×

2025年10月22日「街角diary」廣瀬翼がお届けします。

廣瀬 翼


  • LINEでシェアする

10月10日、朝10時。

大阪・梅田の「時空の広場」の時計の足元に座っていると、声をかけられた。

「おはようございます!」

声の主は、NEO阿波踊り集団「寶船」の米澤渉さん、萌さん、陸さん、夏生子さん。この朝、夜行バスで東京から大阪に到着したばかりとは思えない、爽やかな元気の良さだった。

TSUTAYA BOOKSTORE梅田MeRISEでの生パフォーマンスありの『踊る阿呆の世界戦略』刊行記念イベント。その前に、せっかくだから書店さんに一緒にご挨拶に行くため、朝から集合した。

しゃちょう・泰延さんもやってきて、まずは梅田蔦屋書店さんへ。

書店員さんにご挨拶をし、ミニ色紙を書かせていただきにお部屋へ通していただく。

いつもサインが丁寧な渉さんは、ミニ色紙も丁寧だ。


「普通って、どういうことを書くんですか?」

「頭に、書店さんのお名前を『梅田蔦屋書店さま』みたいに入れて、あとはサインだけの人もいれば、一言コメントを書く人もいるし、イラストを描く人もいます」

「見るのは、お客さんですよね?」

「はい。場所は書店さんによるんですけど、本の近くに置いていただけるかなと思います」

「わかりました」


そうして、少し考えながら一文字一文字丁寧に書いていく。

発売当初はフランスツアー中だった渉さん。振り返ってみたら、これが初ミニ色紙だった。

書店員さんにお渡しすると、本と一緒に飾ってくださった。

写真を撮る。

マーケティングのコーナーで、この赤と黄色は目立った。

と、ここで田中泰延が乱入(?)。恒例のドブ板営業が、著者巻き込み型の新バージョンになった。

Xの埋め込みが表示されない方はこちらをチェック

大阪では11月から、ラジオ大阪で田中泰延がパーソナリティの新番組「田中泰延のふたりごと」が毎週土曜日に放送される。

その初月ゲストが、寶船のみなさん。

大阪駅直結の梅田蔦屋書店さんで、ラジオを聴いた人と『踊る阿呆の世界戦略』の出会いが生まれますようにと願う。


店内を歩いていると、見慣れた本が目に飛び込んできた。

古舘伊知郎『伝えるための準備学

「自己啓発」の島に置いてくださっていた。

すかさず、共に写真を撮るしゃちょう。

お忙しい中ご対応くださった書店員さま、いつもひろのぶと株式会社を応援くださる梅田 蔦屋書店さま。ありがとうございます。


今度は、阪急 大阪梅田駅からすぐの紀伊国屋書店 梅田本店さんへ向かう。

売り場に案内いただくと、書店員さんによる手書きのPOPを飾ってくださっていた。

踊るように自由に。
阿呆のように大胆に。
世界を渡る知恵と勇気!

ここでもミニ色紙をお渡し。すぐに貼ってくださった。

紀伊國屋書店 梅田本店さまは、7月に産経新聞で『踊る阿呆の世界戦略』を紹介くださった書店さまだ(Web版でも読めます:こちらから)。

記事で紹介くださった書店員さんはおやすみだったけれど、直接伺ってそのお礼をお伝えできてよかった。

ここでも渉さん撮影回が始まる。

ビジネス書コーナー。近くには、帯に推薦をくださった堀江貴文さんのご著書と、今年も寶船が出演する「えんとつ町の“踊る”ハロウィンナイト」仕掛け人の一人で『えんとつ町のプペル』著者のキングコング・西野亮廣さんのご著書も並んでいる。

「それも、うれしいですね!」と書店員さんとの会話も弾む。

と、またここでも田中泰延が乱入(?)

Xの埋め込みが表示されない方はこちらをチェック

本に驚くしゃちょうと、その動きに驚く著者に注目。

他のお客様のご迷惑にならないように、いつもよりちょっと声が控えめなぶん、顔と動きがうるさくなっている気がする。あくまで個人の「気がする」だ。そんなところも注目。

ご対応くださった書店員さんは、この日の夜のイベントもご存じだった。

「うちも踊っていただけるような会場があればいいのにって思いました」

「11月のラジオも楽しみですね!」

明るい笑顔でそう話してくださった。

紀伊國屋書店 梅田本店さま、いつもありがとうございます。


昼食はせっかくの機会、大阪のものを召し上がっていただこうと、お好み焼きの「ゆかり」へ。

ランチセットが超お得。ご飯にドリンクがついて、1,000円以内。大阪、すごいぞ。

ここでも、田中泰延の「お好み焼きは粉もんではない」論が展開された。曰く、小麦はつなぎでしかなく、お好み焼きとはすなわちキャベツなのだと。

実際に食べてそれを体験する。

「お好み焼きって、ソースの味が濃くて、だから大阪はこってりとか言われるけど、これってご飯のおかずに食べる前提の濃さの味付けな気がしますね」

「そうやな」

ちなみに、萌さんに「廣瀬さんはお家の方は大阪の人じゃないそうですけど、お好み焼きとご飯を組み合わせて食べるのは、そういうものですか?」と聞かれた。

もともと抵抗はないけど、私は文化や受け入れる・入れないとは別の「胃袋」という要因で、ご飯と一緒には食べてこなかった。あれは、大食いのおじさんが頼むメニューだと思っていた。

けど、実際にやってみると、ご飯を手にお好み焼き、美味しいです。


昼食後はTSUTAYA BOOKSTORE 梅田MeRISEさんに移動。

駅に預けていた荷物の大太鼓を泰延さんが担ぐ。

寶船のみなさんはご自身の衣装やらグッズやらと荷物をお持ちだが、「大丈夫ですよ!」と大太鼓を受け取ろうとする。けれど、泰延さんは手放さずに……

「これが本当の太鼓持ち!」

ちなみに大太鼓、約10kgあるそうです。そんな振動体をお腹につけて、祭りでずっと叩きながら踊り歩く皆さん、すげぇ……


TSUTAYA BOOKSTORE 梅田MeRISEさんで、その大太鼓を叩くマッキーさんと合流する。マッキーさんは徳島出身。この日は徳島帰省から、梅田にお越しくださった。

それからイベントまでの時間も、宿泊のチェックインをしたり準備をしたり……とにかく、休みがないのだ、この人たち。

夜行バスで来たり、徳島から駆けつけたりしていて、しんどくないのだろうか……眠くならないのだろうか……なんて聞く間のないまま、開場時間になった。

続々と集まる、来場者。

開演前からグッズをたくさんご購入いただいた。ありがたい。

直前でグンと参加者が伸びたらしい。100名の席がほぼ満席となった。

九州から、中国地方から、奈良から、中には東京からなんと日帰りでお越しくださった方も。

最初は、100名なんて泰延さんが日頃「インターネットが来ていない!」という大阪で集まるだろうか……と不安もあったけれど、こんなに集まっていただけて、ご来場くださった皆さん、ありがとうございます。

前半のトークも、盛り上がった。

さすがのしゃちょうと、語れる渉さんである。

30分ほどがあっという間。でも、延長はせず休憩に入る。

なぜなら、この日のメインは、なんといってもこの後の寶船の生パフォーマンスなのだから!

ということで、いよいよ寶船のパフォーマンス。

と、後半のスタートで、企画の廣瀬としては思わぬ誤算が。

「前半でどうやって人を巻き込むのかって手の内を話しちゃってるから、やりにくい!」

た、確かに……

しかし、そんなことを言ってそれすらも笑いに変えて、そうしてさらに見ている方がそのことを忘れるほどの熱量を、寶船は生み出していく。

構えるカメラの数がどんどん増えていく会場。動画の撮影に息をグッと潜めているお客さんの静かな感動が、ビリビリと広がっていた。

しゃちょうは、そんな会場と寶船のパフォーマンスの様子を、後ろの方からじっと立って見つめていた。その背中には、一瞬「泰延さん、泣いてるんじゃなかろうか」と思ったほどの空気が溢れていた。

そうして最後には、みんなで阿波踊り。

「前で一緒に踊ってくれる人!」
の声に、まず壇上へ上がるしゃちょう。

それまで会場で見かけなかったはずの鳩姿になった鳩さんも飛び出してきてくれた。その姿が普通に受け入れられているのが、また大阪である。

この日、私の母もイベントに参加したのだけれど、後日「こうやって阿波踊りを教えてもらった」と徳島出身の職場の方に話したそうだ。すると「廣瀬さん、それでもう阿波踊り、踊れてます!」と言われたのだとか。

だから、この日ご参加くださった皆様は、もう阿波踊り、踊れます! 来年の夏祭りなど、一緒に踊る阿呆になりませんか。

約100 名が一緒に踊る会場は、それはそれは熱かった。

全員が、立ち上がって腕を上げていた。

最後は、寶船に、そして参加した各々に、大きな拍手が起こった。

終演後、「椅子や机を現状復帰するのを、お手伝いしてもらえるとうれしいです。書店員さんに指示を聞いてください!」とアナウンスしたところ、想像以上の人数が残って手伝ってくださった。

おかげで、撤収時間内に——それよりも余裕を持って撤収することができた。

開演前は「お客さんに手伝わせちゃって、いいんですか……?」と言っていたTSUTAYA BOOKSTORE 梅田MeRISEの三砂さんが、「奇跡の撤収です!」と感動されていた。

本当に、私たちは皆さんのおかげで生かされている。

様子を確認しに来た警備のおじちゃんも「間に合ったね!」と上機嫌。

さらに、こうおっしゃってくださった。

「今日のイベント、すごく良かったみたいで、大盛況だね。さっきエレベーターでお客さんが『すごかった』『感動した』て話していたよ」

自分たちの見ていないところで、そういう感想を話していただけている。それこそ、生の声だと思う。本当にありがたく、うれしかった。

イベントを行わせてくださったTSUTAYA BOOKSTORE 梅田MeRISEの皆さん、ご来場くださった皆様、そして東京からこのイベントのためにお越しくださった寶船の皆さん、ありがとうございました。

ちなみに。

終演後は寶船の皆さんと夜ご飯に行ったのだが、いやいや、ずっと元気なのだ5人とも。

「夜行バスで移動して、そのあと休みもなく書店を回って、イベントやって、しんどさはないですか?」と、このスケジュールでお願いした張本人とは思えないことを、萌さんに聞いた。

そうしたら、ケラケラと笑って明るい声で、予想もしていなかった答えが返ってきた。


「時差がないから、楽ですね」


海外ツアーだと、同じように移動が続き、歩き回り、パフォーマンスし……そこに時差ボケがのっかってくるからしんどいのだと。

いやいや、海外ツアーの時と国内を比較するのはなんともだし、タフが過ぎると思う。何も返せなかった。

彼らの常に溢れるポジティブなエネルギーは、人柄ももちろんだけど、その体力的なタフさがあってこそなのではないかと思った。自分も何か体力作りをせねば……と思った大阪の夜だった。

米澤渉さんの著書

踊る阿呆の世界戦略

踊る阿呆の世界戦略
世界26カ国を熱狂させた NEO阿波踊り集団 寶船の挑戦

米澤渉|ひろのぶと株式会社

  • LINEでシェアする
  • 廣瀬 翼 レポート / インタビュー Instagram


    1992年生まれ、大阪出身。編集・ライター。学生時代にベトナムで日本語教師を経験。食物アレルギー対応旅行の運営を経て、編集・ライターとなる。『全部を賭けない恋がはじまれば』が初の書籍編集。以降、ひろのぶと株式会社の書籍編集を担当。好きな本は『西の魔女が死んだ』(梨木香歩・著、新潮文庫)、好きな映画は『日日是好日』『プラダを着た悪魔』。忘れられないステージはシルヴィ・ギエムの『ボレロ』。