米澤渉さんと田中泰延の対談「米澤渉のふたりごと」を読んでね。対談では、どれだけ田中泰延がイベントなどで真剣に考えて「阿呆」をしているかが、わかるはずです。

「でたらめ」は中途半端だと寒くなるし、「阿呆」は照れが入ると見ているほうが恥ずかしくなる(そんな“見ている側”の経験、ありませんか?)。

「でたらめ」も「阿呆」も、真剣にやり切ってこそ意味があって、真剣にやり切るから「べらぼう」で「なんだこれは!」になるんだなと思いました。

……なんて、まるで自分で気がついたように長々と偉そうに書いてしまったけど、岡本太郎がもっと端的に言っていた。『タローマン』テレビシリーズ第5話のタイトルにもなっていた。

真剣に、命がけで遊べ


踊る阿呆たちも、べらぼうなイベントやるよ!

YES! SEN★DEN!

私ね、「街角diary」初回で

街クリ取締役・加納穂乃香氏の方針で、ここでは「PRは際限がないからナシ」なのですが

ってガッツリ書いてるのにね。

しかも、当初予定の字数400字以内はどこ吹く風でエンヤコラだしね。

でも、ほんとにべらぼうなイベントだから、加納さんだって許してくれるっ!

そのイベントとは……


書店イベントなのにっ

和太鼓おもっきり叩いて
NEO阿波踊りをし!

集客規模100人以上!!

出演者、全員が大阪へ
東京から行くのにっ

参加費は驚きの安さ!
500円!!!

さあ、大阪の民よ!
大阪以外の民も!

10月10日の夜は
梅田に集え!!

参加申し込みはこちらから

■ 開催日:10月10日(金)
■ 時間:19:00開演
■ 会場:TSUTAYA BOOKSTORE 梅田MeRISE
     関西大学梅田キャンパス8階
■ 参加費:500円
■ 内容:
・米澤渉 × 田中泰延 トークコーナー
・寶船 生パフォーマンス
・質問コーナー
・サイン会

※ 寶船のパフォーマンスは19:45ごろからの予定です。「19:00の開演には少し遅れるかも……」という方も、どうぞ、寶船を体感しにご来場ください。

ふう、書き切りました。太陽さんに勝ちました。

みんな、『大長編 タローマン 万博大爆発』とにかく楽しくてすごいから、ぜひ観に行ってね。それで、一緒に語りましょう。

そうして、それから、みなさん。

10月に大阪で一緒に
踊る阿呆たちへ
べらぼうに熱狂するのを
心待ちにしております!

来れたら来てな〜!!!

参加申し込みはこちらから

本記事で紹介した映画

大長編 タローマン 万博大爆発
監督 藤井 亮
操演 岡村 渉

本記事で紹介した本

踊る阿呆の世界戦略

踊る阿呆の世界戦略
世界26カ国を熱狂させた NEO阿波踊り集団 寶船の挑戦

米澤渉|ひろのぶと株式会社

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    1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語教師を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍編集を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。