「GOOD INNOVATION LAB」で毎週木曜日18時に配信されている動画コンテンツ『広告図鑑』。ビジネスプロデューサーの宮本安祐佳さんとコピーライターの田中泰延が、さまざまな広告を紹介しています。
その『広告図鑑』を、『街角のクリエイティブ』でも特別に記事としてチラ見せ! 配信で取り上げる数々の広告の中から、今回は特別に2つをピックアップしてご紹介します。
今回は、9月18日(木)配信「8月中旬の広告」から見ていきます。
▶︎9月18日(木)配信「8月中旬の広告」より 全編の動画はこちらから
芝浦機会株式会社 TVCM「ALWAYS 芝浦マシーン」その3

芝浦機械株式会社のTVCM、「ALWAYS 芝浦マシーン」その3篇です。

はいはい。「ツッコミ」と「ボケ」の話。
芝浦機械と関係なさそうで、分かりにくいんですけど、実はあって。
これ、「すごいツッコミを見た」って言うけど、僕、持論があって。
僕がダイノジの大谷ノブ彦さんと「ボケとツッコミとは何か?」について話し合っている動画がYouTubeにあるので見てほしいんですけど。

これですね。

CMの中で阿部寛が「ツッコミを引き出したボケもすごい」って言ってるのは正しくて。
あらゆる発明、それからビジネスモデルっていうのは全部「ボケ」なんですよ。

え〜っ。

「ボケ」って何か?って言ったら、現実に対する仮説の提示ですよね。

なるほど。

平たく言うと、例えば折り畳み傘が1本、カバンに入っている時、「私、カバンにバナナ入ってるわ」ってこれ「ボケ」ですよね。

うんうん。

で、「それ、バナナのわけないやろ!」ってのは「ツッコミ」ですよね。

はいはい。

その両方で人は笑うわけですけど、クリエイティブなのは「ボケ」の方なんですよ。
つまり、折り畳み傘に過ぎないものを、これはバナナの可能性があるっていう、いきなり現実じゃない仮説を提示してるじゃないですか。

うん、うん。

で、「ツッコミ」っていうのは、「違うやろ」と、その仮説を否定してるだけの存在なんですよ。

うん、うん。

でもまわりの人は、「ツッコミが入ったタイミング」で笑うから、実はボケのほうがすごい、 イリュージョンというか、新しい仮説を突如提示していることに気づかないんですよね。

なるほど! そうですね!
いやあ、そう考えたことなかったです。
おっしゃる通りですね。

だから、すべてのビジネスアイディア、って「ボケ」なんです。
「テレビも見れて、電話もできて、メールもできる。 平べったい機械がポケットに入ったら便利だろ?」っていうのがボケで、「そんなんできるわけないやろ!」っていうのがツッコミ。
ツッコミはビジネスを止めてしまう発言で、ボケの方がiPhoneを生んだりするんです。

うん、うんうん。
じゃあ、このCMにはそういった要素が!

でも、「すごいツッコミを見た」って阿部寛が最初に言ってるのがもったいなくて、「すごいボケを見た」っていう方が面白いんですよ。きっとね。

結構IQ高いCMですね。
パッと見て一瞬では理解できなかったんですけど、いま説明を聞いて初めて「あっ、そういうことか」ってなりました。

すごく高度なことをやってますね。

今の話を聞いてから見たいな。また感じ方、捉え方が変わりそうな。

いや〜、一冊、本書こうと思ったんですよね。
イノベーションとか、アイデアにおける「ボケとツッコミ」とは何か?という。

読みたいです。
10周年スペシャルムービー「次のエピソードへ」90秒 |Netflix Japan

もう一本、いきます。
Netflix Japanの10周年スペシャルムービー「次のエピソードへ」です。

わあ、すごい!

すごいね。 すごい。
僕、ここに出てくるネットフリックスのドラマシリーズ、半分ぐらい見てます。

どのドラマ、どの映画にはこういうセリフがあるって、どんだけ時間かかっているのか、これ全部ピックアップするのに。
たぶんネットフリックスさんでは作品ごとに担当者がついてるじゃないですか。
どうやって、どの作品にこういう言葉があるっていうのを集約したんだろうという。

連絡して簡単に集まるわけじゃないから。

ですよね。
こういうことを言いたいみたいな思惑があって、その中で使えそうな言葉を各担当者からいったん全部ピックアップしてくれ、みたいな感じでやったのか。

もしくは、プランナー自身が、ここに出てくるシリーズすべてを見ているファンで、「はい、このセリフ」って感じで使って、そしてコラージュして「ほら、つながりました!」っだったらこれ、本当に胴上げですよ。プランナーの人。

もうね、もう勝ちですよね。その方の。
感動した! いやーすごい!

いやーすごい!
もう言葉がないぐらいすごい。
ネットフリックスが2015年に日本で有料配信を始めて、たった10年でこれだけの世界的ヒット作、名作を積み上げてきたということが、もうすごいですよね。
これは制作者にちょっと手紙を書きたいですね。いや、本当に。

すごいいいいい、いやあ、感動しました。
泣きそうになる。何回も見たくなる。
ありがとうございます。
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- ・堺雅人が「マイホームマン」に扮する人気シリーズ、オープンハウスTVCM
- ・懐かしのおじさんキャラクターと開高健の名コピーが復活、サントリー「トリスハイボール缶 」TVCM
- ・今週の「どやねん広告」は人種差別表現で謝罪、スイスの時計ブランド、スウォッチの広告
など、全部で10の広告事例を紹介しています。
ぜひ、全編もチェックしてくださいね!
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プロフィール

宮本安祐佳(みやもと・あゆか)
ビジネスプロデューサー
フリーランスのCreative Director&PlannerとしてCMやSNS、D2C、場づくりなどを手がけている。
X(Twitter):@ayuka_miyamoto

田中泰延(たなか・ひろのぶ)
ひろのぶと株式会社 代表 / コピーライター
東京コピーライターズクラブ、大阪コピーライターズクラブの審査員も務める。著書に累計20万部の『読みたいことを、書けばいい。』『会って、話すこと。』(ダイヤモンド社)他。
X(Twitter):@hironobutnk
GOOD INNOVATIN LABとは
世界のイノベーティブなヒト、モノ、コトを紹介するコンテンツサービス。コピーライターのオンライン講座をはじめとして、広告プランニング、クリエイティブディレクションなど、大手広告会社で活躍する一流のクリエイターからクリエイティブの知識と技術が学べる講座、イベントが充実しています。
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