そこに先祖はいるのか
今年の夏も島根に帰省し、祖父母の家に行きました。
家の床の間にはお盆の特別セットが組まれています。
いつくもの仏像が浮遊した絵の掛け軸の前には、先祖の遺影がずらり。
線香やろうそくが立てられ、盆提灯が灯り、お供えが積まれていきます。
そこに先祖のみたまが帰ってくるようです。
8月13日
迎え盆。
床の間のお盆特別セットに先祖のみたまがやってきました。
やってきたに違いありません。
お盆特別セットの前で手を合わせ、りんを鳴らします。
日が暮れると、さあお墓まいりに行こう。と、線香や桶、お米をもって総出で出かけます。
お墓の前で手を合わせて、水をかけて、線香に火をつけ、お花を供えて、お米をパラパラ。
最後にもう一度、手を合わせる。
父は目をつぶって、少し長めに手を合わせています。
心の中で会話しているのかもしれません。
私も倣って手を合わせます。
心の中で、思います。
私たちは、ただの石に手を合わせている。
先祖のみたまは、いま、床の間のお盆特別セットでお供えのメロンの匂いをかいでいる。
加納穂乃香
日常
ひろのぶと株式会社 事務局長。株式会社街クリ 取締役。パンチニードル職人。