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名作に見る、佐藤雅彦の数学的CMづくり|【広告図鑑】6月26日配信「佐藤雅彦特集」より

街クリ 編集部


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「GOOD INNOVATION LAB」で毎週木曜日18時に配信されている動画コンテンツ『広告図鑑』。ビジネスプロデューサーの宮本安祐佳さんとコピーライターの田中泰延が、さまざまな広告を紹介しています。

その『広告図鑑』を、『街角のクリエイティブ』でも特別に記事としてチラ見せ! 配信で取り上げる数々の広告の中から、毎回ひとつをピックアップしてご紹介します。

今回は、6月26日(木)配信の「佐藤雅彦特集」より、1995年の「マルちゃんホットヌードル」のCMを見ていきます。

▶︎ 6月26日配信「佐藤雅彦特集」全編の動画はこちらから

佐藤雅彦さん

雑誌「AXIS 」2009年137号の表紙より

クリエイティブディレクター・映像作家。東京大学教育学部で数学教育を専攻。1977年電通に入社、CMプランナーとして湖池屋『スコーン』や、NEC『バザールでござーる』などを手がける。94年に独立し、企画会社「TOPICS」を設立、プレイステーション・ソフト『I.Q』が全世界で130万枚のセールス。99年より慶應義塾大学環境情報学部教授。NHK教育『ピタゴラスイッチ』の監修や『だんご3兄弟』 作詞などを手掛ける。2006年より東京芸術大学大学院映像研究科教授。2013年紫綬褒章受章。2021年より東京芸術大学名誉教授。

本日の広告図鑑は佐藤雅彦さん特集です。 

なんとなんと! やったー!

泰延さん、大喜びの。 

大天才クリエイター・佐藤雅彦さんの特集、嬉しい!

以前出た湖池屋さんのリメイクCMの時に佐藤雅彦さんのお話ありましたけれども。 

佐藤雅彦さんは東京大学教育学部出身、ずっと数学やられてたんですよ。1977年に電通入社して最初の10年間、セールスプロモーション局配属だったんですよね。

でも10年間ずっと「今のCMはつまんない」と思っていて、クリエイティブに転局試験を受けて合格第1号だったんですよね。

CMプランナーとして大ヒットを連発したので、見ていきましょうか。

今回は昔のCMからいろいろご紹介していきたいと思います。東洋水産の「マルちゃんホットヌードル」です。

マルちゃんホットヌードル『味噌バター味 中入後の取組』|東洋水産(1995年)

▶︎ 東京コピーライターズクラブ掲載ページ

マルちゃん、あそこだけやもんね。何の変哲もない「味噌バター」だけっていうね。

みんなが知っているもの(相撲の星取表)の中に、数学的に1カ所組み込めば訴求になるっていう、こんなこと勇気を持ってクライアントに提案できる今の若い人がいるかっちゅう話ですよ。

うん、いないです。

このフレームなら、「他の(力士の)名前のところも、違う味の名前にしたいです」とか、「パッと見て、ホットヌードルとわかりますかね? 」みたいなことを多分クライアントは言いそうですけど、ちゃんと説得してこのフレームでやりきるっていうところ。

佐藤雅彦さんのプレゼンは伝説になってる。 電通の中でも。

とにかくプレゼンがものすごくカッチリしていて、「絶対にこれで効果があります」みたいなことをおっしゃる。

「計算上そうなるんで間違いがないです」「えーっ」ということで、「反応分かんないんですけど、やってみましょうか」みたいなプレゼンはしたことなかったみたいですね。

ええええ、すごい!

今では難しいですよね。テレビもありますけど、SNSが結構主流になってきた中で、いわゆるKPIとかそういったところを握らずにいきましょうとか。

「SNSはバズったら万々歳ですけど、約束はできません」みたいな話もよく上がる中で。絶対に伸びますとか、そういうことが言い切れるって、勇気もいりますし。

こういう数学的発想を見るとね、今の、例えば「コンシューマーのインサイトをつくエモい表現でいきましょう」みたいなのがいかに適当か分かりますよ。 それは実に安易なんです。

そうじゃない、違うところから持ってくる。 エモと全然違う話じゃないですか。違うところから持ってきたやつが、訴求になるっていうことを計算力でやれたすごい人ですね。

理詰めで作ったら、ちゃんと感情を揺さぶることができるっていうことですね。

はい、うんうん。

ここからですよね。 湖池屋、フジテレビ、JR東日本、それから「だんご三兄弟」もあれば「ピタゴラスイッチ」もあるので、これはまだまだ佐藤雅彦の天才ぶりのイントロだから、後半がすごい楽しみです。

佐藤雅彦さんが活躍してから、もう35年経ってるわけですけど、あの考え方はどこ行ったのかって、今の広告制作者は考えてほしいですねえ。

違うところから何かを持ってきて、伝えたいことはクドく言わなくてもわかる方法があるはずだって考えることができたら。

今の時代に佐藤雅彦を超える才能が出てくる。 まあ、できている方もたくさんいらっしゃいますけど、もろに後継者みたいな人が見当たらないので、もっとみんな研究したらいいんじゃないかなと思います。

佐藤さんは1999年から慶応大学の教授になって、今は東京芸大の名誉教授ですけど、教え子がいっぱいいると思うんです。それがこれから2020年代の後半、たくさん出てくるんじゃないかと思って期待しています。

次回以降の佐藤雅彦さん特集もぜひお楽しみに。


* * *

6月26日(木)配信の「佐藤雅彦特集」では

  • ・小沢健二が歌うトヨタ「カローラⅡ」CM
  • ・オルゴールがモチーフになった 「東レ・企業」CM
  • ・萩原健一出演のサントリー「モルツ」CM

など、佐藤雅彦氏が手掛けた8つの広告事例を紹介しています。

ぜひ、全編もチェックしてくださいね!

※『広告図鑑』の視聴には、GOOD INNOVATION LABのプレミアム会員登録が必要です。

プロフィール

宮本安祐佳(みやもと・あゆか)
CHOCOLATE Inc.所属 / ビジネスプロデューサー
フリーランスのCreative Director&PlannerとしてCMやSNS、D2C、場づくりなどを手がけている。
X(Twitter):@ayuka_miyamoto

田中泰延(たなか・ひろのぶ)
ひろのぶと株式会社 代表 / コピーライター
東京コピーライターズクラブ、大阪コピーライターズクラブの審査員も務める。著書に累計20万部の『読みたいことを、書けばいい。』『会って、話すこと。』(ダイヤモンド社)他。
X(Twitter):@hironobutnk

GOOD INNOVATIN LABとは

世界のイノベーティブなヒト、モノ、コトを紹介するコンテンツサービス。コピーライターのオンライン講座をはじめとして、広告プランニング、クリエイティブディレクションなど、大手広告会社で活躍する一流のクリエイターからクリエイティブの知識と技術が学べる講座、イベントが充実しています。

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