公開日: 2025.04.17 更新日: 2025.04.18
AIの出現でCMのメッセージングが変わった? 朝日新聞社のCMから考える「人間」と「AI」|【広告図鑑】4月17日配信「3月下旬の広告」より
「GOOD INNOVATION LAB」で毎週木曜日18時に配信されている動画コンテンツ『広告図鑑』。ビジネスプロデューサーの宮本安祐佳さんとコピーライターの田中泰延が、さまざまな広告を紹介しています。
その『広告図鑑』を、『街角のクリエイティブ』でも特別に記事としてチラ見せ! 配信で取り上げる数々の広告の中から、毎回ひとつをピックアップしてご紹介します。
今回は4月17日(木)配信の「3月下旬の広告」より、朝日新聞社の新たなCMについて。メッセージから読み解く、AIの台頭とCMについてです。
▶︎ 4月17日放送「3月下旬の広告」全編の動画はこちらから
朝日新聞社「新しい朝をつくれ。」(30秒 TVCM)

オリジナルショートドラマをベースとした30秒CMです。記者役として松下洸平さんと、見上愛さんが起用されています。
▶︎特設サイト:https://www.asahi.com/corporate/brand/

(解説に)書いてあるね、「特にAI時代に対して漠然とした不安を抱えている読者層に訴求するのではないか」。


つまり、人間がやっていますよってことを訴求したいってことでしょ。

確かに。「人間たちのチームです」って書いてありますもんね。

記者がいて取材があって、人間の話し合いで記事を書いて、それを新聞にしているということだと思うんですけど。
もしそれが狙いだったら、元のショートドラマが面白ければいいんだけど、「人間がやっていますよ」ということに、言ったら嘘っぱちの美男美女の俳優が記者ですっていう仕立てで、本当にそれが伝わるのか? っていうことですよね。
なんで、朝日新聞の(実際の)記者を出さないんだっていう話ですよね。

確かにですね、それはそうかもしれないですね。

どんなCMがあってもいいんですけど、「という訴求ポイントです」と言ったときに、本当にそれで「素晴らしい! 朝日新聞は人間がつくってるんだ!」ってなるか。
いやいや、これ、売れている若手の美男美女の俳優なんですけどというところが、すごくワケわかんないよね。

そこを起用することで、訴求ポイントが目立ちにくくなっちゃうというのはあるかもしれないですね。

美男美女の俳優ではなくて、ブ男ブ女の記者でいいじゃないですか。

あとは本当に、ノンフィクション系にしちゃうとか。それはあるかもですね。
とはいえ、「AI時代に」とかはCMやショートドラマの中では言っていないので、「気づく人は、気づいてよ」くらいのメッセージなのかもですよね。大々的な訴求ポイントというよりは、裏メッセージ的なことなのかもしれないなと思いました。

そうですね。

でも、すごいですよね。私たち、生きているとどうしても「人間」の世界がデフォルトじゃないですか。

はい。

だけど、AIが出てきたことで、あえてCMの中のメッセージで「人間」という言葉を使うのが、すごく不思議だなという感じがしました。

ああ、なるほど。

対比として「自然」とか「動物」みたいなのは(これまでも)あったと思うんですけど。「AI」というものの対比で、自分たちの「人間」という存在を主語にするというのは、今まであんまりなかったなぁと思って。
そういう意味でもAIって、本当にみんな、いろんな意味で注目しているんでしょうね。

まあ、とにかく返事が早いからね。X(Twitter)でもGrokに何か聞くと、1秒で、ダーーーって、しかもなんか友達みたいな口調で返してくるんだよね。

そうですよね(笑)。

「お前それが疑問なのか、俺は考えたんだけどさあ」みたいな。なんか普通の人間みたいな。

私は(AIを)資料探しとかリサーチとかには使ったりはしますけど、いまだに企画は自分で考える派なんですが。結構周りには企画もAIに考えてもらっているという人も増えてきましたね。なんかすごいなって。AIに企画を考えさせるって。どうなんですかね。
私は(AIに頼ると)自分が脳死しちゃっている感じがすごく嫌で、あんまり使っていないんですけど。頑張るべきところと、頑張らなくていいところを、結構自分の中で決めて使っています。

なるほど。難しいね、思ったよりもすごいからね、進化の度合いが。

本当ですよね。

1年前や2年前に「こんなもの使えるか」と思っていたのが、今はまったく使えるゾーンに入ってきているので。

本当に、確かに。

でも、おかしいね。もしこの人間が主役の朝日新聞のこのCMの企画をAIがやっていたら笑いますよね。

確かに。そんなどんでん返しがあったら、むちゃくちゃ面白いですけどね。
* * *
4月17日(木)配信の「3月下旬の広告」では、他にも……
- ・インパクト大のカップヌードルのCM
- ・さすがのブランドの世界観を感じるゼクシィのCM、でも大炎上
- ・SNSで話題に! 新宿駅にドーンと掲出された漫画の広告
など、全部で8つの広告事例を紹介。
さらに、読者から情報が寄せられた「これってどうなの?」という広告を紹介する「どやねん広告」のコーナーも!
ぜひ、全編もチェックしてくださいね!

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プロフィール

宮本安祐佳(みやもと・あゆか)
CHOCOLATE Inc.所属 / ビジネスプロデューサー
フリーランスのCreative Director&PlannerとしてCMやSNS、D2C、場づくりなどを手がけている。
X(Twitter):@ayuka_miyamoto

田中泰延(たなか・ひろのぶ)
ひろのぶと株式会社 代表 / コピーライター
東京コピーライターズクラブ、大阪コピーライターズクラブの審査員も務める。著書に累計20万部の『読みたいことを、書けばいい。』『会って、話すこと。』(ダイヤモンド社)他。
X(Twitter):@hironobutnk
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